こちらのページでは「金価格の長期推移(ドルベース・円ベース)」をはじめ、「金(GOLD)に関する様々な情報」を分かりやすく掲載しています。
世界の基軸通貨は米ドルですが、その米ドルですら信頼できなくなるような事態が発生した場合、信頼できるのは金(GOLD)になります。
昔の通貨制度は「金本位制」を採用しており、米ドルをはじめとする各国の通貨は金(GOLD)の裏付けがありましたが、現在は各中央銀行の信用力を裏付けに発行されています。
米国以外(例えば日本)の中央銀行(例えば日銀)の信認が低下した場合は当該通貨(例えば円)が売られドルが買われることになります。
そして更に事態が一歩進み、米国の中央銀行(FRB)まで信用できないということになるとドルも売られ金(GOLD)に資金が向かうことになります。
このように金(GOLD)には資産のリスクヘッジ機能もあるので、特に富裕層の方には人気があります。
- 金(GOLD)のリスクヘッジ機能についてはこちらを参照してください:日本の破綻は米ドルでリスクヘッジ、米国(FRB)もダメなら金(GOLD)でリスクヘッジ
最初に金(GOLD)の価格表示について説明します。
金(ゴールド・GOLD)の価格表示方法【ドル建て(トロイオンス)・円建て(グラム)】
金価格の一般的な表記は「ドル建て価格」および「円建て価格」です。
参考として、下記では2つの異なるタイミングでの「ドル建て」と「円建て」の金価格を掲載しています。
【金価格の表示例】
こちらが2016年8月9日の価格です。
- 1トロイオンス=1,330ドル
- 1グラム=4,378円(1,330÷31.1×@102.35円)
- 1トロイオンス=約31.1グラム
次に2020年12月31日の価格です。
- 1トロイオンス=1,971ドル
- 1グラム=6,710円(1,971÷31.1×@105.80)
- 1トロイオンス=約31.1グラム
1トロイオンス=約31.1グラムは固定ですので、ドル建ての取引価格と円/ドル為替レートの関係で円建ての価格が決定することが確認できます。
上記の1グラム当たりの価格は税抜きの価格です。
金地金の販売会社などで表示されている販売価格は税込み小売価格の場合もありますので注意してください。
金価格の長期推移(米ドルベース・円ベース)【1973年~】
金価格がどのように推移してきたかを把握している人は意外と少ないのではないでしょうか?
下記では1973年以降の金価格(ドル建て・円建て)のデータやチャートを掲載していますので参考にしてください。。
金価格(ドル建て・円建て)の年間最高値・最低値・平均値データ
下記は田中貴金属のHPにあるデータを加工したものです。
ドル建て価格・為替レート・円建て価格が一覧になっており、大変わかりやすいデータです。
田中貴金属のHPは明治時代の金価格など面白いデータがたくさんあります。【田中貴金属WEBサイト】
次に金の「ドル建て価格」と「円建て価格」をチャートで掲載します。
金価格(ドル建て・円建て)の長期チャート
金価格の「ドル建て価格」と「円建て価格」の長期チャートです。
米ドルベースは1トロイオンス当たりの価格、円ベースは1グラム当たりの価格です。(月次データ)
金価格の歴史についてポイントを解説
金(GOLD)価格の歴史でポイントになる局面をピックアップします。
- 1971年8月、ニクソン大統領が金とドルの交換を停止(ニクソンショック)
- 1973年~1974年の第一次オイルショック時は原油だけでなく金(GOLD)も大幅に上昇した
- 1979年~1980年の第二次オイルショック時(1979年イラン革命、ソ連のアフガニスタン侵攻)も金(GOLD)は大幅に上昇した
- 2001年3月頃を底に金(GOLD)価格は上昇に転じた(201年3月末:1トロイオンス=258ドル)
- 2003年にETFが誕生
- 2008年~2013年はFRBによる量的金融緩和政策により、米ドルの代替として金需要が高まった
- 2019年、FRBが金融引締め(バランスシート縮小・利上げ)から金融緩和にシフト。再度、金(GOLD)価格は上昇に転じた。
米ドルベースの金価格は1980年代・1990年代は長期的に低迷していましたが、2000年以降、右肩上がりとなっています。
ただし、円ベースでは1980年1月の最高値である1グラム=6,495円を2020年まで超えられませんでした。(上記価格表の「1980年・円建て・最高値」も参照)
上記の表にあるように、1980年頃のドル円レートは1ドル=220円台と円安水準にあったことが要因です。
- ドル円レートの長期チャートはこちらを参照:ドル円レート長期推移1971~(チャート・変動要因)
円建ての金価格は2020年に一時、1グラム=7,000円を突破して、円建ての過去最高値を更新しました。
近年のドル円レートは昔ほど大きな変動はありませんので、円ベースの金価格も米ドルベースと同様に中長期的に上昇傾向となっています。
次に、今後の金価格どうなるかについて、供給サイドと需要サイドから分析していきます。
まずは供給サイドです。
金の供給について(金の発掘量は累計でも50mプール3.5杯分しかない!)
これまで地球上で発掘された金の量は累計でも約166,600トン、オリンピック公式プール(50mプール)約3.5杯分しかないそうです。
現在は年間約3,000トン生産され、約1,000トンが市場からの回収によって再利用されており、約4,000トンの需要を賄っている状況です。
現在、金の埋蔵量は約51,000トンしかなく、多くが採掘困難な場所にある為、近い将来、新たな産出が難しくなると言われています。
そうなると再利用以外の入手が困難ということになります。
もちろん、埋蔵量は現在の技術において産出できる金の量を表すので、技術革新等で埋蔵量が増える可能性はありますが、希少価値が高いことには変わりありません。
金の需要について(誰が金を買っているのか)
金(GOLD)を誰が購入しているかを表す需要内訳の推移をグラフとデータで掲載しています。
上記グラフのデータがこちらです。
グラフにあるように金の需要者は大きく分けると下記の4主体となります。
- ①宝飾品:インドと中国で70%を占める
- ②工業関係:パソコンや携帯電話のICチップ等幅広く使われる
- ③投資関係:地金・コイン、ETFなど
- ④公的機関:中央銀行が保有する外貨準備によるもの
「①宝飾品」「②工業関係」は一定の安定した需要があります。
「③投資関係」は2003年にETFが誕生した効果もあり、大きく増加しています。
「④公的機関(外貨準備)」はかつては売り越していましたが、近年は買い越しに転じています。
2022年、「公的機関」の外貨準備における金の需要は大きく増加しました。
ちなみに、欧米各国は外貨準備高に占める金の割合が高くなっています。(2020年12月データ、%は外貨準備に占める金の割合)
- アメリカ79%(8,134トン)
- ドイツ76%(3,363トン)
- イタリア72%(2,452トン)
- フランス66%(2,346トン)
参考までに日本の保有高は765トンで外貨準備に占める割合は3.0%と低い水準です。
中国も外貨準備ではそれほど多く保有しておらず1,948トンで外貨準備に占める割合は4.0%となっています。
しかし、中国は近年増加基調で、もともと金が好きな国民性もあり、今後も増加する可能性はあると思われます。
また、中国の外貨準備高は断トツ世界1で約3兆ドル(約300兆円)超と金額が膨大である為、ひとたび購入に動くと金価格を大きく上昇させる可能性もあります。
そのため長期的には「公的機関」の外貨準備による需要は堅調に推移すると予想されます。
「投資関係」(地金・コイン、ETF)についても一定の需要が維持されると考えられます。
以前は多くの国で金本位制のもと各国の金の保有額に合わせて通貨を発行していました。
その名残もあり、金は通貨の代替手段と認識する人も多く、米ドルが下落すると、その代替として金が買われる傾向があります。
基軸通貨である米ドルの代替やリスクヘッジ手段としての位置づけです。
特に顕著だったのはリーマンショック後に米国が大幅な金融緩和を行い、米ドルが大幅に下落した局面で金は大幅に上昇しました。
今後もFRBを始めとした世界の中央銀行が金融緩和を行う際には、金需要が高まる可能性があります。
需要サイドと供給サイドから将来の金価格(金相場)を予想
上記の供給サイドと需要サイドを総合的に分析すると、
- 供給は減ることはあっても大きく増えることはなさそう
- 需要は長期的に増加傾向で各国の中央銀行の動向によっては需要の急拡大もありうる
よって、以前のように1トロイオンス=200~300ドルの水準まで下落することは考えにくそうです。
基本的には緩やかに上昇傾向で、米ドルが金融緩和等で下落した際には、より大きな上昇になると考えられます。
- 金(GOLD)に投資する際の商品に関する分析はこちらをご覧下さい:金(ゴールド・GOLD)への投資はETFがベスト / 金の果実・SPDR・iシェアーズがおすすめ
- 金(GOLD)と同様に米ドルに対するリスクヘッジとして注目が集まるビットコインについてはこちらを参照:ビットコイン(BTC)の長期推移【チャートと変動要因】