こちらのページでは「豪ドル(円/豪ドル・ドル/豪ドル)の長期チャートと変動要因」を掲載しています。
オーストラリアは「資源が豊富」「財政が健全」であり、多くの期間で金利水準も高いことから、豪ドルは日本人にも人気の通貨です。
近年では「資源価格」に加え「中国景気」との相関性が高まっていることも特徴の1つです。
ちなみに間違えやすいので記載しておきますが、豪ドルの対米ドル表記は「1豪ドル=〇〇ドル」となります。主要通貨の中でユーロ・英ポンド・豪ドル・NZドル以外は全て「1ドル=〇〇」(例えば1ドル=100円)という表記になりますので覚えておいてください。
また、豪ドルの分析・見通しについてはこちらも参照してください。ポイントは実質金利です。
それではまず、円/豪ドルとドル/豪ドルの長期チャートから掲載します。変動要因は箇条書きで掲載しています。(下段の方では10年ごとに区切ったチャートを掲載し、変動要因を細かく掲載しています)
豪ドル(AUD)為替レートの超長期チャート【1971年~】(円/豪ドル・豪ドル/ドル)
- 1971年8月米ドルペッグ制を廃止し、可変米ドルペッグ制を導入。(詳細は下記1970年代を参照)
- その後、1983年12月に完全変動相場制に移行した。
- 完全変動相場制移行後では1豪ドル=0.5ドル~1.1ドルのレンジで推移している
- 変動相場制移行後の対米ドルの最高値は2011年7月の1豪ドル=1.1ドル。
- 最安値は2001年4月の1豪ドル=0.4776ドル。世界的な景気低迷、エネルギー価格の下落などが重なった事が要因となった。
- 対円の最安値は2008年10月の1豪ドル=55.143円(ただし、2000年と2001年にも1豪ドル=55円台をつけた)
- 対円では1970年代前半の1豪ドル=400円~450円から、大きく円高・豪ドル安が進んだ形となっているが、かなりの部分は円/ドルレートが大きく円高にシフトしたことで説明できる
- 円/豪ドルレートのレンジ:1ドル=450円(1974年)→ 55.143円(2008年)
- ドル/豪ドルレートのレンジ:1豪ドル=1.5ドル(1974年)→ 0.4776ドル(2001年)
- 豪ドルの特徴についてはこちら参照:主要通貨の特徴一覧【資源国通貨・新興国通貨・中国関連通貨のどれに該当するか】
豪ドル(AUD)の歴史を詳細に解説【10年毎チャート】
円/豪ドル・ドル/豪ドルの為替チャートと変動要因【1970年代】
- 1971年8月米ドルペッグ制を廃止し、可変米ドルペッグ制を導入
- 1973年に1豪ドル=1.2ドルから1.48ドルまで上昇している。この間、可変米ドルペッグ制を採用していたため、通常であれば変動しても大きな動きは抑制されるはずであったが、オイルショックによるエネルギー価格上昇の影響もあり比較的大きな上昇となったと考えられる
- 1974年9月、貿易額加重平均指数ペッグ制を採用→1豪ドル=1.48ドルから1豪ドル=1.3ドルまで下落
- 1976年11月、可変貿易額加重平均指数ペッグ制を採用→1豪ドル=1.23ドルから、最大で1豪ドル=1.01ドルまで下落
円/豪ドル・ドル/豪ドルの為替チャートと変動要因【1980年代】
- 1983年12月、完全変動相場制に移行
- 1980年代前半の豪ドルは対米ドルで大きく下落し、一時、1豪ドル=0.6ドルとなった
- これは豪ドルの要因よりも米国のインフレ対策による高金利政策で米ドルが高くなったことが要因と考えられる。(1980年代前半は米ドルと円が他の通貨に対して強くなっており、ドル円はほぼ横ばいの推移となっていた)
- 1985年9月のプラザ合意以降、一般的な通貨はドル高が調整されはじめ上昇し始めたが、豪ドルは1985年に一旦上昇した後、再度1986年7月まで下落した
- これは1985年10月~1986年7月にかけて原油価格(エネルギー価格)が大きく下落したことが要因と考えられる。この間、WTI原油価格は1バレル=30ドル前後から1バレル=11ドル前後まで大きく下落した
- その後、プラザ合意の影響や原油価格が上昇したことで豪ドルも上昇し、1980年代後半には1豪ドル=0.8ドル台まで回復した
円/豪ドル・ドル/豪ドルの為替チャートと変動要因【1990年代】
- 1990年代のドル/豪ドルレートは概ね原油価格の推移にリンクしている
- 1990年代の原油価格は1バレル=20ドル程度で推移することが多かったが、1993年後半に1バレル=14ドル前後、1998年後半に1バレル=11ドル前後に下落しており、このタイミングで対米ドルの豪ドルレートも安値を付けている
円/豪ドル・ドル/豪ドルの為替チャートと変動要因【2000年代】
- ドル/豪ドルレートは2001年3月に1豪ドル=0.48ドルの過去最安値を付けた
- ITバブル崩壊による世界的な景気低迷、豪州の付加価値税導入による景気悪化懸念、エネルギー価格の低迷など複数の要因が重なり合って豪ドルは過去最安値をつけたと考えられる
- 2003年以降は世界的な景気回復とエネルギー価格の上昇が重なり、リーマンショック前の2008年6月には1豪ドル=0.95ドルまで大きく上昇した。対円では1豪ドル=100円を超える水準まで上昇した。
- この間、現在の主要輸出国である中国をはじめとする新興国の経済成長も豪ドル相場を支えたといえる
- リーマンショック後のリスクオフムードの中、高金利通貨の巻き戻しが起こり、1豪ドル= 0.65ドルまで急落したが比較的早期に回復した
円/豪ドル・ドル/豪ドルの為替チャートと変動要因【2010年代・2020年代】
※2020年以降のデータも当面こちらに追加していきます
- 2010年12月、豪ドルレートは1982年6月以来28年ぶりに1豪ドル=1米ドルのパリティ(等価)まで上昇した
- 2011年7月に変動相場制移行後の最高値である1豪ドル=1.1ドルまで上昇した
- リーマンショック後、世界的な景気低迷により多くの国がリセッション(マイナス成長)となる中、オーストラリア経済は相対的に堅調で実質GDP成功率もプラスを維持した。そのため米国がゼロ金利政策を採用する中、オーストラリアの政策金利は2010年~2011年に4.5%前後と高く、資金が流入した。
- さらにエネルギー価格も堅調で原油価格は2011年5月に直近の最高値である1バレル=115ドルまで上昇した。
- 2014年以降は原油価格の下落や主要貿易先である中国の景気悪化の影響で、2015年後半から2016年前半にかけて豪ドルは1豪ドル=0.7ドルまで下落した
- この間、2014年7月頃まで1バレル=100ドルを超える水準で推移していた原油価格は2016年2月の1バレル=25ドルまで下落した
- 2016年~2018年は米国が政策金利を引き上げる中(0.25%→2.5%)、豪州は1.5%で一定としたため米国と豪州の政策金利が逆転した。2019年に入って米国は利下げを開始したが、豪州は米国を上回るスピードで利下げを行ったことで豪ドル安が加速した
- 2019年6月末には米国の政策金利が2.5%、豪州の政策金利が1.25%となり、金利差が1.25%まで拡大した。同じく金利の逆転現象が起き、大きく豪ドル安が進んだ2000年前後より金利差が拡大したが、当時ほどの豪ドル安にはならなかった。これは名目金利は当時よりも金利差が拡大したが、インフレも考慮した実質金利差では2000年前後ほど拡大していなかった為と考えられる。
- 豪ドルの実質金利についてはこちらを参照
- 2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により豪ドルは下落
- オーストラリア中央銀行は2020年3月3日に政策金利を0.5%、3月19日に0.25%へ引き下げした。2020年3月には1豪ドル=約65円、1豪ドル=約0.61ドルまで下落した。
- その後、世界的には新型コロナウイルスの影響が拡大する中、豪ドルは反発。2021年4月末には1豪ドル=84円台、1豪ドル=0.77ドルまで上昇した。豪ドルが大きく上昇したのは中国景気がいち早く回復していることや資源価格が堅調に推移したことが要因。
- 2021年7月~11月、「①中国の景気減速懸念、②鉄鉱石価格の下落、③オーストラリアのワクチン接種率の低迷、④オーストラリアの利上げが2024年以降になる見通し」などの影響で豪ドルは下落した
- 2022年~2024年の豪ドルは対円では大きく上昇、対米ドルでは下落となった【通貨の強弱:米ドル > 豪ドル > 円】
- 2024年3月、対円では2014年12月以来、約9年ぶりに1豪ドル=100円を突破した
関連ページ
豪ドルについてのポイントはこちらを参照してください!
オーストラリアの政策金利とインフレ率の推移はこちらを参照してください!
豪ドルと連動性が高いニュージーランドドルの長期推移はこちらを参照してください!
豪ドルとニュージーランドドルの比較はこちらを参照してください!