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知識・ノウハウ(リート)

J-REITの破綻(ニューシティ・レジデンス)、J-REITの実質破綻(日本レジデンシャル)

こちらのページでは「J-REITの破綻および実質破綻」の事例について紹介しています。

日本のJ-REITは開発行為が認められておらず、純粋に不動産を保有しているだけですので、本来、破綻する可能性はそれほど高くありません。

これまで破たんしたJ-REITはニューシティ・レジデンス投資法人のみです

当時はJ-REITの歴史が浅かったことで投資家の理解が進んでいなかったことも破綻の一因と考えられます。

実質破綻状態で他の投資法人に吸収合併されたJ-REITは複数存在します

リーマンショック時の混乱を経験して「LTV(負債比率)の低下」や「フォワードコミットメントを止めブリッジファンドを活用」などJ-REITのリスク管理は大きく向上しました。

詳細は下記をご覧ください。

J-REIT唯一の破綻事例【ニューシティ・レジデンス投資法人】

2008年10月9日、ニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生法適用を申請しJ-REITとしては初の破綻となりました。

スポンサーは米国の不動産大手シービー・リチャードエリス(CBRE)のグループ会社でした。

破綻した直接的な原因は「ニューシティ・レジデンス池袋プレシャスタワー」をフォワードコミットメント(将来取得する契約)で契約しましたが、資金調達ができなかったことによります。

ニューシティーレジデンス投資法人の資産規模約1,700億円に対し池袋の物件は277億円と規模が大きな物件でした。

リートが新たに物件を購入する際にはローンによる調達か公募増資による調達が必要となりますが、リーマンショック直後でマーケット環境が大幅に悪化しており、どちらの調達もできませんでした。

その結果、物件を購入できず、契約不履行で違約金55億円が発生し破綻につながりました。

その後、フォワードコミットメントを活用する投資法人はほとんどなくなりました。

民事再生法申請後の経緯(上場廃止前に買えば大きくプラスだった)

  • 2008/10/9:民事再生法申請を発表:発表前の終値71,000円
  • 2008/11/7:上場廃止:終値14,200円
  • 2009/9/9:ローンスターをスポンサーとする再生計画案が債権者集会で否決される
  • 2009/11/10:ビ・ライフ投資法人(現 大和ハウスリート投資法人)と合併契約を締結(合併比率はニューシティーレジデンス1株に対しビ・ライフ0.23株を交付
  • 2010/4/1:ビ・ライフ投資法人(現 大和ハウスリート投資法人)と合併
  • 2010/4/1:ビ・ライフ投資法人(現 大和ハウスリート投資法人)の投資囗価格は初値396,500円

2008/11/7の上場廃止直前にニューシティレジデンス投資法人を1株14200円で購入した場合、2010/4/1にはビ・ライフ投資法人396,500円×0.23=91,195円と6倍以上になったことになります。

この91,195円という価格は民事再生法発表前の71,000円をも上回る価格です。

ただし、2008年3月頃のニューシティレジデンス投資法人の投資口価格は300,000円以上でしたのでそこから見れば大きな損失となっています。

もしそのまま保有していれば、その後1:2の分割を2度行っていますので、現在の大和ハウスリート投資法人(ビ・ライフから名称変更)を0.92口(0.23×4)保有していることになります。

2021年12月には大和ハウスリート投資法人の投資口価格は340,000円まで上昇しましたので、0.92口で312,800円となります。

これで一連の騒動の前の水準まで回復したことになります。

株式投資の場合であれば、民事再生法適用と同時に100%の減資を行い、新スポンサーから出資を受けるのが一般的です。

よって、既存の株式の価値はゼロとなります。

J-REITの場合は保有する不動産の価値がゼロになるわけではないので、100%減資も行われず、投資口も価値がゼロにはなりませんでした。

そのため投資口価格が回復することができました。

ちなみにニューシティレジデンス投資法人は投資法人債を発行しており、こちらもデフォルトとなりましたが、回収率は100%となり損失は発生しませんでした。

リーマンショック後J-REITのリスク管理は大きく向上(LTV低下・ブリッジファンド活用)

リーマンショック以降、各J-REITのリスク管理は格段に向上しています。

LTVを控えめにすることで市況の悪化により公募増資ができくなっても物件を購入できるように余裕を持った運営を行っているリートが多くなっています。

また、ニューシティーレジデンス破綻の原因となった物件のフォワードコミットメントは現在ではあまり行われておらず、ブリッジファンドを活用することで、資金調達ができない場合や価格下落時のリスクを外部に分散しています。

J-REITは物件の開発なども行わず、単に物件を保有しているだけのビークルですので、理論的にはフォワードコミットメントのような行為を行わない限り破綻することはないはずです。

(ただし、ホテル関連は契約によってホテル経営に近いものもあるので破綻リスクは存在します)

J-REITの実質破たん事例【日本レジデンシャル投資法人など】

法的には破たんではありませんが、「実質的に破綻+吸収合併された」ケースとして日本レジデンシャル投資法人の例があります。

日本レジデンシャル投資法人のスポンサーはパシフィックホールディングスという東証1部上場の不動産投資会社でしたが、この会社が2009/3/10に会社更生法を申請し破綻しました。

投資法人とスポンサーは別法人であり、スポンサー企業が倒産しても、J-REITは物件を保有しているだけであり、直接的な影響はありません。

ただし、資金調達時の信用力や物件の供給等でスポンサーは非常に重要なファクターとなります。

日本レジデンス投資法人は入札形式でスポンサーを募り、最終的に伊藤忠商事が新スポンサーとなり、既に伊藤忠商事がスポンサーとなっていたアドバンス・レジデンス投資法人と合併することとなりました。

この時、非常に割安な価格で日本レジデンシャル投資法人を吸収したことで、アドバンス・レジデンス投資法人は現在でもお宝となっている「負ののれん」が439億円も発生しました。

逆に日本レジデンシャル投資法人の投資家は不利な合併比率となり、投資家は大きな影響を受けました。

やはりリートはスポンサーが大切だと改めて感じさせる事例です。

ちなみにパシフィックホールディングスは日本レジデンシャル投資法人だけでなく日本コマーシャル投資法人のスポンサーも行っており、こちらは丸紅がスポンサーを務めるユナイテッド・アーバン投資法人と合併しました。

2010年~2011年は上記と同じような救済合併が多く行われました。

その後、2016年にはテナントの退去問題や外部成長パイプラインがない等いくつか問題点を抱えていたトップリートが野村不動産マスターファンドに吸収合併されています。

リート関連の参考ページ

リートに投資する上でのポイントを分かりやすく紹介しています。

J-REITについての役立つ知識はこちらを参照してください。いずれも実践的な内容です。

J-REITの長期推移(チャート・変動要因)についてはこちらを参照してください!

不動産ファンド等についての役立つ知識はこちらを参照してください!

 



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