こちらのページでは米国の経済指標の中で特に重要と思われるものをピックアップして掲載しています。
米国は経済指標の公表が充実しており数多くの指標が定期的に公表されています。
下記ではマーケットを予想するうえで「極めて重要な指標」と「まあまあ重要な指標」を掲載しています。
あまり細かく見すぎてもノイズを抬う形になりマーケット予測にプラスになりませんので、ポイントと大きな流れを押さえておけば良いでしょう。
定期的にチェックしておけば米国景気が現在どのような状況にあるか把握することができます。
それではまず最初に、今回選択した経済指標の一覧を掲載します。
米国の経済指標一覧【注目度・公表時期】
それぞれの経済指標の注目度と公表時期も掲載していますので併せてご覧ください。
下記では各経済指標のポイント解説を掲載しています。
米国の主要経済指標を解説
上記一覧に掲載した主要経済指標を解説します。
ポイントは箇条書きで記載しています。
ISM製造業景況感指数
- 毎月第1営業日に公表
- 全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)が算出する製造業の景況感を示す指数
- 製造業(300社以上)の購買・供給管理責任者を対象に、各企業の受注や生産、価格など10項目についてアンケート調査を実施。「良くなっている」、「同じ」、「悪くなっている」の三者択一の回答結果を集計し、季節調整を加えた新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫の5つの指数をもとに、ISM製造業景況感の総合指数を算出(0~100)
- 50を超えると景気拡大、50を下回ると景気後退を示す
- 米国の景気先行指数として注目されている
- 日本では日銀短観に近い(日銀短観はゼロが分岐点で±で表現)
- 製造業ベースの景気先行指数であるため推移が米国の株価(NYダウ、SP500等)に近くなる傾向
- ISM製造業景況感指数とS&P500指数の推移はこちらを参照:PMIと株価を比較(ISM製造業景況感指数とS&P500指数)
ISM非製造業景況感指数
- 毎月第3営業日に公表
- 非製造業ベースの景気先行指数で算出方法などは上記のISM製造業景況感指数と同じ(調査対象は375社以上)
ADP雇用統計
- 雇用統計発表の2日前に公表
- 民間大手の給与計算代行会社ADPが給与データをベースに算出
- 雇用統計の中で重要指標である非農業部門雇用者数の先行指標として注目される
- ただし雇用統計で発表されるデータと乖離することもそれなりにある
雇用統計
- 毎月第1金曜日に公表(一般的には毎月第1金曜日と認識されているが第2金曜日となる例外もあり。正確なルールは『12日を含む週から3週後の金曜日』)
- ニューヨーク時間8:30に公表(日本では夏時間21:30、冬時間22:30に公表)【夏時間・冬時間はこちらを参照:世界の金融市場(株式市場・為替市場)の取引時間まとめ】
- 米国の経済指標の中で最も注目される指標で、FRBの金融政策にも影響を与える
- 全米の約16万の企業や政府機関のおよそ40万件のサンプルを対象に調査し米国労働省労働統計局が発表
- 10項目以上の指標が発表されるが失業率と非農業部門雇用者数が注目される
- 非農業部門雇用者数は20万人以上の増加であれば良いとされているが、失業率と共に事前の予想から大きく外れたり、時系列推移からの予想外の変化があるとマーケットにインパクトを与えることがある
- 主要国の失業率推移はこちら:主要国の失業率推移(国際比較)
消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)
- 毎月15日前後に公表
- 消費者が購入する商品やサービスの小売価格の動向を表す
- 変動の激しい食品やエネルギーを除外したコア指数も重要
- 米国をはじめとする先進国のCPIの推移はこちら:金利とインフレ率推移(チャート・変動要因)【①先進国】
ミシガン大学消費者信頼感指数
- 毎月最終金曜日に公表
- ミシガン大学のサーベイリサーチセンターが消費者のマインドをアンケート調査
- カンファレンス・ボード(全米産業審議会)が発表する消費者信頼感指数に先行して発表される
- アンケートの対象が500人(速報値は300人)とカンファレンス・ボード(全米産業審議会)の5000人に対して少なくブレが大きい
コンファレンス・ボード消費者信頼感指数
- 毎月25日~月末に公表
- 5,000人の消費者に対して、現状と6ヵ月後の景況感についてアンケート調査を行い、現状の経済・雇用に関する2項目の平均を「現状指数」、経済・雇用・所得の先行きに関する3項目の平均を「期待指数」、この5項目の平均値を「消費者信頼感指数」として発表
- ミシガン大学消費者信頼感指数と比ベアンケートの対象が多く速報性に欠ける分、信頼性は高い(ミシガン大学消費者信頼感指数は500人を対象)
- 米国の消費マインドの確認には、先行指標としてミシガン大学消費者信頼感指数を参考にし、最終的にコンファレンス・ボード消費者信頼感指数を確認する
中古住宅販売件数
- 毎月25日前後に公表
- 米国の住宅販売の90%前後は中古住宅であるため、新築住宅販売件数より中古住宅販売件数の方が注目される
- 景気の先行指数として注目されている
- 中古住宅販売件数の推移についてはこちら:米中古住宅販売件数は500万戸~600万戸が適正/700万戸超は住宅バブル警戒
耐久財受注
- 毎月25日前後に公表
- 耐久財(耐久年数3年以上、自動車・航空機・パソコン・家具・家電など)の受注状況を表した経済指標
- 特に非国防資本財受注は設備投資の先行指標として注目度が高い
- 非国防資本財から航空機を除いたコア資本財の受注は企業支出の先行指標とされる
個人所得・個人消費支出
- 毎月月末に公表
- 個人所得:給与・賃貸収入・利子・配当などの合計から社会保険料を控除した後の実際に受け取った所得
- 個人支出(個人消費支出):自動車や家電製品などの「耐久財」、食品や衣料などの「非耐久財」、旅行や外食などの「サービス支出」の三つから構成されている
PCEコアデフレータ
- 米商務省が個人所得・個人支出と同時に毎月月末公表
- 個人消費支出関連のインフレを示す指数のうち、価格変動の大きな食品・エネルギーを除いたもの
- FRBが米国のインフレ状況を把握する際、消費者物価指数(CPI)ではなく、PCEコアデフレータを参考にしていると言われている
- 概ねCPIと近い動きをするが、かい離するケースもあるのでFRBの金融政策(特に利上げ・利下げ)を予測する際はCPIだけでなくPCEコアデフレータも確認すべきである
新規失業保険申請件数
- 毎週木曜日に公表
- 米国で失業した人が1週間に失業保険の給付申請を行った件数
- 用統計の中で重要指標である失業率の先行指標として注目される
- 1週間ごとのデータで速報性は高いがブレ大きく、信頼性に欠けることも
- 以前は40万人や30万人を下回ると良いと言われていたが、現在はトレンドが注目されている
FOMC
- 約6週間に1度、年間8回開催される。
- 「Federal Open Market Committee」の略。日本語では「連邦公開市場委員会」。
- 米国の金融政策を決定する最高機関。日本では日銀の金融政策決定会合が同じ役割を果たす
- FOMC開催の3週間後に議事録が公開される
- FOMCの仕組みはこちらを参照:FRB・FOMC・FED(FRS)・FFレートとは? / 仕組みを解説
ベージュブック
- 12の連邦準備銀行(地区連銀)が公表する「地区連銀経済報告」のこと
- この報告書の表紙がベージュ色であることからベージュブックと呼ばれる
- 各地区の経済状況をまとめ、年8回開催されるFOMCの2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として活用される
- FOMCの討議資料としての役割であり、注目度は高い
他国(地域)の経済指標チェックリスト
- 中国の経済指標はこちらを参照:中国の経済指標チェックリスト
- 欧州の経済指標はこちらを参照:欧州(ユーロ圏・英国)の経済指標チェックリスト
- 日本の経済指標はこちらを参照:日本の経済指標チェックリスト