こちらのページでは新興国株式(中国・インド・ブラジル・ロシア)の長期チャートを掲載しています。
また、各国株式市場の特徴なども箇条書きで掲載していますので参考にしてください。
中国株(本土市場・香港市場)の長期推移
中国株式市場は「上海・深セン・香港」に取引所があり、さらに「A株・B株・H株・ハンセン・レッドチップ」など様々な分類があります。
- これらの仕組みについてはこちらで分かりやすく説明しているので参考にしてください:中国株式市場の仕組みを分かり易く解説 / 香港・上海・深セン / A株・B株・H株 / ハンセン・レッドチップなど
- 中国株に投資を行う際はPMIもチェックしましょう:中国のPMIは国家と民間で2種類存在する
下記では「上海総合指数・深セン総合指数・H株・香港ハンセン指数」の長期チャートを掲載します。
上海総合指数
- 上海市場のA株およびB株全体の動きを表す
- 上海市場全銘柄からなる時価総額加重平均指数
- A株は人民元建て、B株は米ドル建て【人民元についてはこちらを参照:人民元為替レート(円/人民元、人民元/ドル)長期推移(チャート・変動要因)】
深セン総合指数
- 深セン市場のA株およびB株全体の動きを表す
- 深セン市場全銘柄からなる時価総額加重平均指数
- A株は人民元建て、B株は香港ドル建て【香港ドルについてはこちらを参照:香港ドル(HKD)は米ドルペッグ【長期チャートと制度の解説】】
H株指数
- 香港市場に上場している中国本土企業株(H株)の動きを表す
- H株のなかで流動性の高い50銘柄からなる時価総額加重平均指数
- 通貨は香港ドルベース
香港ハンセン指数
- 香港市場(H株・レッドチップ・その他の地場及び外資企業)全体の主要50銘柄からなる時価総額加重平均指数
- 通貨は香港ドルベース
上記、中国株4指数についてのポイント解説
- 中国株式市場は大きく本土市場(上海・深セン)と香港市場に分けられる
- 1995年12月末~2023年12月末を比較した場合、本土株である上海総合指数と深セン総合指数はそれぞれ約5倍、約16倍と大きな上昇になっているのに対し、香港市場のH株指数と香港ハンセン指数は共に1.7倍前後の上昇にとどまっている
- 特に深セン市場のパフォーマンスが突出しているが、これは2010年代以降、中国本土で新規公開(IPO)をする際には上海市場と深セン市場の棲み分けがなされており、上海市場は大手企業、深セン市場はベンチャー企業となっていることが大きく影響している
- リーマンショック後に深セン市場に多くのベンチャー企業が新規上場(IPO)し、これらの株価のパフォーマンスが良いことが大きく寄与している。
- 深センは中国版シリコンバレーとも呼ばれている。詳細はこちら:シリコンバレーの基礎知識 / 有望企業が続々誕生
- 上記チャートを見ても上海総合指数はリーマンショック前の高値を大きく下回る水準であるが、深セン総合指数はリーマンショック前の高値を上回って推移していることが確認できる
- 上場企業数も深セン市場が上海市場を大きく上回る状況となっている
- 上海市場や深セン市場の時価総額や銘柄数についてはこちらを参照:中国株式市場の仕組みを分かり易く解説【香港・上海・深セン / A株・B株・H株・ハンセン・レッドチップ】
- 中国の各株式市場は2007年10月~2008年12月頃まで大きく下落しており、2008年8月に北京オリンピックが開催されたが、株価の下支え効果は特になかった
- 2014年7月から2015年6月にかけて中国株は大きく上昇した。上海総合指数は約1年間で2,000ポイントから5,100ポイントまで上昇した。これは中国の改革が加速するとの期待感や金融緩和の効果に加え、個人投資家のバブル的な投資行動も加わったことが要因。その後、証券当局から投機的投資の抑制策が出されたことをキッカケに大きく下落した。2015/6/12の高値5,178ポイントから2015/7/9には3,709ポイント、2016/1/28には2,655ポイントまで下落した。この一連の下落は「チャイナショック」と呼ばれている。
- 2017年〜2019年は中国のマクロ景気や米中貿易戦争などに一喜一憂する展開で一定のレンジでの推移となった。
- 2018年6月1日、上海A株・深センA株がMSCIエマージングに組み入れ開始。(H株はこれまでも組入れられていた)
- 2020年に発生した新型コロナウイルスについては、中国は世界に先駆けてウイルスの終息に成功し、経済の立ち直りも早かったことから、影響は限定的であった。
- 2021年に入り中国政府による様々な規制強化が実施されたことで、一部の関連銘柄(アリババ、TAL等)が大きく下落した。【中国政府による規制強化の例:テクノロジー企業に対する独占禁止、国内企業による海外上場への規制強化、小中学生向け学習塾への新規制】
- 2022年~2023年は世界的な金利上昇による株安などから中国株も低迷した
インド株の長期推移(S&P・BSEセンセックス指数)
- BSEはBombay Stock Exchange(ボンベイ証券取引所)の略である
- ボンベイ証券取引所はアジアで最も古い証券取引所である
- ボンベイという都市名は現在ムンバイとなっているが証券取引所はボンベイを使っている
- よって少しややこしいが、S&P・BSEセンセックス指数はムンバイにあるインド最大の証券取引所であるボンベイ証券取引所に上場されている銘柄の中で流動性・取引規模・業種を代表する企業であるかなどに基づき選定された30銘柄で構成される時価総額加重平均指数である
- 通貨はインドルピーベース
- インドは資源国ではなく、消費する原油の大部分を輸入に頼っていることから、原油価格が上昇するとインフレ率が上昇、経常収支が赤字となり景気のマイナス要因となる。そのため、原油価格が急騰すると株価が下落する傾向がある。
- 2003年〜2007年はBRICsをはじめとする新興国株式ブームで株価は大きく上昇した。
- 2014年5月に誕生したモディ政権による様々な構造改革・規制緩和の効果で株価は再び大きく上昇した。
- 2019年5月、総選挙で勝利したことでモディ政権は2期目に入った。
- 2020年の新型コロナウイルスによる影響で一時的に株価は下落したが、政府が経済優先の方針を示したことや、長期的な経済成長期待に伴う海外からの資金流入が好感され、株価は大きく上昇した。
- 2021年4月頃からインドにおける新型コロナウイルスの新規感染者が急増、それまで感染者数1位であったブラジルを抜きトップとなった。1日の感染者数が約40万人に達したが、株価には大きな影響がなかった。
- 2022年~2023年は世界的な金利上昇により多くの地域で株価が一時的に調整したがインドは影響を受けなかった。日本国内ではインド株に投資する投資信託が人気となった。
ブラジル株式の長期推移(ボベスパ指数)
- サンパウロ証券取引所に上場される銘柄の中から流動性の高い銘柄で構成される時価総額加重平均指数
- 他の株価指数と異なり、配当込指数(トータルリターン指数)となっている点は注意が必要である
- 通貨はブラジルレアルベース
- 2003年〜2007年は他の新興国と同様に大きく上昇した。
- 2015年頃は資源価格の下落、政局不安、GDPマイナス成長の影響もあり株価は低迷していた。
- 2016年以降、上記の懸念事項が少しずつ改善したことや企業業績が回復したこと、さらに既に株価が大きく調整していたことで株価は大きく上昇した。(上記指数はトータルリターンベースのため、見た目より株価は調整していたことになる)
- 2020年の新型コロナウイルスにに関して、ブラジルは一時、感染者数が世界でトップ水準となり株価も下落した。その後はコロナ抑制より経済を優先した施策や大幅な金融緩和の効果により株価は回復した。
- 2021年後半は、インフレ率と政策金利が上昇した影響でブラジル株式市場は下落した
- 2023年に入り、低バリュエーション・政局の安定・インフレ率の低下などの影響により株価は回復した
ロシア株式の長期推移(RTS指数)
- モスクワ取引所上場の大型成長株のうち流動性が最も高い50銘柄からなる時価総額加重平均指数
- 当指数は米ドルベースとなっているためロシアルーブル安は指数の下落要因となる。リーマンショック後や2015年頃に発生した原油安によるロシアルーブル安局面では指数の下落要因となっている。
- ロシア株式は原油価格や地政学的問題に影響を受けることが多い
- 原油価格のチャートはこちらを参照:WTI原油スポット価格 長期推移(チャート、変動要因)
- 1998年8月、ロシアは対外債務の支払いを一時停止するというデフォルトを宣言(ロシア危機)。この影響で大手ヘッジファンドLTCMが破綻した。この一連の影響でロシアRTS指数は1997年7月末の506ポイントから、1998年10月2日の37.74まで下落した。
- ロシア危機についてはこちらを参照:各資産の最大下落率(アジア通貨危機・ロシア危機)
- リーマンショック後に一度リバウンドした後、2010年〜2015年は大きく下落している。これは原油価格の大幅な下落(1バレル=100超→25ドル前後まで下落)とウクライナ問題が同時期に発生したことが主な要因である。
- 2020年は新型コロナウイルスの影響と原油価格の下落により株価は一時的に下落したが、その後は世界的な景気回復や原油価格の上昇により株価もリバウンドした。
- 2021年11月頃からウクライナ情勢の悪化で株式市場は調整色を強めた
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