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知識・ノウハウ(債券)

MOVE指数(債券版恐怖指数)はVIX指数と高い相関性

2021年9月16日

こちらのページでは債券版恐怖指数と呼ばれる「MOVE指数」について解説しています。

「MOVE指数」はマーケット参加者が米国債のボラティリティ拡大を予想する局面で上昇します。

株式版恐怖指数である「VIX指数」は株価が大きく下落する際に上昇しますが、「MOVE指数」は金利が大きく上昇・大きく低下のいずれのパターンでも指数が上昇します。

そして、金利が大きく上昇・大きく低下のいずれのパターンでも株価は下落する傾向にあります。

その為、結果的に「MOVE指数」と「VIX指数」は同じような推移となります。

株式市場の下落リスクを確認したい場合は「MOVE指数」と「VIX指数」の両方を定期的に確認することをお勧めします。

詳細は下記をご覧ください。

まずは「MOVE指数」の概要から解説します。

MOVE指数とは

MOVE指数は債券版の恐怖指数です。

株式の恐怖指数として有名な「VIX指数(Volatility Index)」の債券版と言えます。

MOVE指数の正式名称は「Merrill Lynch Option Volatility Estimate Index」(メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメイト・インデックス)です。

開発者はバーレー・バスマン氏と言われています。

市場参加者が今後の米国債のボラティリティをどれくらい見込んでいるかを表す指標です。

いわゆる「インプライド・ボラティリティ」を指数化したものになります。

具体的には「米国債先物(2年物・5年物・10年物・30年物)の期間1ヶ月のオプションのノーマライズド・インプライド・ボラティリティを指数化したもの」となります。

「2年物・5年物・10年物・30年物」はそれぞれ「20%・20%・40%・20%」の比率でウエイトされます。

MOVE指数は債券市場が落ち着いているときは低い数値で推移します。

一方、何らかの要因により債券市場のリスクが高まり、今後の債券市場のボラティリティが高まると予想される時には数値が上昇します。

MOVE指数は債券価格が下落(金利が上昇)する時だけ上昇するわけではない

まず、上記で「債券市場のリスクが高まり、今後のボラティリティが高まると予想される時にはMOVE指数が上昇」と紹介しました。

ただし、株式の恐怖指数であるVIX指数は、株価が大きく下落する際に上昇するのに対し、MOVE指数は必ずしも債券価格が下落(金利上昇)する際のみに上昇するわけではありません。

債券価格が上昇する時も下落する時もMOVE指数は上昇することがあります。

株価の場合は上昇する時には緩やかに上がり、下落する際は急激に下落する傾向がありますが、債券(金利)は上下どちらにも急激に動くことがある為です。

MOVE指数が大きく上昇するのは下記の2パターンです。

  1. 【長期金利が低下するパターン】金融マーケットがリスクオフになり、株価が大きく下落し、長期金利が大きく低下することでMOVE指数が上昇(2008年・2020年)
  2. 【長期金利が上昇するパターン】FRBの利上げ前に長期金利が先んじて大きく上昇することでMOVE指数が上昇。その結果として株価が下落。(2003年・2013年・2022年)

上記の通り、長期金利は上昇するパターンと低下するパターンがありますが、株価はいずれのケースでも下落しています。

金利が大きく変動する時は株価が下落しやすいようです。

そのため、結果的に「MOVE指数」と「VIX指数」はかなり高い相関性となります。

MOVE指数・10年米国債利回り・VIX指数の比較チャート

「MOVE指数」「10年米国債利回り」「VIX指数」の比較チャートを掲載します。

まずは「MOVE指数」と「10年米国債利回り」の比較チャートです。

「MOVE指数」と「10年米国債利回り」の比較チャート

MOVE指数と10年米国債利回りの比較チャート

MOVE指数が大きく上昇した局面を確認すると、リーマンショックが発生した2008年や新型コロナウイルスが発生した2020年は10年米国債利回りは大きく低下(債券価格は大きく上昇)しています。【長期金利が低下するパターン】

一方、2003年・2013年・2022年のように米国の長期金利が上昇した局面でもMOVE指数が上昇しています。【長期金利が上昇するパターン】

次に「MOVE指数」と「VIX指数」の比較チャートです。

「MOVE指数」と「VIX指数」の比較チャート

MOVE指数とVIX指数の比較チャート

上記で解説しましたが、MOVE指数が上昇する2つのパターンは「リスクオフ⇒株価下落 ・ 長期金利低下⇒ MOVE指数上昇」「長期金利上昇⇒MOVE指数上昇・株価下落」というロジックになり、共に株価は下落するため、結果的にMOVE指数はVIX指数と同じような動きになります。

また、MOVE指数が先行する場合とVIX指数が先行する場合がありますので、株価市場の下落リスクを確認したい場合はMOVE指数とVIX指数の両方を定期的に確認することをお勧めします。

関連ページ

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