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知識・ノウハウ(投信)

MMFの元本割れ事例を紹介(外貨建て・円建て共に元本割れ実績あり)

こちらのページでは過去に「MMFが元本割れを起こした事例」について忘備録として掲載しています。

MMFは元本確保を最優先に運用されます。

また、米国のMMFには運用会社が投資家のために損失補てんを行えるような元本割れ回避制度が存在します。

それでも、「円建てMMF」「米ドル建てMMF」共に元本割れを起こした実績があります。

詳細は下記をご覧ください。

MMF・MRF等(日々決算型の公社債投信)は元本割れリスクは低い

MMFやMRFは「日々決算型の公社債投信」というジャンルに分類されます。

いずれも決済性資金をプールすることを目的として使われるため、元本割れが発生しないことを第一の目的として運用されています。

「日々決算型の公社債投信」は元本割れが発生すると、元本が回復するまで追加設定(新規資金受け入れ)ができないため、「元本割れ=ファンド終了」となることから元本割れには相当な気を使った運用となります。

原則、1年以内の短期の債券のみで運用され、組入れ債券の評価もすべて時価評価するわけではなく、大部分は「償却原価法」で期間按分して利回りを計算されます。

また、クレジットリスクも極めて厳格に審査されており、高格付け社債しか組入れしないのが一般的です。

その為、金利上昇等で債券価格が下落しても、通常は元本割れすることはありません。

元本割れする可能性があるとすれば、下記の2つのケースが考えられます。

  • 組入れ債券がデフォルト
  • ファンドに大量の解約が発生し、時価が低下している債券を売却せざるを得ない状況

ちなみに下記で紹介していますが、米ドル建てのMMFは運用会社による元本回避策が制度として認められています。

また、日本国内で個人向け証券口座の決済用として使われているMRF(マネーリザーブファンド)は2014年から元本割れ回避を目的とする運用会社による損失補てんが認められました。

それでも、米ドル建てMMFは元本割れが発生したことがあります。

また、円建てのMMFでも過去に元本割れの実績があります。

下記ではMMFの元本割れ事例を紹介しています。

円建てMMFの元本割れ事例

円建てMMFの元本割れ事例①【2000年8月29日:三洋投信MMF】

日本国内では業界初のMMF元本割れ事例です。

本件は運用自体に問題があったわけでなく、三洋投信及びそのグループ会社の信用不安から大量の解約が発生したことに起因します。

しかし、MMFに大量解約があっても流動性の高い債券を中心に運用していますので、それが直ちに元本割れにつながるわけではありません。

ではなぜ三洋投信のMMFが元本割れしたかというと、この3週間前に日銀が政策金利を0%→0.25%に利上げを行い、その結果、MMFで保有していた債券の時価が下落しました。

上記の通り、残存期間が1年未満の債券は時価評価しなくても良いので、通常は金利上昇が起こっても元本割れにつながりませんが、MMFに大量の解約が発生したことで債券を売却する必要が発生しました。

もちろん、売却すれば時価評価となりますので損失が実現します。

運用会社の信用不安と債券価格の下落(金利上昇)が重なってしまったことでMMFが元本割れとなりました。

運用会社の信用不安が原因の大量解約により、含み損が表面化して元本割れが発生したというかなりレアな事例です。

円建てMMFの元本割れ事例②【2001年9月14日:明治ドレスナー・アセットマネジメントMMF】

破綻したマイカルの債券を組入れていたことによる元本割れです。

厳密にはマイカルが海外で発行した円建て債券を裏付けとし、それを変動金利に変換した「仕組債(リパッケージ債)」への投資でした。

本件は、銘柄の評価が甘かったことと仕組債(リパッケージ債)への投資が適切でなかったことを理由に全ての投資家に対し明治ドレスナー・アセットマネジメントが損失補てんを行いました。

円建てMMFの元本割れ事例③【2001年11月29日:日興アセットマネジメント/日本投信委託/UFJパートナース投信(2本)/スミセイグローバル投信の4社】

破綻したエンロンのサムライ債を組入れていたことによる元本割れです。

エンロンのサムライ債は高格付けでしたが粉飾決算が発覚し破綻しました。

特に日興アセットのMMFは4兆円以上ある大型ファンドであり、本件はMMF全体に大きな影響を与えました。

ちなみに野村アセットはエンロン債を11月初旬に売却してMMFの元本割れを防ぐことができました。

エンロン債についてはMMF以外にも多くの公社債投信の元本割れの原因となりました。

外貨建てMMFの元本割れ事例

まず最初に米国のMMFの元本割れ回避制度について解説します。

米ドル建てMMFは元本割れを回避する制度が存在する

米国では1972年にMMFが登場し、日本と比べかなり一般的に使われています。

一部の証券会社では普通預金のように決済機能をMMFにもたせたものもあります。

そのため組入れ債券の規制も厳しくなっていますし、さらに元本割れの回避策が制度的に認められています。

元本割れの回避策には「MMFからの資産買い取り」、「MMFへの資本注入」、「信用状の発行」等があり、組入れ債券の時価が下落した場合でも、これらの仕組みを活用することでMMFの元本割れを回避できます。

ただし、これらの回避策は実質的に運用会社が投資家のために損失を補てんするような仕組みであるため、運用会社にそれができる資金力や信用力がないと実行できないことになります。

そのため過去2回、米国のMMFも元本割れをおこしています。

ちなみに日本国内で販売されている外貨建てMMFで元本割れしたものはありません。

米ドル建てMMFの元本割れ事例①【1994年:コミュニティーバンカーズMMF】

米国MMFの初めての元本割れ事例です。

ただし、機関投資家限定商品のため、個人投資家は影響を受けませんでした。

米ドル建てMMFの元本割れ事例②【2008年9月16日:リザーブ・プライマリー・ファンド】

当時、米国で最古のMMFでしたが、リーマンブラザーズが発行した債券を保有しており、リーマンブラザーズ破綻により元本割れとなりました。

リザーブ社は大手金融機関の系列ではなく、資金力に乏しく、元本割れ回避策を実行できず元本割れとなりました。

他にもリーマンショック時にリーマンブラザーズ債を保有していたMMFはありましたが、元本割れ回避策実行により元本割れを回避しています。

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