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知識・ノウハウ(為替)

香港ドル(HKD)のボラティリティが高まっているというが・・・/チャートのスケールには注意

投稿日:2017年9月30日 更新日:

香港ドルはドルペッグ制なので大きく変動しないはずだが

「香港ドルが対米ドルで大幅下落」

「香港ドルのボラティリティが急激なペースで上昇」

2017年8月以降、このようなニュースを見る機会が何度かありました。

香港ドルチャート

確かにチャートをみると上記の通り大きく動いていいるようにも見えます。

しかし注意しなければいけないのはチャートのスケール(目盛)です。

上記のチャートでは1ドル= 7.64~7.86ドルという非常に狭いレンジのチャートになっています。

大きく動いているように見えますが、香港ドルが最も高いところから最も安いところの差は1.6%程度です。

30年以上の期間でも最大1.64%の変動率です。

これは知識がある人であれば上記のようなニュースを見ても「あれ、香港ドルはドルペッグだからそんなに動かいはずだけど‥」となるはずです。

株式や投信などの販売用資料でもよく見かけますが、チャートは期間やスケール(目盛)を少し調整するだけで、見た目が全く異なってしまいますので注意が必要です。

上記のチャートもスケール(目盛)を少し変更すると下記のようになります。

香港ドルチャート大スケール

同じ期間の同じデータですが印象が全く違ってきます。

香港ドルの概要

香港ドルの為替政策は1983年10月以降、カレンシーボード制を採用しているため、1香港ドル(HKD)を発行するごとに、それに相当する米ドルを預託し裏付けとする米ドルペッグとなっています。

発行された香港ドルの分だけ米ドル建ての外貨準備高が増加する仕組みとなっており、香港ドル建てのマネタリーベースと米ドル建ての外貨準備高はイコールとなります。

香港上海銀行、スタンダード・チャータード銀行、中国銀行の3行が発行銀行となっています。

米ドルとの固定レートは2005年5月から1米ドル= 7.75~7.85香港ドルのレンジ内となっています。
(カレンシーボード制において香港ドルの裏付けとして米ドルを預託する際のレートは1ドル= 7.8香港ドルです)

一応、将来的に変動幅が拡大される可能性があるとは言われています。

為替が米ドルにペッグしていることから、香港ドルの金利水準も米ドルの政策金利とほぼ同じような動きとなります

下記は香港と米国の3ヶ月インターバンク金利の比較です。
(香港が3ヶ月HIBOR、米国が3ヶ月LIBOR)

3ヶ月HIBORとLIBOR推移

乖離している時期もありますが概ね、同じような動きとなっています。

香港ドルが米ドルにペッグし、両国ともカントリーリスクがほぼ無いと考えられるので当たり前の結果です。

2018年のように大きな変動率ではないが香港ドルが対米ドルで下落しているのは、米ドルの短期金利に対して香港ドルの短期金利が低くなっていることが要因です。

2018年は中国本土からの投資が活発で香港市場に資金が滞留し、香港の金利が上昇しにくい環境でした。

このわずかな金利差を取るために、香港ドルを調達して米ドルに投資する裁定取引が活発となり香港ドルが下落しました。



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