こちらのページは「ひふみ投信・ひふみプラス」を例に日本株のポイントやリスクを掲載しています。
大部分は日本株全般に共通する内容ですので、日本株の見通しを分析する上で活用いただけます。
日本株のポイントをまとめると下記の通りです。
- ROE経営が浸透
- バリュエーションは適正水準まで低下
- 日銀の政策により円高になりにくい環境
詳細は下記をご覧ください。データや内容は随時、更新しています。
まず最初にひふみ投信の商品概要から紹介します。
ひふみ投信の商品概要
実質的な運用会社
- レオス・キャピタルワークス
(委託会社:レオス・キャピタルワークス)
投資対象
- 日本株式
- 外国株式(一部)
日経平均の長期チャートと変動要因の解説はこちらをご覧ください:日本株(日経平均)とドル円レート長期推移(チャート・変動要因)
商品組成上の特徴
- ひふみ投信:レオス・キャピタルワークスの直販
- ひふみプラス:その他販売会社
- ひふみ年金:確定拠出年金向け
- 直販のひふみ投信は5年以上保有すると信託報酬の一部を返還するシステム。保有期間5〜10年で0.2%、10年以上で0.4%を還元。
- 毎月1万円からの積立も可能
信託報酬
- 1.078%(直販の「ひふみ投信」のみ信託報酬一部還元方式を採用)
日本株のポイント
日銀によるETF買入れ
- 2013年4月、年間1兆円を上限に買入れ開始
- 2014年10月、3兆円に増額
- 2016年7月、6兆円に増額
- 2020年3月、12兆円に増額
コーポレートガバナンスコード・スチュワードシップコードによるROE経営の推進
- コーポレートガバナンスコードとスチュワードシップコードの導入により企業は株価を意識した経営へシフト、具体的にはROEを高める経営にシフトすることになる。日本株にとって長期的にプラスとなる。
- コーポレートガバナンスコードは経営側、スチュワードシップコードは投資家(機関投資家)側の行動指針を定めるものである。
- 欧米では従前より企業を経営するうえでROEが重視されており、今後日本でも重視されていく方向となる。
- また、機関投資家サイドでは低ROEが継続した企業に対し、株主総会でトップの選任に反対する流れになっている。(最初に議決権行使助言会社の最大手ISSが意向を表明しコンセンサスが出来上がったとみられる)
JPX400もROE経営を推進
- 上記の流れに合わせて東証がJPX400というROEが高い企業が選ばれやすい新たなインデックスを作成し、ROE経営の流れをバックアップしている。(さらに日銀は購入するETFの一部でJPX400に連動するETFを購入している)
- JPX400に入りたければROEを上げなさいというメッセージ。
- ROEを上げるためには利益を増やすか、株主資本を減らすかどちらかである。これまでも利益は少しでも増やそうと経営していたはずである為、新しくできることは必要以上に株主資本をため込まないで株主還元をすることである。具体的なアクションとしては増配と自社株買いである。すでに始まっているが、今後、増配と自社株買いという株主還元が増え、ROEが高まることで日本株の評価も高まると考えられる
GPIFの株式保有比率拡大
- GPIF(公的年金)のポートに占める日本株式の比率を12%から25%に拡大。
- 共済/ゆうちょ/かんぽ等も株式比率を拡大しており日本全体(日銀、政府、東証、年金)で株式市場にコミットメントしていこうというもの。
日銀の金融緩和・インフレターゲット導入により円高になりにくい環境
- 日本の株式市場は大手企業に輸出関連企業が多いことから、為替が円高になると利益が減少することとなり、株式市場も下落するケースが多くあった。
- 今回、日銀は金融緩和と同時に2%のインフレターゲットを発表した。
米国FRB、欧州ECBも約2%のインフレを基準においており欧米と同じレベルのインフレ率を目指すというものである。 - これが何を意味するかというと、購買力平価での円高トレンドをストップさせようとするものである。
- これまでもそうであったが日本が欧米よりもインフレ率が低いと1物1価の法則(購買力平価)では円が高くなってしまう。欧米と同じインフレ率にすることによって、もっともベーシックな部分の円高要因を排除しようというもので、非常に評価できる。
- これが上手くいけば、長期トレンドとしての円高がなくなるので日本株にとっては大きなプラスである。
(参考ページ:為替レートの予想・分析は実質金利差・購買力平価を活用)
日本株のバリュエーションは昔と違い適正になった
- バブル崩壊後の1990年代に日経平均が23,000円前後であった際でもPERが50倍以上であった
- 1990年代は金融機関をはじめとする持ち合い株式の割合が全体の約30%前後であったことを理由に高いPERが肯定されていた
- しかし、2021年に日経平均が30,000円前後まで上昇した場合でもPERは14倍前後と適正水準であり、非効率で相場を歪める要因となっていた持ち合い株の比率も10%未満まで減少している
- つまり、バブル崩壊後、時間はかかったが、ようやく健全な株式市場になったといえる
- 日本株と米国株のバリュエーションの推移はこちら:日本株(TOPIX)と米国株(S&P500)の予想PER・実績PBR推移
日本株のリスク・デメリット
為替レートの影響を受ける
- 日本の株式市場はドル円の為替のレートに大きく影響を受ける(アベノミクス後の2012〜2014年の上昇も2/3は円安で説明できる)
- よって、円高局面では調整する可能性が高い
- 1%の円高で日経平均が2%下落するとも言われている
- 日本全体で見れば円高になった方がプラスといわれるが、上場企業のみで見た場合は円高はマイナスになる
日本経済の低迷
- 人口・生産年齢人口が減少
- インフレ率は低位安定
- 生産性低下
- これらの要因で経済成長が低迷する可能性がある
ひふみ投信のポイント・メリット
ひふみ投信の5つの魅力
(by藤野ファンドマネージャー)
- 守りながら増やす運用
- 簡単で楽ちん
- コストが安い
- 顔の見える運用
- イケてる専門家集団による運用。特に藤野ファンドマネージャーは野村アセット、ジャーディンフレミング、ゴールドマンサックスアセットで日本の小型株運用では著名な人物
機動的にキャッシュ比率を調整
- 当ファンドは市況に合わせてキャッシュポジションを調整し株式市場が下落する局面では最大50%程度までキャッシュ比率を高める。
- コロナショックが発生した2020年2月~3月にかけてキャッシュ比率を30%程度まで高めた
一部外国株にも投資
- 2020年6月には運用資産の15.8%まで外国株比率が上昇
- パフォーマンスと分散効果の向上を図っている
アワード受賞
- 守りながら増やす運用の結果、リスクが低くリターンが高いファンドに贈られるR&Iファンド大賞を受賞(2012年〜2015年、2018年~2022年)
- トムソン・ロイター リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2017を2年連続受賞
高いパフォーマンス
- 2008年9月の設定来、TOPIXに対し大幅にアウトパフォーム
- 2008年9月~2022年5月
- TOPIX:+135.65%
- ひふみ投信:+448.37%
- ただし、運用資産残高が増加した2018年以降は、TOPIXのパフォーマンスを下回ることも多くなっている
日本株全体の市況に影響されにくい銘柄選定
- 構成銘柄は大型株よりも成長力が高い中小型株が多く含まれる
- 日本株市場全体がが低迷しているときでも銘柄選択効果でファンドの上昇が期待できる
- これに上記のキャッシュポジションの調整を加えることでどのようなマーケット環境でも安定的な上昇になることを目指す
ひふみ投信のリスク・デメリット
運用資産拡大によるパフォーマンス悪化懸念
- ひふみ投信・ひふみプラス・ひふみ年金の3ファンドを合計すると2018年のピーク時には運用資産残高が約8,000億円超まで拡大した
- アクティブファンドは運用資産が拡大するとパフォーマンスが悪化するケースが多いので注意が必要である
- ひふみは一時期パフォーマンスが悪化していたが、2020年に復活した
- TOPIXに負けた時期の例:「ひふみ投信」も残高増には勝てず、パフォーマンス悪化
- パフォーマンスが復活した時期の例:ひふみ投信のパフォーマンスが復活/相変わらず藤野氏は上手い
投資対象が同じ投信(類似ファンド)
- 日本株厳選ファンド(大和住銀投信)
- 日本株の通貨選択(ブラジルレアル、 豪ドル、アジア3通貨、米ドル、メキシコペソ、トルコリラ)
- 日本株アルファカルテッド(大和住銀投信)
- 日本株、通貨選択、株式カバードコール50%、為替カバードコール50%の実質3倍レバレッジ型
- 高いポートフォリオ利回り。
- さわかみファンド(さわかみ投信)
- さわかみ投信による直販が主体
- 低コストのアクティブ運用(販売手数料:なし、信託報酬1.08%)
- 運用会社が割安と考える銘柄を選別し、割安が解消するまで保有するバイアンドホールド型の長期投資が基本
関連ページ
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