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米ドル高だと原油安? / 原油と通貨の不思議な関係

こちらのページでは「原油価格」と「米ドル・ユーロ」の関係について解説しています。

最初に結論から申し上げると「原油価格と米ドルは逆の動き(逆相関)」となり「ユーロは原油価格と同じ動き(正の相関)」になります。

詳細は下記をご覧ください。

原油価格と通貨の関係

原油価格と通貨の関係でよく言われるのが下記の2つです。

  • 原油価格と米ドルは逆に動く(逆相関)
  • ユーロは原油価格にリンクしている(正の相関)

原油は経済活動(生活)に密着した商品であることと、コモディティの中でも取引金額が圧倒的に大きいのが特徴です。

よって、経済活動(生活)において使われている通貨と一定の関連性があっても不思議ではありません。

下記でチャートを確認しながら検証していきます。

「原油価格と米ドルは逆に動く」を検証

「原油価格」と「米ドル」はいわゆる逆相関の関係にあると言われます。

  • 米ドルが上昇→原油価格が下落
  • 米ドルが下落→原油価格が上昇

ここではまず、「原油価格と米ドルは逆に動く」を論理的に説明します。

原油価格は米ドル建てで取引されています。

その為、米ドル以外の通貨から見た場合、原油価格(米ドル建て)に変化がなくても、米ドルが高くなる(当該通貨安)と原油価格は値上がりすることになります。

そして、値上がりにより需要が減少することで、原油価格が下落するという考え方です。

例として日本人目線で考えてみます。

原油価格が1バレル=50ドルの時に、ドル円レートが1ドル=100円から110円に円安ドル高にシフトしたと仮定します。

ドル建ての原油価格は50ドルのまま変わっていませんが、円建ての原油価格は1バレル=5000円から5500円に値上がりします。

円建ての原油価格か値上がりすると、日本における原油の需要が減少します。

その結果、ドル建ての原油価格も下落することになります。

逆に円高ドル安の場合は円建てで原油価格が割安になり需要が増加して、ドル建ての原油価格が上昇することになります。

それではチャートで「原油価格」と「円/ドルレート」の実際の推移を確認してみます。

原油価格と円/ドルレートの比較チャート

ある程度、逆相関であることは確認できます。

ただし、米ドルの変動による原油需要の増減は日本(円)だけでなく欧州(ユーロ・ポンド)・中国(元)などの影響も受けます。

よって、対円レートではなく、主要通貨に対する米ドルの強弱を表す「ドルインデックス」で確認する方がベターであると思われます。

「原油価格」と「ドルインデックス」の推移はこちらです。ドルインデックスはICEドルインデックスを使用しています。

原油価格とドルインデックスの比較チャート

原油価格とドルインデックスはかなり綺麗な逆相関となっていることが分かります。

米ドルが安くなると米ドル以外の通貨を使用する地域(日本、中国、欧州等)で原油価格が安くなり需要が増加します。

米ドルが高くなると米ドル以外の通貨を使用する地域(日本、中国、欧州等)で原油価格が高くなり需要が減少します。

短期的には違った動きになるケースも多々ありますが、中長期的に見た場合は「原油価格と米ドルは逆に動く」(原油価格と米ドルは逆相関)と言えそうです。

原油以外にもドル建てで取引される資源は多くありますが、原油は私達の経済活動に関連するウエイトが非常に大きいという点がポイントです。

ガソリン・灯油など、直接的に影響を受けるものだけでなく、光熱費や運送費など、間接的に影響を受けるものも含めて幅広い分野に関連しています。

この点が他の資源以上に米ドルとの逆相関が鮮明になる要因と考えられます。

「ユーロは原油価格にリンクしている」を検証

こちらは最初にチャートから確認します。

「原油価格」と「ユーロ」の比較チャートです。

原油価格とユーロの比較チャート

ものすごくきれいにリンクしています。

上記のドル/円よりもユーロの方が原油価格との関係が鮮明に表れています。

ユーロ圏は米国に次いで経済規模が大きく、日本の約2.5倍の名目GDPとなっています。

よって、米ドルレートが変動したことによる原油需要の増減は日本よりインパクトが大きくなります。

これが「ユーロは原油価格にリンクしている」要因です。

今後は中国がユーロ圈の名目GDPを抜き、2020年~2030年には米国を抜いて世界1の経済規模となる見通しです。

そのため、今後は人民元/ドルの変動が原油価格に与える影響が徐々に大きくなると予想されます。

その分、ユーロと原油価格の連動性は低下することになります。

ただし、人民元は完全な変動相場制ではなく米ドルに対する変動率が相対的に低いことから、直ぐに大きな影響を与える可能性は低いと思われます。

最後に「原油価格と米ドルは逆に動く(逆相関)」と「ユーロは原油価格にリンクしている(正の相関)」は検証の結果、共に法則性が認められました。

ということは「米ドルとユーロは逆に動く」ということになります。

為替市場でドルとユーロの取引シェアが非常に大きく、通貨ペアでもドル/ユーロの取引が最大です。

そういう意味では「米ドルとユーロは逆に動く」は当たり前と言えます。

原油価格と通貨のその他関連情報

ロシアルーブルなど資源国通貨は原油価格との相関性が高くなります。

また、トルコリラなど一見、資源国通貨のようでそうでない通貨も存在します。

下記では主要通貨が資源国通貨であるか否かをまとめていますので参考にして下さい。

原油価格の見通しはこちらを参考にしてください。



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