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新興国通貨の5つのチェックポイント

2019年12月20日

新興国通貨は一般的に金利が高く、投資先としても人気があります。

一方、通貨のボラティリティは高く、時に大きく下落してしまうこともあります。

金利が高いこともあり、通貨が多少の下落であればトータルリターンでプラスになりますが、できれば通貨が下落しない時に投資したいものです。

こちらのページでは新興国通貨のチェックポイントとして新興国通貨(7通貨)の下落要因となるマクロデータをピックアップし、各通貨を取り巻く環境が一覧で分かるようにしています。

それではまず、新興国通貨を取り巻く問題点から整理します。

新興国通貨を取り巻く問題点からチェックポイントをピックアップ

通常、新興国は資本不足で海外からの投資(直接投資・証券投資)に依存しており、その結果として経常収支は赤字になりやすくなります。

経常収支の赤字を直接投資・証券投資等の金融収支の黒字で穴埋めする構図です。

また、理由は様々ですが新興国はインフレ率が高水準で推移する傾向があります。

経常収支の赤字と高インフレは新興国通貨にとって、最も大きなマイナス要因となります。

2013年にモルガンスタンレーがレポートで脆弱な新興国5通貨でのことを「フラジャイル5(fragile five)」(脆弱な5通貨)と命名しました。

具体的にはブラジルレアル・インドルピー・インドネシアルピア・トルコリラ・南アフリカランドの5通貨で、選ばれた理由は「経常赤字」と「高インフレ」で通貨が下落しやすいというものでした。

個人的にも「経常赤字」と「インフレ率」は新興国通貨にとって最もチェックする必要があるデータだと思っています。

その他に通貨に関連するポイントとしては財政問題です。

財政問題は新興国に限ったことではなく、多くの先進国でも問題になっていますが、新興国の場合は経済基盤が弱いことから、財政悪化は債券の格下げにつながりやすく、さらには通貨の下落にもつながるケースが多くあります。

財政問題に関しては年間の財政赤字の規模を表す「財政赤字(対GDP比)」累積の財政赤字額を表す「公的債務残高(対GDP比)」をチェックする必要があります。

過去の経験則からも「財政赤字(対GDP比)」と「公的債務残高(対GDP比)」は両方ともチェックしておくべきデータだと思います。

そして最後に、これは通貨が売られそうになった場合の防波堤のような役割ですが、外貨準備高もおさえておく必要があります。

外貨準備高は通貨が売られそうになった場合にどれくらい為替介入ができるかを表すものです。

実際に為替介入を行わなくても外貨準備高が豊富であれば安心感にもつながるので重要となります。

下記ではこちらで挙げた5つのチェックポイントのデータを一覧で掲載します。

新興国通貨に投資する際のチェックポイント

上記でピックアップした新興国通貨の5つのチェックポイントです。

  1. 経常収支(対GDP比)
  2. インフレ率
  3. .財政収支(対GDP比)
  4. 公的債務残高(対GDP比)
  5. 外貨準備高

対象通貨は「ブラジルレアル、ロシアルーブル、インドルピー、インドネシアルピア、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソ」の7通貨とします。

下記に7通貨の5つのチェックポイントを一覧で掲載します。

上記でも掲載しましたが、特に重要なのは「経常収支(対GDP比)」と「インフレ率」です。

新興国通貨をチェック【2018年データを分析】

新興国通貨のチェックポイント

下記にポイントを掲載します。

注意が必要な水準の部分には背景に色付けしています。

経常収支の赤字が対GDP比で3%を超えると注意が必要です。

経常赤字(対GDP比)が3%を越えているのはインドネシア、南アフリカ、トルコです。

その中でもトルコはインフレ率が9.3%と極めて高く、財政収支(対GDP比)も3%を超えるマイナスとなっています。(トルコは3項目が要注意で特に重要な経常収支とインフレ率が共に要注意となってます)

外貨準備高の水準もそれほど高くなく、通貨が大きく売られているのが良く分かるデータとなっています。

一方、インドネシアルピアは1990年代後半のアジア通貨危機で大きく下落したイメージが残っている方もいるかもしれませんが、当時と比べると経済規模も大きくなり、外貨準備高が増加するなど大きく変化しています。

上記チェックポイントでも経常赤字以外は許容範囲内です。

近年、インドネシアルピーが新興国通貨の中でも安定した動きになっていることが理解できるデータです。

ブラジルは財政収支(対GDP比)の赤字水準が-7.2%と高いことを除けば、経常赤字もそれほど大きくなく、インフレ率も過去と比べてかなり低い水準ですのでそれほど悪い状況ではありません。

年金改革等が進んで財政再建が少しでも見えてくれば、通貨が大きく買われる環境も想定できます。

インドも財政収支(対GDP比)の赤字のみが問題です。

南アフリカは経常収支(対GDP比)と財政赤字(対GDP比)が問題です。

メキシコペソは注意すべきポイントはなく、それほど悪い状況ではありません。

メキシコは対米貿易黒字が比較的大きいことや不法移民の問題があり、トランプ大統領就任後、何かといじめられ、メキシコペソも逆風が吹いていましたが、マクロデータ上は問題ないようです。

そして、今回のデータで意外と好印象なのはロシア(ルーブル)です。

こちらもメキシコペソと同様に、注意すべきポイントはなく、全てのデータが良好な数字です。

確かに2018年後半~2019年にかけては、他の新興国通貨が弱含む中、ロシアルーブルが堅調な動きとなっているのが理解できます。

リスクがあるとすればロシアは歳入の多くをエネルギー関連に頼っていることです。

これまでも原油価格が下落するとロシアルーブルが連動して下落することがよくありましたので、ここは注意が必要です。

関連データ

ブラジルレアル、ロシアルーブル、インドルピー、インドネシアルピア、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソの長期チャートと変動要因の解説はこちらをご覧ください。各通貨の歴史を詳しく知ることができます。

外貨準備高のランキングはこちらをご覧ください。



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