新興国通貨は一般的に金利が高く、投資先としても人気があります。
一方、通貨のボラティリティは高く、大きく下落してしまうこともあります。
金利が高いこともあり、通貨が多少の下落であればトータルリターンでプラスになりますが、できれば通貨が下落しない時に投資したいものです。
こちらのページでは新興国通貨について5つのチェックポイントを紹介しています。
- チェックポイント:経常収支・インフレ率・財政収支・公的債務残高・外貨準備高
詳細は下記をご覧ください。
それではまず、新興国通貨を取り巻く問題点から整理します。
新興国通貨を取り巻く問題点から5つのチェックポイントをピックアップ
通常、新興国は資本不足で海外からの投資(直接投資・証券投資)に依存しており、その結果として経常収支は赤字になりやすくなります。
経常収支の赤字を直接投資・証券投資等の金融収支の黒字で穴埋めする構図です。
- 国際収支の内訳や考え方はこちらを参考にしてください:日本の国際収支の推移/内訳を分かりやすく解説
また、理由は様々ですが新興国はインフレ率が高水準で推移する傾向があります。
経常収支の赤字と高インフレは新興国通貨にとって、最も大きなマイナス要因となります。
2013年にモルガンスタンレーがレポートで脆弱な新興国5通貨でのことを「フラジャイル5(fragile five)」(脆弱な5通貨)と命名しました。
具体的にはブラジルレアル・インドルピー・インドネシアルピア・トルコリラ・南アフリカランドの5通貨で、選ばれた理由は「経常赤字」と「高インフレ」で通貨が下落しやすいというものでした。
個人的にも「経常赤字」と「インフレ率」は新興国通貨にとって最もチェックする必要があるデータだと思っています。
その他、通貨に関連するポイントとして重要なのは財政問題です。
財政問題は新興国に限ったことではなく、多くの先進国でも問題になっていますが、新興国の場合は経済基盤が弱いことから、財政悪化は債券の格下げにつながりやすく、さらには通貨の下落にもつながるケースが多くあります。
財政問題に関しては年間の財政赤字の規模を表す「財政赤字(対GDP比)」と累積の財政赤字額を表す「政府債務残高(対GDP比)」をチェックする必要があります。
過去の経験則からも「財政赤字(対GDP比)」と「公的債務残高(対GDP比)」は両方ともチェックしておくべきデータだと思います。
そして最後に、これは通貨が売られそうになった場合の防波堤のような役割ですが、「外貨準備高」もおさえておく必要があります。
外貨準備高は通貨が売られそうになった場合にどれくらい為替介入ができるかを表すものです。
実際に為替介入を行わなくても外貨準備高が豊富であれば安心感にもつながるので重要となります。
下記ではこちらで挙げた5つのチェックポイントのデータを一覧で掲載します。
新興国通貨に投資する際のチェックポイント一覧(経常収支・インフレ率・財政収支・公的債務残高・外貨準備高)
上記でピックアップした新興国通貨の5つのチェックポイントの一覧です。
- 経常収支(対GDP比)
- インフレ率
- .財政収支(対GDP比)
- 公的債務残高(対GDP比)
- 外貨準備高
主要新興国通貨(人民元・ブラジルレアル、ロシアルーブル、インドルピー、インドネシアルピア、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソ)について上記のデータを確認したい場合はこちらをご覧ください。
上記でも掲載しましたが、特に重要なのは「経常収支(対GDP比)」と「インフレ率」です。
関連データ
人民元・ブラジルレアル・ロシアルーブル・インドルピー・インドネシアルピア・南アフリカランド・トルコリラ・メキシコペソの長期チャートと変動要因の解説はこちらをご覧ください。各通貨の歴史を詳しく知ることができます。
外貨準備高のランキングはこちらをご覧ください。