ファイナンシャルスター

ハイレベル金融サイト(投信・債券・REIT・税制など)

原油価格の見通し(特に供給サイドのコストから考える)

投稿日:2016年8月5日 更新日:

原油価格の推移

原油価格が大きな価格の変化を見せています。

  • 2014年6月:100ドル~110ドル
  • 2016年2月:26ドル台
  • 2016年8月4日現在:40ドル台

過去に遡ると原油価格は90年代はほぼ1バレル=20ドル前後で推移していました。

2000年代に入ると、中国やインドをはじめとする新興国の成長による需要拡大から価格が上昇し始め、2008年7月に1バレル=147ドル台をつけました。

その後、2008年9月のリーマンショックによる世界経済の低迷から、原油価格も下落を始め、2008年12月には1バレル=32ドルまで下落しました。

その後、原油価格は再度上昇し、2010年~2014年は80ドル~110ドルで推移していました。

oilprice_chart

原油価格 直近の下落要因

2つの大きな要因

  • 中国経済の減速による需要減
  • 米国シェールオイルの増産による供給増

需要面と供給面の両サイドに大きなインパクトのある要因が同時に重なった結果、1年6ヶ月で価格が1/4となりました。

特にシェールオイルは従来、「生産コストが高く、急激な生産増はない」とみられていましたが、技術革新により生産コストは大幅に低下し、1バレル=40ドル程度で採算が合うものも出てきているようです。

供給面から今後の原油価格を考える
(財政収支ベースコスト・経常収支ベースコスト)

では今後はどうなるのでしょうか?

また数年前のように1バレル=100ドルを超えて推移するのでしょうか?

90年代のように20ドル前後で推移するのでしょうか?

中長期で見れば全世界のエネルギー需要は拡大していくものと予想されます。電気自動車、太陽電池が原油の需要を代替していくことも予想されますが、原油が全く必要なくなることはありません。

当面の原油価格を予想するには供給面から考えると良いと思います。

供給サイドとしては、赤字になるか価格では生産する意味はありません。下記にあるように中東各国の生産コストは非常に低く、1バレル=20ドル程度での十分採算が合います。

しかし、90年代と異なるのは、産油国はどの国も原油関連の収入を織り込んで国家予算(財政予算)を組んでいる点です。

下記にあるようにサウジアラビアを例に見てみると生産コストは1バレル=7ドルですが、90ドル以上でないと財政赤字になってしまいます。

また、60ドル以上でないと経常収支も赤字になってしまします。

一時的であれば問題ありませんが、長期間の財政赤字や経常収支赤字は許容できません。

oilprice_cost

他の産油国のデータも総合すると、産油国の財政収支(国家予算)ベースのコストからみた場合、1バレル=80ドル~100ドル程度でないと生産するインセンティブが働きません。

同様に経常収支ベースのコストからみた場合は1バレル=50~60ドルは必要ということになります。

これらを総合すると現在の1バレル=40ドル前後の価格は割安な水準と思われます。

もちろん中東の産油国が減産等を行い価格調整を行っても、シェールオイルの技術革新が予想以上に進むことや、世界経済が予想以上に減速して需要が大幅に減少する可能性もあります。

特にシェールオイルの生産コストは劇的に低下していますので、以前のように1バレル=100ドルまで再度上昇するかというとそれは難しいと言わざるを得ません。

原油価格は目安となるバリュエーション(株式でのPER、PBR、配当利回り)がなく適正価格を予想することは難しい投資対象ですが、今回は生産再度のコストから考察してみました。

原油関連の投資商品

 原油価格に連動するETF

原油価格に連動する商品としてはETFが一般的です。

ただし、原油ETFの場合は裏付け資産が現物ではなく先物になります。

先物での運用の場合、必ず限月交代(先物のロール)の問題が発生します。

先物をロールする際に、同じ価格で乗り換えられれば問題ないのですが、多くの場合、期先(決済時期が後)の先物価格の方が高いので乗り換えるとロスが発生します。特に原油価格に先高観がある場合はその傾向が強くなります。

原油に連動するETFや投信を購入して、原油価格が上昇したのに、思ったほど儲かっていないなと感じるときは、大半はこれが原因です。

詳しくは「ETFについて」の最下段【コモディティ関連の問題点について】に掲載しておりますので、そちらで確認してください。

エネルギー株に投資する投信

エネルギー株は原油関連の投資対象ですが、やはり値動きは原油よりも世界の株式市場に近い推移となってしまします。よって中長期的に原油価格が上昇したとしてもエネルギー株の動きは必ずしも同様とは限りません。

MLPに投資する投信

MLPの80%を占める中流MLPはパイプラインや貯蔵施設の利用料が収益源であり、エネルギー価格に直接連動しているわけではありません。

値動きはこちらもエネルギー株と同様に株式市場の影響が大きいと言えます。

しかし原油価格が下落する過程では原油価格に足を引っ張られてパフォーマンスが悪化することがあります。

ロシアルーブルは金利付き原油投資

ロシアの歳入は原油に依存している比率が高いこともあり、下記のチャートの通り、ロシアルーブルは原油価格に比較的近い動きとなっています。

10年スパンの推移では大きくかい離する場合もありますが、数年スパンでは概ね同様の動きとなっています。

また、原油に投資した場合はインカム収益はありませんがロシアルーブルに投資する場合は金利が付与されます。

2005年以降、ロシアルーブルの短期金利は多くの期間で4%~7%程度で推移しましたが、原油価格が下落した2014年~2015年は10%以上の高い水準となっていることもあり、投資するには良い対象といえます。

よってロシアルーブル投資は言い換えると金利付き原油投資」といえます。

具体的な投資対象としてはロシアルーブル建ての債券に投資する投資信託が良いと思われます。

商品例)
短期ロシアルーブル債オープン、DWSロシアルーブル債券投信

上記から、短中期で原油価格に投資するという条件であれば、原油価格とかい離するリスクはありますが、ロールコストもなく、金利が付くロシアルーブルがベストと思われます。

ロシアのマクロデータはこちらを参照してください

 

関連ページ

MLPについてのセールストークはこちらを参照してください!

米国エネルギーMLPオープン(エネルギー・ラッシュ)

ロシアルーブルの長期チャートと変動要因の解説はこちら!

ロシアルーブル為替レート(円/ルーブル,ルーブル/ドル)長期推移(チャート・変動要因)

原油価格の長期チャートと変動要因の解説はこちら!

WTI原油スポット価格 長期推移(チャート、変動要因)

PC記事下2つ

PC記事下2つ

関連コンテンツ



-知識・ノウハウ(コモディティ)

Copyright© ファイナンシャルスター , 2017 AllRights Reserved Powered by AFFINGER4.