こちらのページでは主要国の「名目GDP」「1人当たりGDP」「人口」が2000年と2020年でどのように変化したかを解説しています。
2000年~2020年の間に、日本の「名目GDP」は中国に抜かれ2位から3位となりました。
その内訳として、日本の「1人当たりGDP」(生産性)は2位から24位と大きくランクダウン、「人口」も11位から9位となっています。
人口減少が始まり、「1人当たりGDP」(生産性)も伸びないという、先進国の悪い見本となっています。
一方、米国は先進国の理想形となっています。
詳細は下記をご覧ください。
「名目GDP」=「1人当たりGDP(生産性)」×「人口」
名目GDPを計算式で表すと下記のようになります。
- 名目GDP(経済規模)=1人当たりGDP(生産性)×人口
言いかえると、「経済規模」は「生産性」と「人口」で決まります。
経済規模が大きい国を経済大国と呼びます。
下記では2000年と2018年の名目GDP(経済規模)トップ20ヶ国を比較し、内訳である「1人当たりGDP」と「人口」の変化がどのように影響したかを確認していきます。
- 名目GDPランキングはこちらを参照:名目GDPランキングの推移(2000年・2010年・2020年)
- 1人当たりGDPランキングはこちらを参照:1人当たりGDPランキングの推移(1990年・2000年・2010年・2020年) / 日本の地位は低下傾向
主要国の名目GDP・1人当たりGDP・人口の変化(2000年・2020年)
名目GDPランキングと「1人当たりGDP」「人口」の変化
2000年と2020年の名目GDPトップ20ヶ国の「名目GDP」「生産性(1人当たりGDP)」「人口」の一覧です。
米国は先進国の理想形、日本は悪い例
2000年も2020年も名目GDPトップは米国です。
米国は2000年時点で「1人当たりGDP」が36,433ドルで5位と高水準でしたが、そこからさらに生産性を高め、2020年には63,358ドルまで上昇しました。
同時に「人口」も移民の影響もあり、同期間で15%増加し、結果として「名目GDP」は約10.3兆ドルから約20.9兆ドルと約2倍に拡大しています。
高い生産性の実現と緩やかな人口増加という先進国のお手本のような国となっています。
その逆が日本です。
日本は2000年時点では「1人当たりGDP」がルクセンブルグについて2位であり、主要国に限定すると最も高い生産性を実現していました。
しかし、2020年までの20年間で1人当たりGDPは横ばいで推移し、順位は24位まで下落しました。(先進国でも多くの国が生産性を向上させた中、日本は生産性の向上を実現できませんでした)
「人口」も2007年頃から減少が始まり、結果として名目GDPは18年間で横ばいとなりました。
生産性が上がらず、人口減少という先進国の悪い見本となっています。
人口減少と生産性向上に向けた対策を同時かつ早急に行う必要性があります。
特に人口減少は加速しており注意が必要です。
ドイツは人口はほとんど増加していませんが、生産性(1人当たりGDP)が20年で2倍となっています。
その結果、経済規模(名目GDP)は人口が1.5倍の日本と肩を並べる水準まで拡大してきました。
ドイツ以外の欧州各国(英国、フランス、イタリア、スペインなど)もそれほど人口が増えない中、生産性(1人当たりGDP)が大きく上昇しています。
これは、1999年にスタートした通貨ユーロの効果で域内の貿易が活性化した効果も大きいと考えられます。
もしかすると、日本のヒントがここにあるかもしれません。
新興国は生産性向上が著しく、経済規模が大きく拡大
新興国の代表格であるBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)は「名目GDP」(経済規模)が大きく拡大しています。
もともと人口が多いところに「1人当たりGDP」(生産性)が大きく上昇したため、「名目GDP」(経済規模)が大きく拡大しました。
1人当たりGDPは中国が約10倍、インドが約5倍、ブラジルが約2倍となっています。
ただし、ブラジルとロシアは1人当たりGDPが1万ドル前後で頭打ちとなり、なかなか先進国になれない、いわゆる「中所得国の罠」の状態になりつつあります。
一方、2000年時点で新興国であった韓国は1人当たりGDPが3万ドルを超える水準となり、先進国の仲間入りを果たしています。(少し意外かもしれませんが韓国はここ最近で新興国から先進国に発展した成功例と言われています)
中国は現在、1人当たりGDPが1万ドル前後まで上昇してきましたが、現在のトレンドを維持したまま1万ドルを突破し、成長が続くのか注目されます。
さらに中国の人口は一人っ子政策を行なっていた影響もあり、2030年頃から急激に減少することが予想されております。
そのため、生産性の向上が上手く進まないと日本のような状況になる可能性もあります。
中国はすでに世界第2位の経済大国でもあり、グローバル経済にも与える影響も大きいことから、成長が期待されます。
インドやインドネシアは1人当たりGDPの水準がまだ低いことから、当面は経済成長が期待できそうです。
同時に両国は人口も多いことから中国・日本に続くアジア発の経済大国としての役割も期待されます。
2020年代〜2030年代はインドやインドネシアが世界経済の牽引役となりそうです。
さらにその後はナイジェリアをはじめとするアフリカ諸国の経済発展が進みます。
これを見ていると現在、中国は踊り場に差し掛かっていますが、それを補う国々も出てきており、当面はグローバル経済全体の名目GDPは拡大すると予想されます。