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日本の国際収支の推移1996年~(内訳を分かりやすく解説)

こちらのページでは日本の国際収支の時系列データと国際収支の内訳についての分かりやすい解説を掲載しています。

2014年から国際収支マニュアル第6版に準拠した統計に移行しており、項目名や符号表示が一部変更になっています。

かなり大きな変更となりましたので、以前の基準で覚えている方は注意してください。

まずは国際収支の各項目の時系列データです。

日本の国際収支の推移(時系列データ)

※データ出所:財務省

現行の基準では「経常収支+資本移転等収支−金融収支+誤差脱漏=0」の関係が成り立ちます。

1996年~2005年(単位:兆円)

日本の国際収支の推移(1996年~2005年)

2006年~2015年(単位:兆円)

日本の国際収支の推移(2006年~2015年)

2016年~2022年(単位:兆円)

日本の国際収支の推移(2016年以降)

日本の国際収支の内訳を分かりやすく解説

日本の国際収支の内訳について出来るだけ分かりやすく解説しています。

まず、国際収支の概略から掲載します。

日本の国際収支の内訳

上記にも掲載しましたが「経常収支+資本移転等収支−金融収支+誤差脱漏=0」の関係が成り立ちます。

日本に限らず一般的には「経常収支」と「金融収支」のウエイトが大きくなります。

例えば、恒常的に経常赤字の国はその裏側である金融収支が黒字となる必要があります。つまり、「貿易」や「海外資産からの収益(第一次所得収支)」等で稼げない分、海外から直接投資や証券投資を呼び込む必要があるということです。(新興国に多いパターンです)

日本はその逆で、過去に貿易等で稼いだお金を海外に投資(直接投資・証券投資)し、投資した資産から大きな収益を得る(第一次所得収支)という構造になっています。(上記の表の通り、日本は近年特に、第一次所得収支が大きくなっています)

下記では各項目ごとのポイントや具体的にどのような取引が該当するのかをできるだけ分かりやすく箇条書きで掲載しています。

経常収支

  • 「経常収支」は下記の「貿易収支」「サービス収支」「第一次所得収支」「第二次所得収支」の合計
  • 日本の経常収支は恒常的に黒字となっている
  • 以前は日本の経常黒字の中心は「貿易収支」の黒字であったが、現在は「第一次所得収支」の黒字にシフトしている

貿易収支

  • 輸出と輸入の差額
  • 黒字の場合は輸出が輸入を上回る状態であり、輸出代金を円転する取引のニーズが発生するため、一般的には円高要因
  • 逆に赤字の場合は、輸入代金の支払いの為、円から外貨に変換するニーズが発生し円安要因
  • 対米貿易収支はこちらを参照:米国の貿易赤字 長期推移(対中国・対日本・対メキシコ)
  • 以前は10兆円以上の貿易黒字を継続していたが、東日本大震災(2011/3)後の原発停止によるエネルギー輸入量が増加したことと、1ドル=76円前後まで進んだ円高により2011年~2015年は貿易赤字となった。
  • その後も製造業の工場海外移転などが広がり、以前ほどの大きな貿易黒字にはなりにくくなっている

サービス収支

  • モノ以外のサービス貿易の収支。(旅行・輸送・知的財産権使用料などが含まれる)
  • 日本は恒常的に赤字が続いていたが、近年、大幅に改善し黒字化が目前となっている。下記の特許料収入の増加や訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加が主な要因。
  • 海外からの特許料収入等の増加で知的財産による黒字が増加している。(ただし日本企業の場合は海外子会社からの特許料収入が多い)
  • 日本人の海外旅行に比べて、海外から日本に来る旅行者(インバウンド)が増加しており、2015年に初めて旅行による収支が黒字化した
  • 旅行収支:2013年0.7兆円の赤字、2014年0.04兆円の赤字、2015年1.1兆円の黒字、2016年1.3兆円の黒字、2017年1.8兆円の黒字、2018年2.4兆円の黒字、2019年2.7兆円の黒字

第一次所得収支

  • 2013年までの「所得収支」
  • 海外に保有する資産から生じる利子・配当金の収支を表す
  • 直接投資収益:親会社と子会社との間の利子・配当金の収支
  • 証券投資収益:通常の投資の株式配当金や債券利子の収支
  • 日本は個人・法人が保有する海外資産が増加していることで、海外資産から得る配当や利息が増加し、第一次所得収支(旧 所得収支)の黒字が継続的に増加している
  • 経常黒字の大きな柱となっている

第二次所得収支

  • 2013年までの「経常移転収支」
  • 海外への援助や国際機関への分担金、外国人の本国への送金など。
  • 日本の場合は恒常的に赤字となっている。

金融収支

  • 下記の「直接投資」「証券投資」「金融派生商品」「その他投資」「外貨準備増減」の合計
  • 2013年以前の「資本収支」から「その他資本収支」を除き、「外貨準備増減」を加えたものとなった
  • 2013年以前の基準では資金の出入りを表現していたが、現在の基準では海外資産・負債合計の増減を表している(金融収支は統計手法の改定により以前と異なり、海外資産・負債の合計額を表しており、国内外の資金の出入りを表しているわけではないので注意する必要がある)

直接投資

  • 議決権ベースで10%以上の株式の取得
  • 長期的に増加傾向である
  • 日本企業が海外に出資等する場合、従来はマイナス表記されていたが、現在の統計ではプラス表記となっている。
  • 日本企業の海外への投資(海外資産の増加)と海外企業の国内への投資(海外負債の増加)はどちらもプラスとなる。

証券投資

  • 通常の株式や債券の投資
  • 直接投資と異なり、年によってプラスになったりマイナスになったりしている。この違いは直接投資の方が投資スパンが長い資金が入っているからである。
  • 直接投資と同様にプラスマイナスの符号に変化があった。
  • 考え方は直接投資と同じで、資産・負債が増加したらプラス、減少したらマイナスとなる

金融派生商品

  • デリバティブ取引等

その他投資

  • 間接金融である預金や融資の取引

外貨準備増減

  • 政府が保有する対外資産
  • ほぼ大半の年でプラスとなっている

資本移転等収支

  • 政府が発展途上国に行うインフラ等の支援

誤差漏洩

  • 全体の誤差の修正



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