こちらのページでは「人口ボーナスの定義」と「主要国の人口ボーナス指数の推移」を掲載しています。
各国の長期的な経済成長を予測する上で、人口ボーナスは非常に参考になりますのでご活用ください。
人ロボーナス期の定義は大きく2つ
人ロボーナス期とは総人口に占める働き手の割合が大きいことで経済成長がしやすくなる環境のことを表します。
具体的には「15歳~64歳の生産年齢人口」と「0歳~14歳、65歳以上の従属人口(子供や高齢者)」のデータから計算されます。
- 生産年齢人口についてはこちらを参照:主要国の生産年齢人口・生産年齢人口比率の推移
人ロボーナス期の定義は大きく下記の2つに分けられます。
①人ロボーナス指数と呼ばれる「生産年齢人口(15歳~65歳)を従属人口(年少者や高齢者など)で割った指数」が200を超えている期間
つまり「生産年齢人口(15歳~65歳)」が「従属人口(年少者や高齢者など)」の2倍以上となっている期間です。
- 人ロボーナス指数=生産年齢人口/従属人口×100>200
②人ロボーナス指数が増加している期間
こちらはシンプルに人口ボーナス指数が増加している期間です。
他にも細かい定義のものがありますが、このどちらかが使われているケースが多いようです。
①の【人ロボーナス指数と呼ばれる「生産年齢人口(15歳~65歳)を従属人口(年少者や高齢者など)で割った指数」が200を超えている期間】を使うケースも多いようですが、この場合ですと例えば230から低下して205になった場合も人ロボーナス期ということになります。
経済成長を考える場合は対前年比の変化率が重要となることから、ここでは上記の①より②の人ロボーナス指数が増加している期間を人ロボーナス期として進めていきます。
主要国の人ロボーナス指数の推移
1980年〜2050年の人口ボーナス指数の推移を掲載しています。
人口ボーナス指数がピークに達する時期を1990年頃、2010年頃、2025年頃、2050年頃の4つのグループに分けて掲載します。
人ロボーナス指数が1990年頃にピーク(日本・ドイツ)
まず、もうかなり昔の1990年に人口ボーナス指数がピークとなったグループからです。
イメージ通りですが、日本とドイツは1990年前後に人ロボーナス指数がピークとなっています。
すでに両国とも人口ボーナス指数が200を下回っており、今後も大きく低下していく見通しです。
特に日本は2050年には人口ボーナス指数が100前後となります。
つまり、生産年齢人口(15歳~65歳)と従属人口(年少者や高齢者など)が1:1になるという事であり、景気や社会福祉面で大きな問題になりそうです。
- 日本の人口増減の推移はこちらを参照:日本の出生数・死亡数・自然増減の推移 / 日本は人口維持をあきらめた?
人ロボーナス指数が2010年頃にピーク(中国・ロシア・米国・英国)
次に2010年頃に人口ボーナス指数がピークとなったグループです。
中国とロシアは2010年頃まで人ロボーナス指数が大きく上昇した後に下落トレンドに入っているのに対して、米国と英国は1980年から2010年まで長い間、人ロボーナス指数が200前後で横ばいとなった後、下落トレンドに入っています。
しかし、米国と英国は2050年でも日本やドイツほど大きく低下することはないと予測されています。
一方、中国とロシアは今後大きく低下する見通しとなっています。
人ロボーナス指数が2025年頃にピーク(ブラジル・マレーシア・インドネシア)
次に2025年頃に人口ボーナス指数がピークとなるグループです。
ブラジル、マレーシア、インドネシアは2025年頃に人ロボーナス指数がピークとなります。
よって、当面は人口ボーナスが国内景気などに追い風となります。
ただし、ブラジルとマレーシアはピークでも人口ボーナス指数が200前後と水準があまり高くないのがやや気になるところです。
人ロボーナス指数が2050年頃にピーク(フィリピン・インド)
最後に2050年頃に人口ボーナス指数がピークとなるグループです。
フィリピン、インドは2050年頃まで人ロボーナス指数が上昇を続けます。
こちらも水準が200を大きく超えないところはやや気になりますが、今後長期にわたって人口ボーナスの恩恵を受けられそうです。
人ロボーナスからグローバル経済を考える
上記の通り、先進国は人ロボーナス指数のピークを過ぎ下落トレンドとなっていますが、新興国がその代わりとして登場します。
2025年頃まではブラジルやインドネシアといった総人口が多い国で人ロボーナス指数が良い形になります。
人ロボーナス指数が上昇しかつ200を超える状況が続きます。
2025年以降、ブラジルやインドネシアがピークを付けた後にインドやフィリピンが登場する形となります。
特にその頃のインドは総人口でも中国を抜き世界一となっているはずですのでグローバル経済への貢献が期待されます。
更にその先はアフリカの国々が人ロボーナス期に突入することが予想されます。
2050年の人ロランキングではアフリカの国々が上位に多く入っています。
- 世界の人口推計についてはこちら:世界の人口推計(人口予測)/人口ランキング
このように人ロボーナスという観点から見ると世界経済は当面、成長できるポテンシャルはあると考えられます。
また、上記の人ロボーナス指数の推移は大きく外れることもないと思われ、株式の投資対象国や銘柄を考える上でも非常に参考になりますので覚えておいてください。
- 主要国の人ロピラミッドについてはこちらを参照してください:主要国の人口ピラミッド 2015年・2050年比較