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主要国の人ロボーナスを分析【人口ボーナス期の定義・人口ボーナス指数の推移】

こちらのページでは「人口ボーナスの定義」と「主要国の人口ボーナス指数の推移」を掲載しています。

人口ボーナス期は総人口に占める生産年齢人口の割合が高いことから景気が良くなりやすいといわれています。

『人口ボーナス指数(生産年齢人口 / 従属人口×100)』は「日本・ドイツ」は1990年頃がピーク、「中国・ロシア・米国・英国」は2010年頃がピークとなり既に下落トレンドに入っています。

一方、「ブラジル・マレーシア・インドネシア」は2025年頃にピーク、「フィリピン・インド」は2050年頃にピークを向かえます。

各国の長期的な経済成長を予測する上で、人口ボーナスは非常に参考になりますのでご活用ください。

人ロボーナス期の定義は大きく2つ存在【当サイトは『人ロボーナス指数が上昇している期間』を使用】

人ロボーナス期とは総人口に占める働き手の割合が大きいことで経済成長がしやすくなる環境のことを表します。

具体的には「生産年齢人口(15歳~64歳)」と「従属人口(0歳~14歳、65歳以上)」のデータから計算されます。

人口ボーナス指数は『生産年齢人口 / 従属人口×100』で表されます。

人ロボーナス期の定義は大きく下記の2つに分けられます。

①人ロボーナス指数が200を超えている期間

  • 『人ロボーナス指数=生産年齢人口 / 従属人口×100』 > 200

つまり「生産年齢人口(15歳~64歳)」が「従属人口(0歳~14歳、65歳以上)」の2倍以上となっている期間です。

②人ロボーナス指数が上昇している期間【当サイトはこちらを使用】

  • 『人ロボーナス指数=生産年齢人口 / 従属人口×100』が上昇

こちらはシンプルに人口ボーナス指数が上昇している期間です。言い換えると「従属人口(0歳~14歳、65歳以上)」に対する「生産年齢人口(15歳~64歳)」の割合が上昇している期間です。

人口ボーナス期の定義は他にもいくつかありますが、このどちらかが使われているケースが多いようです。

①の【人ロボーナス指数が200を超えている期間】を使うケースも多いようですが、この場合ですと例えば指数が230から低下して205になった場合も人ロボーナス期ということになります。

経済成長を考える場合は対前年比の変化率が重要となることから、当サイトでは上記の①ではなく②のか【人ロボーナス指数が上昇している期間】を人ロボーナス期として進めていきます。

主要国の人ロボーナス指数の推移

1980年〜2050年の人口ボーナス指数の推移を掲載しています。

人口ボーナス指数がピークに達する時期を1990年頃、2010年頃、2025年頃、2050年頃の4つのグループに分けて掲載します。

参考までに人口ボーナス指数が200を超える部分の背景を色付けしています。

人ロボーナス指数が1990年頃にピーク(日本・ドイツ)

まず、もうかなり昔の1990年に人口ボーナス指数がピークとなったグループからです。

人口ボーナス指数1990年ピーク(日本・ドイツ)

イメージ通りですが、日本とドイツは1990年前後に人ロボーナス指数がピークとなっています。

すでに両国とも人口ボーナス指数が200を下回っており、今後も大きく低下していく見通しです。

特に日本は2050年には人口ボーナス指数が100前後となります。

つまり、「生産年齢人口(15歳~64歳)」と「従属人口(0歳~14歳、65歳以上)」が1:1になるという事であり、景気や社会福祉面で大きな問題になりそうです。

人ロボーナス指数が2010年頃にピーク(中国・ロシア・米国・英国)

次に2010年頃に人口ボーナス指数がピークとなったグループです。

人口ボーナス指数2010年ピーク(中国・ロシア・米国・英国)

中国とロシアは2010年頃まで人ロボーナス指数が大きく上昇した後に下落トレンドに入っているのに対して、米国と英国は1980年から2010年まで長い間、人ロボーナス指数が200前後で横ばいとなった後、下落トレンドに入っています。

しかし、米国と英国は2050年でも日本やドイツほど大きく低下することはないと予測されています。

一方、中国とロシアは今後大きく低下する見通しとなっています。

人ロボーナス指数が2025年頃にピーク(ブラジル・マレーシア・インドネシア)

次に2025年頃に人口ボーナス指数がピークとなるグループです。

人口ボーナス指数2025年ピーク(ブラジル・マレーシア・インドネシア)

ブラジル、マレーシア、インドネシアは2025年頃に人ロボーナス指数がピークとなります。

よって、当面は人口ボーナスが国内景気などに追い風となります。

ただし、ブラジルとマレーシアはピークでも人口ボーナス指数が200前後と水準があまり高くないのがやや気になるところです。

人ロボーナス指数が2050年頃にピーク(フィリピン・インド)

最後に2050年頃に人口ボーナス指数がピークとなるグループです。

人口ボーナス指数2050年ピーク(フィリピン・インド)

インドは2025年がピークにも見えますが、2050年までほぼ横ばいでキープする見通しですので、こちらのグループに分類します。

フィリピンは2050年頃まで人ロボーナス指数が上昇を続けます。

こちらも水準が200を大きく超えないところはやや気になりますが、今後長期にわたって人口ボーナスの恩恵を受けられそうです。

人ロボーナスからグローバル経済を考える

上記の通り、先進国は人ロボーナス指数のピークを過ぎ下落トレンドとなっていますが、新興国がその代わりとして登場します。

2025年頃まではブラジルやインドネシアといった総人口が多い国で人ロボーナス指数が良い形になります。

人ロボーナス指数が上昇し、かつ200を超える状況が続きます。

2025年以降、ブラジルやインドネシアがピークを付けた後にインドやフィリピンが登場する形となります。

特にその頃のインドは総人口でも中国を抜き世界一となっているはずですのでグローバル経済への貢献が期待されます。

更にその先はアフリカの国々が人ロボーナス期に突入することが予想されます。

2050年の人ロランキングではアフリカの国々が上位に多く入っています。

このように人ロボーナスという観点から見ると世界経済は当面、成長できるポテンシャルはあると考えられます。

また、上記の人ロボーナス指数の推移は大きく外れることもないと思われ、株式の投資対象国や銘柄を考える上でも非常に参考になりますので覚えておいてください。

【参考】人口オーナスは人口ボーナスの逆

人口ボーナスの逆を表す「人口オーナス」という言葉があります。

オーナス(onus)は重荷・負担を表します。

人口オーナスは「生産年齢人口(15歳~64歳)」に対する「従属人口(0歳~14歳、65歳以上)」の割合が上昇することで、社会保障費などがかさみ、経済成長を阻害する状況です。

「生産年齢人口(15歳~64歳)」に対する「従属人口(0歳~14歳、65歳以上)」の割合は上記で紹介した人口ボーナス指数となりますが、人口ボーナス指数がどれくらいまで低下したら人口オーナス期となるかは明確な基準はありません。

感覚的には、人口ボーナス指数がピークをつけた後、下落トレンドが一定期間続いた場合に人口オーナス期に入ったと考えられます。



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