IPO銘柄でよく見られる動きとして、「寄付きは注目されて大きく上昇し、その後は下落と共に忘れられる」というケースがあります。
日本のIPOは「寄り天」(最初がピーク)が多いと言われます。
こちらのページでは寄付きで大きく上昇した銘柄がその後どのような推移となったかを確認し、そこから儲かりやすい投資戦略がないかを分析しています。
結論としては、IPOで大きく上昇するような銘柄は大きなポテンシャルを秘めているケースが多く、その後の下落局面で買っておくと大きく儲かる可能性があるということになりました。
それでは、下記で検証します。
IPO初値上昇率ランキングトップ3(2012年~2018年)一覧【7年分21銘柄】
まず、2012年~2018年の新規公開銘柄の中で、各年の初値上昇率トップ3をピックアップします。
初値上昇率は「初値 / 公募価格」で計算しています。
マーケット環境によって上昇率のバラツキはありますが、いずれも凄い上昇率です。
このような公募株をもらえた人は本当にラッキーです。(本来は完全に抽選で配分すべきです。恣意的に配分している現在のやり方では損失補てんと変わりません)
次に各銘柄の上場後のチャートです。
IPO初値上昇率ランキングトップ3銘柄(2012年~2018年)上場後チャート
2012年~2018年の各年のIPO初値上昇率トップ3銘柄の上場後のチャートを掲載します。
7年分ですので21銘柄です。
大きく上昇したこともあり、大半の銘柄が株式分割を行っています。
チャートは分割考慮後のデータで作成しています。
チャートの左側にある2つの赤い点の「下が公募価格(IPO価格)、上が初値」です。
少し多いかもしれませんが、じっくりご覧ください。
上場後、一定期間が経過している2012年~2015年のIPO銘柄(12銘柄)について上場後の推移を分析してみます。
2012年に上場した3銘柄以外は初値から一旦大きく下落しています。
2012年はアベノミクス(2012年12月~)前であり、日経平均も10,000円を下回る低い水準であったことから、公募価格のバリュエーション水準も抑え目で、かつ初値の上昇率も相対的に低かったことから、大きな下落になりませんでした。
2013年~2015年は株式市場が活況で、日経平均も10,000円割れから20,000円を上回る水準まで上昇しました。
- 日本株の推移はこちらをご覧下さい:日本株(日経平均)とドル円レート長期推移(チャート・変動要因)
マーケット環境が良いと公募価格が高めとなるとともに初値も大きく上昇しやすくなります。
その反動で大半の銘柄は一旦大きな調整となっています。
それでもリプロセルとANAP(共に2013年)以外は、公募価格(IPO価格)までは下落していません。
また、各年の初値上昇率トップ3に入る企業であり、元々将来性を高く評価されていたことから、一旦調整した後、大きく上昇する銘柄が多いことも確認できます。
2013年~2015年の9銘柄の内、リプロセルとアイリッジと除く7銘柄は再度評価されて大きく上昇しています。
これらから言えることは、IPO時に高い評価を受けて大きく上昇した銘柄で、その後の調整局面である程度下落した場合は、買いのチャンスということになります。
また、調整局面でも公募価格(IPO価格)までは下がらないケースが多いので、最悪のケースとして公募価格(IPO価格)を想定しておいて、購入後下落した場合は公募価格(IPO価格)近辺でナンピン買いすれば利益を上げられる確率が高まると思います。
2018年IPO上昇率トップのHEROZも公募価格の10倍以上という初値が付いた後、大きく下落していますが、押し目買いをしておくとどこかで再評価されるかもしれません。
分割考慮後の公募価格(IPO価格)は2250円で2019年3月時点の株価は9,000円前後です。
公募価格(IPO価格)までの乖離が大きいのでエントリータイミングは難しいですが、一度購入して、下がればナンピン買いが良いと思います。
これだけ注目されたということはかなり大きなポテンシャルがあるはずです。
このように一度大きく注目された銘柄というのは大きなポテンシャルを秘めている可能性が高いため、下がったところを狙う投資戦略は有効です。
IPO直後だけでなく、マーケットの調整局面で多くの銘柄が低迷している時に銘柄を発掘する際の材料としても活用できます。
そのため、IPO時の初値が極端に大きく上昇した銘柄は定期的にチェックできるように準備しておきましょう。