こちらのページでは投資・運用関連の用語のうち、少しマニアックなものについて掲載しています。
一般的な用語について様々なサイトで紹介されていますので、そちらで確認してください。
α(アルファ)とは・β(ベータ)とは
α(アルファ)はインデックスを上回る超過リターン、β(ベータ)はインデックスのリターンを表します。
【例】TOPIXをベンチマークとする日本株ファンドX
- ある期間のTOPIXの騰落率が5%、同期間の日本株ファンドXの騰落率が7%
- 5%はβ(ベータ)によるリターンであり、日本株ファンドXのα(アルファ)は2%となる
具体的な投資におけるα(アルファ)については下記をご覧ください。
また「β(ベータ)が1」や「β(ベータ)が1.2」といった使い方がありますが、これは「β(ベータ)が1」ということは完全にインデックスに連動するということです。
「β(ベータ)が1.2」ということは上下にインデックスの1.2倍の動きをするファンドであることを意味します。
δ(デルタ)とは
デリバティブの場合、【原資産の変動に対するオプションプレミアムの変動率(例えば株式の変動に対してオプション価格がどれくらいの割合で変動するか)】を表します。
- オプションについてはこちらを参照:オプション取引についての分かりやすくて詳しい説明
転換社債(CB)の場合、【対象となる株式の変動に対する転換社債(CB)の連動率】を表します。
- 転換社債についてはこちらを参照:転換社債(CB)の仕組み・特徴・ポイントを分かりやすく説明
「デルタ1(ワン)」という場合はインデックスと同じ動きとなることを意味します。
「デルタヘッジ」という場合は保有するポートフォリオの市場リスクを排除することを意味します。「β(ベータ)ゼロ」や「β(ベータ)を消す」も同じ意味となります。
ボラティリティとは
「ボラティリティ」は価格の変動率を表します。
投資の世界において「ボラティリティ」「標準偏差」「σ(シグマ)」「リスク」は同じ意味を表します。
株式や債券のリスク・リターン表で、日本株ファンドXの年率リターンが7%、年率リスクが10%と掲載されている場合、これは具体的に何を意味しているか分かりますか?
- リターンは単純に年間収益率で年率7%の収益率
- ここでいうリスクとは通常「1標準偏差」のことで、約68%(2/3)の確立で発生するバラつきの範囲のこと
- 「年率リターン7%、年率リスク10%」ということは7%を中央値として±10%、つまり-3%~+17%の範囲に収まる確率が68%ということ
- 「ボラティリティ=標準偏差=σ(シグマ)=リスク」が大きくなると変動率が大きくなる
- 68%の範囲で収まることがどれくらい重要かは議論の余地があるが、バラつきの目安として活用されている。
ちなみに標準偏差の2倍(2標準偏差)に収まる確率は約95%、標準偏差の3倍(3標準偏差)に収まる確率は約99.7%となります。
2標準偏差は株式等のテクニカル分析で人気がある「ボリンジャーバンド」で使われています。「移動平均線+2標準偏差」がボリンジャーバンドです。
- ボラティリティについての詳しい解説はこちらを参照:ボラティリティについての分かりやすくて詳しい説明
- リスクリターン表をエクセルで作成する方法はこちらを参照:リスク(標準偏差)や相関係数の資料をエクセルで作成(リスクリターンの意味を具体的に説明)
シャープレシオとは
ファンドの1リスク当たりのリターンを表します。
厳密にはリターン部分から無リスク資産の利回り(リスクフリーレート)をマイナスしますので下記のような式となります。
- シャープレシオ=(ファンドの収益率-リスクフリーレート)/ファンドの標準偏差
まれにヘッジファンドでもシャープレシオを使って資料を作成している場合がありますが、ヘッジファンドの場合はリターンのバラつきが正規分布にならないのでこれはミスリードです。
ヘッジファンドのリターン分布は平常時はほぼ一定のリターンで収まり、何かショックがあると極端に大きくぶれる傾向にあります
正規分布になっていないデータで標準偏差を使うのはやや無理があります。
ソルティノレシオとは
シャープレシオの改良版で分母に標準偏差ではなく下方偏差を使います。
標準偏差の場合、上下のブレを表しますが、投資家にとって上にブレることは問題ないので下にブレる分だけをリスクと考える手法です。
- ソルティノレシオ=(ファンドの収益率-リスクフリーレート)/ファンドの下方偏差
インフォメーション・レシオとは
インフォメーション・レシオ=アクティブリターン/トラッキングェラー
- アクティブリターン:ベンチマークに対する超過収益
- トラッキングェラー:アクティブ・リターンの標準偏差(ベンチマークリターンとの差のブレ)
数値が高い方が良い運用と評価されます。
超過リターンが3%、トラッキングエラーが5%のファンドのインフォメーション・レシオは3%/5%=0.6となります。
VaR(バリューアットリスク)とは
予想最大損失額のことで、銀行の資金運用部などで有価証券ポートを運用する際のリスク管理に多く使われます。
【例】観測期間:250日、信頼区間:99%、保有期間:1日
- 上記を説明すると、「過去250日のボラティリティから計算した場合の、1日の相場変動によって1%の確率で起こりうる最大損失額」
観測期間のボラティリティから計算されるため、マーケットのボラティリティが上昇するとVaRも上昇します。
よって、ボラティリティが上昇するとポートフォリオのポジションを減少させるために保有してる有価証券を売却する必要が出てきます。
リーマンショック後のJ-REITなどはこの理由で、売りが売りを呼び大幅に下落しました。
スマートベータとは
スマートベータ=賢い指数
利益、配当、時価総額など、何らかの指標を利用して銘柄を選定する指数です。
代表的なものとしてJPX400があります。
JPX400は売買代金と時価総額上位1,000銘柄の内、下記の定量的基準でスコアを算出し、上位400銘柄を選定します。
- 3年平均ROE:40%
- 3年累積営業利益:40%
- 時価総額:20%
イールドスプレッドとは
イールドスプレッド=長期債の利回り-株式の益回り
例えば日米株式のイールドスプレッドは下記の計算式となります。
- 10年米国債利回り-S&P500指数の益回り
- 10年日本国債利回り-TOPIX益回り
イールドスプレッドの実際のデータはこちらを参照してください!
裁定買い残とは
裁定取引(アービトラージ取引)において「先物売り+現物買い」のポジションにおける現物買いの残高のことです。
将来、裁定取引が解消される際、現物が売られることになるので、裁定買い残が大きくなると株式市場における売り圧力ととらえられます。
- 裁定買い残の解消で活躍するSQについてはこちらも参照:SQについての分かりやすい説明(仕組み・存在意義・幻のSQを検証)
特別分配金とは
投資信託の分配金は普通分配金と特別分配金に分けられます。
名称から特別分配金は特別な利益が上がった時に支払われる分配金のように感じる人がいるかもしれませんが、これは違います。特別分配金は言いかえると「元本の払い戻し」です。
投資家が受取る投信の分配金の内、実質的な利益の部分から支払うものが普通分配金、利益でなく元本の払い戻しとなる部分が特別分配金となります。
特別分配金は利益でないため課税対象になると投資家に不利益となることからこのように分けられています。
特別分配金は非課税だが、その分投資元本の簿価が下がることになります。
基準価格10,000円で購入、10,200円の時に300円の分配金を受取る場合
- 200円が普通分配金として課税対象
- 100円は特別分配金として非課税
- その後の簿価(投資元本)は10,000円→9,900円となる