こちらのページでは「南アフリカランドの通貨としての特徴」を分かりやすく解説しています。
高金利の南アフリカランドは日本でも人気の通貨で、債券や投信はかなり前から販売されています。
南アフリカランドの特徴は「新興国通貨+資源国通貨」という点です。
通貨の特徴を把握することでその通貨の変動要因が分かります。それにより投資すべきタイミングも分かるようになります。
南アフリカランドに投資する上での参考にして下さい。
南アフリカランドは「新興国通貨+資源国通貨」
原油価格にリンクしているロシアルーブルや、新興国通貨でありながら非資源国通貨であるインドルピーのような分かりやすい特徴がないのが南アフリカランドです。
- ロシアルーブルの特徴についてはこちら:ロシアルーブル為替レート(円/ルーブル,ルーブル/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
- インドルピーの特徴についてはこちら:インドルピーの特徴(新興国通貨でありながら非資源国通貨)
南アフリカランドは新興国通貨であり資源国通貨でもあるのでイメージとしてはブラジルレアルに似ていると言えます。
下記は南アフリカランドとブラジルレアルの比較チャートです。
南アフリカランドとブラジルレアルはかなり相関性が高いことが見て取れます。
南アフリカ・ブラジルそれぞれの個別要因により為替レートが動く場合は別ですが、新興国通貨・資源国通貨という共通の特徴があることから、マネーフローの変化があった際に同じ影響を受けることが多いと考えられます。
- 南アフリカランドの最新のチャートはこちらを参照:南アフリカランド為替レート(円/ランド、ランド/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
下記では南アフリカランドの「新興国通貨としての特性」と「資源国通貨としての特性」について掲載しています。
まずは「新興国通貨としての特性」です。
新興国通貨としての南アフリカランド
新興国通貨としての特性は下記の通りです。
- 経常収支・財政収支が赤字になりやすい
- インフレ率や金利が先進国より高い(2010年以降のインフレ率は中央銀行のインフレ目標である3%〜6%の範囲内に収まっており、金利はインフレ率より高めに設定している)
- 経済成長率が先進国より高い
- 政局が不安定
- 格付けが先進国より低い【主要国の格付け一覧はこちらを参照:世界の国債格付け(ソブリン格付け)一覧】
- 通貨のボラティリティが高い
- 米ドル金利の上昇はマイナス要因
- マーケットのリスクオフ時に通貨が下落しやすい
これらの特性から世界的な景気悪化や金融危機などのショック時は大きく値下がりしやすくなっています。
ITバブルが崩壊して世界的に不況となった2001年末やリーマンショック後の2008年末は南アフリカランドも大きく下落しました。
新興国は先進国と比較して経済的基盤が脆弱であるため、ショック時のボラティリティはどうしても高くなります。
また、米ドル金利が上昇する際に通貨が下落するのは新興国通貨において共通の特性です。
- 南アフリカのマクロ経済指標についてはこちらを参照:新興国マクロデータ推移
- 新興国の経常収支の推移についてははこちらを参照:主要国の経常収支の推移【②新興国】
資源国通貨としての南アフリカランド
資源国としての特性から、資源価格が下落すると通貨は下落しやすくなります。
南アフリカは産油国ではありませんが、プラチナ(白金)、金、鉄鉱石、石炭の生産量は世界でもトップクラスであり、資源国通貨ということができます。
実際、これまで南アフリカランドが大きく下落したタイミングは資源価格が下落したタイミングと重なっています。
南アフリカは産油国でないため比較チャートは原油価格ではなく、コモディティマーケット全体を表すCRB指数を使って南アフリカランドと比べています。
ちなみに南アフリカランドは生産量が多い金やプラチナの長期チャートとはそれほど高い相関関係がありません。(あくまでコモディティマーケット全体との相関性がみられるということです)
2012年〜2016年にかけて大きく下落していますが、当時は原油価格をはじめとする資源価格が大きく下落しました。(原油価格は1バレル=100ドル超から1バレル=25ドル前後まで下落)
南アフリカランドの特徴のまとめ
南アフリカランドは「新興国通貨としての側面」と「資源国通貨としての側面」を併せ持っています。
よって、景気悪化時、金融不安時、資源価格が下落した時は通貨が下落しやすくなります。
また、米ドル金利が上昇する際も下落しやすくなります。
ただし、金利は高めで政策金利は最も低い時でも5%以上となっていますので中長期的に保有すれば、ある程度の通貨安はカバーできます。
また、2010年以降はインフレ率も中央銀行のインフレ目標の範囲内でコントロールされています。
- 南アフリカの政策金利とインフレ率はこちらを参照:金利とインフレ率推移(チャート・変動要因)【②資源国】
南アフリカランドは、資源価格の変動が大きくなく、インフレ率が一定の範囲内で収まっていれば、長期的には金利込みのトータルリターンではプラスになりやすい通貨と考えられます。