こちらのページでは資源国(オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・メキシコ・南アフリカ)の政策金利とインフレ率の比較チャートを掲載しています。
一言で資源国といってもオーストラリア・ニュージーランド・カナダのような先進国とメキシコ・南アフリカのような新興国では特徴が異なります。
- 主要国のインフレ目標はこちら:主要国のインフレターゲット(インフレ目標)の水準と採用時期の一覧
それぞれの比較チャートの下には箇条書きでポイントを掲載しています。
※金利は原則として政策金利を使用、何らかの理由がある場合はLIBOR等のマーケット金利を使用します
※データが取得できる範囲でできる限り長く期間を取っていますので、チャート期間は国ごとに異なります
オーストラリアの政策金利とインフレ率の推移(RBA政策金利誘導目標、消費者物価指数)
- オーストラリア準備銀行(RBA)の金融政策の目的は①通貨価値の安定、②最大雇用の維、③経済的繁栄と厚生の促進と定めている
- RBAはインフレの抑制を「金融政策」の中期的な目標と位置づけ、インフレ率を2~3%で安定させることを目標としている
- 多くの期間でインフレ警戒の引き締め的な高金利政策がとられていた
- 豪ドルは高金利通貨として日本の投資家からの人気が高いが、2015年頃からは景気低迷等もあり低金利が続いている
- 2017年〜2019年は政策金利がインフレ率より低い水準となっており、RBAが緩和的姿勢であったことが見てとれる
- 2017年後半から景気は回復基調だが利上げは行われておらず、2018年〜2019年は政策金利が米国より低い水準となっていた
- 過去、オーストラリアの政策金利が米国の政策金利を下回っていたのは1997年6月~2001年3月のみである(1997年6月~2001年3月の豪ドルは1豪ドル=0.5ドル~0.75ドルと豪ドル安の水準で推移した)
- 2020年3月、新型コロナウイルスの影響に対応する為、政策金利を0.25%に引き下げ。その後2020年11月には0.1%に引き下げ。
- 2021年~2022年はロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギー価格が上昇。また、半導体や部品不足により自動車・電子機器等の生産が停滞したことで、供給が需要に追い付かず、インフレ率に影響を与えた。
- 2022年12月、オーストラリアのCPIは7.8%まで上昇した
- 2023年11月、オーストラリアの政策金利は4.35%まで上昇した
- 豪ドルの推移はこちら:豪ドル為替レート(円/豪ドル,ドル/豪ドル)長期推移(チャート・変動要因)
- ドル/豪ドルの分析は実質金利差が有効:豪ドルの予想で重要なのは金利差ではなく実質金利差
ニュージーランドの政策金利とインフレ率の推移(ニュージーランド準備銀行オフィシャルキャッシュレート、消費者物価指数)
- 2002年9月以降、インフレ率の目標を1%~3% (2%±1%)としている
- 1990年にインフレ目標を世界で初めて導入した
- インフレターゲットを越える物価上昇率が長期間に渡り発生した場合、法律により財務大臣はニュージーランド準備銀行総裁を解任できることになっている
- そのためインフレ抑制のための引き締め気味の金融政策になりやすく金利は高めに推移してきた
- 2011年3月はインフレ率が上昇しているにもかかわらず利下げを行なっているが、これは2月に発生した大地震による景気悪化を防ぐためのものであった
- これを除けばほぼ政策金利がインフレ率を上回る形となっており、インフレに気を使った政策となっている
- 2020年3月、新型コロナウイルスの影響に対応する為、政策金利を0.25%に引き下げ。2014年~2019年までニュージーランドの政策金利はオーストラリアの政策金利を若干上回る水準が続いてきたが、この利下げで一時同水準となった。2020年11月にオーストラリアが利下げを行ったことで、再度ニュージーランドの政策金利が上回る形となった。
- 2021年~2022年のインフレ率上昇は上記オーストラリアと同様の理由。
- 2021年10月、オーストラリアに先駆けて、ニュージーランドが利上げを開始。
- 2022年6月、ニュージーランドのCPIは7.3%まで上昇した
- 2023年5月、ニュージーランドの政策金利は5.5%まで上昇した
- NZドルの推移はこちら:ニュージーランド・ドル為替レート(円/NZドル,ドル/NZドル)長期推移(チャート・変動要因)
- NZドルと豪ドルの比較はこちら:豪ドルとニュージーランドドルは連動している? / どちらに投資すべきか
カナダの政策金利とインフレ率の推移(カナダ銀行翌日物貸出金利、消費者物価指数)
- 1992年以降、カナダ銀行(中央銀行)はインフレ率の目標を1%~3% (2%±1%)としている
- リーマンショック~2020年までは政策金利がインフレ率を下回る緩和的な政策となっているが、インフレ率は概ねインフレ目標の範囲内に収まっていた
- 2021年~2022年のインフレ率上昇は上記オーストラリアと同様の理由。
- 2022年6月、カナダのCPIは8.1%まで上昇した
- 2023年8月、カナダの政策金利は5.0%まで上昇した
- カナダドルの推移はこちら:カナダドル為替レート(円/カナダドル、カナダドル/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
メキシコの政策金利とインフレ率の推移(メキシコ銀行翌日物レート、消費者物価指数)
- 2001年以降、メキシコ中央銀行はインフレ率の目標を2%~4% (3%±1%)としている
- 多くの期間で政策金利がインフレ率を上回る引き締め気味の運営を行っている
- 2016年~2017年はインフレ率上昇に対応する利上げを行った
- インフレ率が上昇した背景は2016年11月にトランプ大統領が誕生し、米国がメキシコにとって不利な政策をとることが予想され、それによりメキシコペソが大幅に下落したことがインフレ率上昇の最大の要因と考えられる(2016年頃はメキシコペソ以外の多くの資源国通貨・新興国通貨は上昇していたが、メキシコペソは2017年1月まで下落を続けた)
- 2018年からインフレ率が落ち着き、2019年にはインフレ目標の範囲内に収まった。それに伴い2018年〜2019年はメキシコペソも安定的に推移した。
- 2021年~2022年のインフレ率上昇は上記オーストラリアと同様の理由。
- 2022年8月、メキシコのCPIは8.7%まで上昇した
- 2023年3月、メキシコの政策金利は11.25%まで上昇した
- メキシコペソの推移はこちら:メキシコペソ為替レート(円/メキシコペソ、メキシコペソ/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
南アフリカの政策金利とインフレ率の推移(南アフリカ平均レポレート、消費者物価指数)
- 2000年以降、南アフリカ準備銀行(SARB)はインフレ目標を3%~6%としている
- インフレに気を使った金融政策となっており、多くの期間でインフレ率を上回る政策金利となっている
- インフレ率の変動が激しく、高インフレになりやすいことから、かなり機動的な政策金利の運営を行なっている
- 2021年~2022年のインフレ率上昇は上記オーストラリアと同様の理由。
- 2022年7月、南アフリカのCPIは7.8%まで上昇した
- 2023年5月、南アフリカの政策金利は8.25%まで上昇した
- 南アランドの推移はこちら:南アフリカランド為替レート(円/ランド、ランド/ドル)長期推移(チャート・変動要因)