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知識・ノウハウ(株式)

4つの景気循環(キチン・ジュグラー・クズネッツ・コンドラチェフ)は投資に活用できる

2018年11月7日

こちらのページでは4つの景気循環(キチン・ジュグラー・クズネッツ・コンドラチェフ)について分かりやすく解説しています。

4つの景気循環は教科書上のみの話ではなく、実際の投資にも非常に役に立ちます。

例えば、リーマンショック後の回復期となった2012年からの株価上昇です。

  • 2012年12月に始まった第2次安倍政権によるアベノミクス政策
  • 2013年3月に始まった黒田日銀による大規模金融緩和

これらの影響により株価は大きく上昇したと言われていますが、実は2013年は1967年以来46年ぶりに4つの景気循環が全て上向きとなるタイミングでした。

いわゆる「ゴールデンサイクル」です。

2022年~2024年も7回目のゴールデンサイクルとなりましたが、2030年頃は4つの景気循環が全て下向き(逆ゴールデンサイクル)になる可能性もあります。

詳細は下記をご覧ください。

4つの景気循環とは

まず最初に景気循環について解説します。

景気循環は周期の長さによって4種類存在します。

  • 短期
  • 中期
  • 長期
  • 超長期

それぞれ発見した学者の名前をとり、下記のような名称となっています。

  • キチン循環
  • ジュグラー循環
  • クズネッツ循環
  • コンドラチェフ循環

また、それぞれのサイクルは「企業の在庫投資」「企業の設備投資」「建築需要」「技術革新」に起因して発生します。

4つの景気循環をまとめたものがこちらです。

4つの景気循環一覧

周期については正確に一致するものではなく、おおよその目安と考えておいた方が良いと思います。

例えばチキン循環は経済学の教科書では40ヶ月(3年4ヶ月)と記載されているケースが多いと思いますが、実際には2年~6年位のイメージで考えておくと良いでしょう。

また、周期の見方はコンドラチェフの場合で説明すると50年上向き・50年下向きではなく、50年で1周するイメージです。

よって、25年上向き・25年下向きとなります。

また、注意点として景気循環をどのデータで表現するかによってサイクルに違いが出ることがあります。

同じ時期の同じ国でも、あるデータではサイクルが下向き、違うデータではサイクルが上向きとなることがあります。

アベノミクスは46年ぶりのゴールデンサイクル(4つの景気循環が上向き)だった

実はアベノミクスは政策だけでなくタイミングが(偶然にも)最高に良かったことをご存知ですしょうか?

アベノミクスが始まった第2次安倍政権は2012年12月にスタートしています。(日銀の黒田総裁が就任したのは2013年3月)

2012年12月以降、長期の景気拡大期(アベノミクス景気)に突入し、株価も大きく上昇しました。

もちろん、安倍政権の政策や黒田日銀の金融緩和による効果もあったとは思いますが、実は2013年は1967年以来46年ぶりに4つの景気循環が全て上向きとなるタイミングでした。

いわゆる「ゴールデン・サイクル(黄金循環)」の環境でした。

ここでは岡三証券株式会社 グローバルリサーチセンターの嶋中雄二氏の書籍等のデータを活用しています。(ちなみに嶋中氏は景気循環を投資に活用する分野では第一人者と言える人物です)

2013年時点の4つの景気循環の状況はこちらです。

  • 2012年に「キチン循環」と「ジュグラー循環」がともに谷をつけ上昇に向かった
  • クズネッツ循環」は2012年に谷をつけ、「コンドラチェフ循環」も2003年に谷をつけすでに上向きとなっていた

よって、2013年に4つの循環が全て上向きとなりました。

4つの循環が全て上向きになったのは過去6回しかありません。

過去に「ゴールデン・サイクル(黄金循環)」が発生した時期はこちらです。

  1. 日露戦争時の1904年
  2. 第1次大戦時の1916年
  3. 神武景気時の1957年
  4. 岩戸景気時の1960
  5. いざなぎ景気時の1967年
  6. アベノミクスの2013年

いずれも景気が良かった時期です。

これをみると、アベノミクスが始まったタイミングは、景気循環からみると本当に最高のタイミングであったといえます。

安倍首相は2007年に一度総理を辞め、2012年に再度、総理となりましたが、景気循環を研究してチャンスだと思って再登板していたとしたら凄いです。(偶然だと信じたいですが)

逆に直近で4つの循環が全て下向きになったのは1990年〜1992年です。

平成バブルがまさに弾けようとしている時期です。(株価のピークは1989年12月末でした)

このように景気循環は投資をする上で非常に参考になるので、定期的にチェックしておくと良いでしょう。

上記でも触れましたが景気循環の周期は少しずつずれていきますので、最新のデータは嶋中氏の書籍等をご覧いただくと非常に参考になります。

今後の4つの景気循環の見通し(2020年代・2030年代の見通し)

今後の景気循環の見通しをまとめると下記の通りです。(2024年3月時点の嶋中雄二氏のレポートからの抜粋)

まず、長期・超長期循環から確認します。

  • クズネッツ循環(長期)【2012年に谷】→2025年頃まで上昇(26年周期として計算)
  • コンドラチェフ循環(超長期)【2003年に谷】→2028年頃まで上昇

よって、長期・超長期循環は2020年代後半になると共に下向きになります。

  • キチン循環(短期)【2021年に谷】→2024年頃まで上昇(2年~6年程度の周期で上下)
  • ジュグラー循環(中期)【2020年に谷】→2025年頃まで上昇

日本においては、2022年~2024年が7回目のゴールデンサイクルとなります。

逆に2025年以降は下向きになる循環が多くなりそうです。2030年頃は4つの循環が全て下向き(逆ゴールデンサイクル)になる可能性もあります。

上記の内容は投資を行う上で非常に重要ですので忘れないように定期的に確認することをお勧めします。

また、サイクルの間隔は少しずつズレていきますので、最新の情報は嶋中氏の書籍やレポートも併せてご覧ください。



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