こちらのページでは4つの景気循環(キチン・ジュグラー・クズネッツ・コンドラチェフ)について分かりやすく解説しています。
4つの景気循環は教科書上だけの話ではなく、実際の投資にも非常に役に立ちます。
- 2012年12月に始まった第2次安倍政権によるアベノミクス
- 2013年3月に始まった黒田日銀による大規模金融緩和
この影響により、株価は大きく上昇したと言われていますが、実は2013年は1967年以来46年ぶりに4つの景気循環が全て上向きとなるタイミングでした。
いわゆる「ゴールデンサイクル」です。
一方、2020年代の日本は景気循環的にはあまり良い環境ではないようです。
詳細は下記をご覧ください。
4つの景気循環とは
まず最初に景気循環について解説します。
景気循環は周期の長さによって4種類存在します。
- 短期
- 中期
- 長期
- 超長期
それぞれ発見した学者の名前をとり、下記のような名称となっています。
- キチン循環
- ジュグラー循環
- クズネッツ循環
- コンドラチェフ循環
また、それぞれのサイクルは「企業の在庫投資」「企業の設備投資」「建築需要」「技術革新」に起因して発生します。
4つの景気循環をまとめたものがこちらです。
周期については正確に一致するものではなく、おおよその目安と考えておいた方が良いと思います。
例えばチキン循環は経済学の教科書では40ヶ月(3年4ヶ月)と記載されているケースが多いと思いますが、実際には2年~6年位のイメージで考えておくと良いでしょう。
また、周期の見方はコンドラチェフの場合で説明すると50年上向き・50年下向きではなく、50年で1周するイメージです。
よって、25年上向き・25年下向きとなります。
また、注意点として景気循環をどのデータで表現するかによってサイクルに違いが出ることがあります。
同じ時期の同じ国でも、あるデータではサイクルが下向き、違うデータではサイクルが上向きとなることがあります。
アベノミクス開始時は46年ぶりに4つの景気循環が上向きだった【ゴールデンサイクル】
実はアベノミクスは政策だけでなく、時期が最高に良かったことをご存知ですしょうか?
アベノミクスが始まった第2次安倍政権は2012年12月にスタートしています。(日銀の黒田総裁が就任したのは2013年3月)
2012年12月以降、長期の景気拡大期(アベノミクス景気)に突入し、株価も大きく上昇しました。
- 景気拡大期間ランキングについてはこちら:アベノミクス景気はイメージよりも実態が伴っている / 景気拡大期間ランキングと株価・GDPの推移
もちろん、安倍政権の各種政策や黒田日銀の金融緩和による効果は大きいと思いますが、実は2013年は1967年以来46年ぶりに4つの景気循環が全て上向きとなるタイミングでした。
いわゆる「ゴールデン・サイクル(黄金循環)」の環境でした。
ここでは三菱UFJモルガンスタンレー証券の嶋中雄二氏の書籍等のデータを活用しています。(ちなみに嶋中氏は景気循環を投資に活用する分野では第一人者と言える人物です)
2013年時点の4つの景気循環の状況はこちらです。
- 2012年に「キチン循環」と「ジュグラー循環」がともに谷をつけ上昇に向かった
- 「クズネッツ循環」は2010年に谷をつけ、「コンドラチェフ循環」も2001年に谷をつけすでに上向きとなっていた
よって、2013年に4つの循環が全て上向きとなりました。
4つの循環が全て上向きになったのは過去6回しかありません。
過去に「ゴールデン・サイクル(黄金循環)」が発生した時期はこちらです。
- 日露戦争時の1904年
- 第1次大戦時の1916年
- 神武景気時の1957年
- 岩戸景気時の1960
- いざなぎ景気時の1967年
- アベノミクスの2013年
いずれも景気が良かった時期です。
これをみると、アベノミクスが始まったタイミングは、景気循環からみると本当に最高のタイミングであったといえます。
安倍首相は2007年に一度総理を辞め、2012年に再度、総理となりましたが、景気循環を研究してチャンスだと思って再登板していたとしたら凄いです。(偶然だと信じたいですが)
逆に直近で4つの循環が全て下向きになったのは1990年〜1992年です。
平成バブルがまさに弾けようとしている時期です。(株価のピークは1989年12月末でした)
このように景気循環は投資をする上で非常に参考になるので、定期的にチェックしておくと良いでしょう。
上記でも触れましたが景気循環の周期は少しずつずれていきますので、最新のデータは嶋中氏の書籍等をご覧いただくと非常に参考になります。

今後の4つの景気循環の見通し(2020年代・2030年代の見通し)
今後の景気循環の見通しをまとめると下記の通りです。
まず、長期・超長期循環から確認します。
- クズネッツ循環(長期)【2011年に谷】→2021年頃まで上昇した後、2030年頃まで下落
- コンドラチェフ循環(超長期)【2001年に谷】→2026年頃まで上昇した後、2050年頃まで下落
よって、長期・超長期循環は2020年代後半になると共に下向きになります。
- キチン循環(短期)【2012年に谷】→2年~6年程度の周期で上下
- ジュグラー循環(中期)【2013年に谷】→2018年頃まで上昇した後、2023年頃まで下落
キチン循環は期間にバラツキがあるので注意が必要ですが、4つとも上向きの最も良い時期は過ぎた可能性があります。嶋中氏の書籍やレポートでも最も良い時期は2018年or2019年までとされています。(ちなみに米国も日本と同様に2018年までは4つとも上向きですが、2019年以降はコンドラチェフ以外の3つが下降局面に入るようです)
日本においては、2018年〜2023年頃はジュグラー循環(中期)が下向きになり、2021年〜2030年クズネッツ循環(長期)も下向きになります。
また、2026年頃からはコンドラチェフ循環(超長期)も下向きになります。
この期間で同時にキチン循環(短期)も下向きになる局面では注意が必要となります。
また、2030年〜2040年頃は長期循環であるクズネッツ循環が再度上向きになりますが、この期間は超長期(コンドラチェフ)が常に下向きになりそうです。
そういう意味では景気循環において最も良い時期は過ぎたようです。
上記の内容は投資を行う上で非常に重要ですので忘れないように定期的に確認することをお勧めします。
また、サイクルの間隔は少しずつズレていきますので、最新の情報は嶋中氏の書籍やレポートも併せてご覧ください。