こちらのページでは日本の経済指標の中で特に重要と思われるものをピックアップして掲載しています。
日本の経済指標は米国ほど注目度は高くありませんが、それでもマーケット分析に有益な情報が沢山あります。
今回はマーケットを分析する上で最低限確認しておきたい経済指標を選んでいます。
それではまず最初に、今回選択した経済指標の一覧を掲載します。
日本の経済指標一覧【注目度・公表時期】
それぞれの経済指標の注目度と公表時期も掲載していますので併せてご覧ください。
下記では各経済指標のポイント解説を掲載しています。
日本の主要経済指標を解説
上記一覧に掲載した主要経済指標を解説します。
ポイントは箇条書きで記載しています。
短観(日銀短観)
- 3、6、9、12月に調査、翌月(4月初、7月初、10月初、12月央)、午前8時50分に公表
- 正式名称は「全国企業短期経済観測調査」
- 日銀が金融政策を判断する上で短観に注目していると言われている
- 注目されるのは業況判断DIで米国のISM製造業景況感指数とイメージが近い
- 全国の約1万社の企業を対象に自社の業況や経済環境の現状・先行きについてどうみているかといった項目に加え、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値など、企業活動全般にわたる項目についてアンケート調査
- ゼロが分岐点でプラスマイナスで表示される
- 株式市場が最も注目しているのは「大企業・製造業の業況判断DI」
- 日銀短観「大企業・製造業の業況判断DI」と日本株の推移はこちら:日銀短観は日本株の先行指標として機能するか
月例経済報告(内閣府)
- 毎月23日前後に公表
- 内閣府が景気動向指数に基づき作成している
- 景気判断、個人消費、設備投資、住宅建設、輸入出などの動向を示す
- 景気の先行きや政府の基本的態度も公表する
- 政府の公式の景気判断・景気見通しとして重要視されている
失業率(完全失業率)
- 毎月月末前後に総務省が公表
- 15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)のうち、職がなく求職活動をしている人(完全失業者)の割合を示す
- 雇用情勢には季節の影響があるので、そうした影響を除いた季節調整値が使われる
- 景気の動向に遅行して変化する傾向がある
- 現在の基準による過去最高は2002年6月、2002年8月、2003年4月、2009年7月の5.5%
- 年平均の失業率推移はこちら:主要国の失業率推移(国際比較)
- 極度の不況の時には求職活動をあきらめる人が増え、その場合、失業者にカウントされず、失業率が上昇しないという弊害もある
有効求人倍率
- 毎月月末前後に厚生労働省が公表
- 有効求人倍率=有効求人数÷有効求職者数
- ハローワーク(公共職業安定所)での求職数と求人数のデータをもとに計算される
- 新聞、就職雑誌、インターネットなどで仕事を見つける人を対象としていない
- 景気の動向に一致して変化する傾向がある
鉱工業指数
- 毎月月末に前月の速報値を経済産業省が公表
- 生産指数、出荷指数、在庫指数、在庫率指数など8種類があるが一般的には企業の生産動向を表す生産指数(鉱工業生産指数)がマーケットでは注目される
- 鉱工業生産指数は製造業の生産動向を確認する上で最も重要な指標である
機械受注
- 毎月12日ごろに内閣府が公表
- 設備投資の先行指標として重要視されており、約6か月前後設備投資に先行すると言われている
- ブレの大きい船舶・電力関連を除いた「船舶・電力を除く民需」のデータが注目される
- 設備投資はGDPの15%前後を占めており、変動幅も比較的大きいことから、景気を左右することも多い。その先行指標として機械受注は注目されやすい。
全国消費者物価指数(CPI)
- 総務省が公表
- 消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標
- 消費者物価指数には「全国」とは別に「東京都区部」のデータも公表されており、「東京都区部」は速報で集計され当月分が発表されるため足元の動きをいち早く把握できる
- 「全国」は前月データを毎月19日を含む週の金曜日に公表
- 「東京都区部」は当月中旬までの速報値を毎月26日を含む週に公表
- 全国消費者物価指数は、生鮮食品などをすべて含む消費者物価指数総合(CPI)、生鮮食品を除くコアCPI、食料・エネルギーを除くコアコアCPIが公表される
- 生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)は日銀のインフレ目標にも使われており注目される
- 米国をはじめ他国はコアCPIが食品・エネルギーを除く指数となっており、日本のコアコアCPIと同じイメージとなっている点は注意が必要。
消費者物価指数(CPI)についてはこちらも参照!
日銀金融政策決定会合
- 年8回開催
- 日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合
- 米国でのFOMC(連邦公開市場委員会)と同じような役割で金融政策を決定する場である
- 2日間行われ、2日目に総裁定例記者会見が行われる。議事要旨は次の会合で承認の上、その3営業日後に公表される
法人企業統計
- 金融・保険業を除く営利法人の財務状況について調査した統計で、企業活動の実態の把握に用いられる最も代表的な統計
- 調査は下記の2種類だが速報性の高い「四半期別調査」が注目される
- 資本金1千万円以上の非金融法人を調査する「四半期別調査」(3、6、9、12月公表)と
- 資本金1千万円未満の非金融法人も含めた「年次別調査」(翌年度9月公表)
- 「売上高」や「経常利益」などの企業業績、「設備投資」や「在庫投資」などの企業活動が公表され金融マーケットでは特に設備投資のデータが注目されることが多い
他国(地域)の経済指標チェックリスト
- 米国の経済指標はこちらを参照:米国の経済指標チェックリスト
- 中国の経済指標はこちらを参照:中国の経済指標チェックリスト
- 欧州の経済指標はこちらを参照:欧州(ユーロ圏・英国)の経済指標チェックリスト