こちらのページでは「日本の発電割合の変化」と「主要国の発電割合の比較」を掲載しています。
日本は原子力発電が2010年以前のレベルに戻ることが難しい中、火力発電(特に石炭)も世界的に縮小する流れとなっています。
これまでもそうでしたが、当面これをカバーできるのは太陽光発電となります。
下記のデータはインフラファンド(太陽光発電)の将来性を分析する上でも重要なデータとなりますので、是非参考にしてください。
日本の発電割合の推移(石油・石炭・天然ガス・原子力・再生エネルギー)
日本の発電割合の推移です。
まず、「石油」「石炭」「天然ガス」は火力発電です。
「石炭」は価格が安い点がメリットですが、二酸化炭素排出量が多い点がデメリットとなります。
「天然ガス」は「石油」「石炭」と比較して環境にやさしい点が特徴となります。(それでも、もちろん二酸化炭素は排出されます)
2011年3月の東日本大震災以降、「原子力」の比率が大きく低下していることが確認できます。
震災前は全体の約25%を原子力が占めていましたが、2014年度にはゼロまで低下し、その後回復基調ですが、10%を下回る水準です。
震災前の2011年3月時点で稼働していた原子力発電所は日本国内に54基ありました。
しかし、その後20基以上の廃炉が決定しており、2023年時点で日本にある原子力発電所は30基前後です。(停止中のものも含む)
今後、さらに廃炉となる原子力発電所が出てくることも予想されます。
その為、将来的に日本の発電割合に占める「原子力」の割合が以前のように20%を超える可能性はかなり低いと考えられます。
2012年度以降の日本の発電割合は、「原子力」が減少した分を、石炭(火力)と天然ガス(火力)が消去法的に補ったことに加え、再生エネルギーの割合が大きく上昇しました。
また、2020年頃からは世界的に「脱炭素」「二酸化炭素排出ゼロ」「カーボンニュートラル」の流れが加速しており、将来的に火力発電、中でも二酸化炭素排出量が多い「石炭」「石油」による発電は制限されていくと考えられます。
このように「原子力」と「石炭」「石油」などによる発電割合が減少するすることが予想される中、これらを補うためには今後も「再生エネルギー」が更に大きく増加することが必要となります。
再生エネルギーの内訳を下記に掲載します。
日本の発電における再生エネルギーの内訳の推移(水力・太陽光・風力・地熱・バイオマス)
上記の通り、日本の発電割合の内、再生エネルギーが占める比率は2010年度の9.5%から2021年度の20.2%まで大きく上昇しています。
下記は再生エネルギーの内訳です。
再生エネルギーの内、最も比率が大きいのは「水力」ですが、全体に占める割合は7%~8%と横ばいで推移しているのが確認できます。
現状ではここから大きな上昇は見込めないと思われます。
2010年代以降の再生エネルギーの増加は「太陽光」が大部分を占めています。
特に2012年からスタートした固定価格買取制度(FIT)によって、太陽光発電のキャッシュフローの安定性が高まり、民間事業者の参入が相次いだことが大きく影響しています。
また、太陽光の急速な普及により、パネルやパワコンなどの価格が大幅に低下し、太陽光発電施設の開発コストも大きく低下するという好循環も生まれています。
固定価格買取制度(FIT)の買取価格は当初の40円台から年々低下していますが、太陽光発電施設の開発コストもほぼ同じペースで低下しているので収益率は低下していません。
そして、2016年には太陽光発電施設を主要アセットとする東証インフラファンド市場もスタートしています。
- インフラファンドについてはこちらを参照:インフラファンド(インフラ投資法人)について
- インフラファンドの価格推移についてはこちらを参照:東証インフラファンド指数の長期推移(チャート・変動要因)
日本おいては「洋上風力」なども有力視されていますが、開発に時間がかかることもあり、当面は「太陽光」の割合が増えていくものと考えられます。
ちなみに「バイオマス」とは動植物等から作り出されるエネルギー資源のうち化石燃料以外のものを指します。分かりやすい例としては木材などです。バイオマス発電は木材などを燃やして火力発電を行いますので二酸化炭素排出を輩出しますが、もともと木材は成長過程で光合成により大気中の二酸化炭素を吸収してきたので、カーボンニュートラルと考えられ再生エネルギーに分類されます。発電における「バイオマス」の比率は徐々に高まっていますが、爆発的な増加は難しい状況です。
上記に掲載した通り、「原子力」の割合を増やすことが難しい中、「石炭」「石油」をはじめとする火力発電も制限されることを考えると「太陽光」の割合は少なくとも30%前後までは高める必要があると思われます。
参考までに世界の主要国の発電割合を下記に掲載します。
主要国の中でも日本の再生エネルギーの比率が低いことが確認できます。
主要国の発電割合を比較
世界の主要国の発電割合の一覧です。(※こちらは年度ではなく年ベースのデータです)
まず、日本・米国・米国の「再生エネルギー」の比率が低いことが確認できます。
フランスは歴史的に「原子力」に注力しており、非常に大きな割合となっています。
カナダは再生エネルギーの比率が高くなっていますが、その大部分は「水力」です。カナダは、起伏が激しい河川が多く、水力発電に適した環境が整っています。
火力発電については中国・ドイツ・日本の「石炭」の比率の高さが目立ちます。特に中国は発電割合の大部分が「石炭」となっています。
火力の中でも特に「石炭」は二酸化炭素排出量が多い点を考えると今後減少傾向となることが予想されます。
環境に加え、発電に関する様々なリスクヘッジを考慮すると、「再生エネルギー」を中心に「天然ガス」で補完するようなエネルギーミックスがベストだと思われます。
また、蓄電池の性能が急激に進化すれば、発電のほぼ全てを「再生エネルギー」で賄うことも可能となります。