こちらのページでは「世界の名目GDPランキングの変遷(2000年→2010年→2020年)」を掲載しています。
「名目GDPランキングの変遷」は言い換えると「経済大国ランキングの変化」です。
世界の移り変わりがよく分かりますのでご覧ください。
まず最初に名目GDPについての簡単な解説です。(2パターンに分解しています)
名目GDPとは
名目GDPは経済規模を表します。
よって、国別の名目GDPランキングはグローバル経済に与える影響度のランキングと言っても過言ではありません。
名目GDP=1人当たりGDP×人口
名目GDP(ドル)を分解すると「1人当たりGDP(ドル)」×「人口(人)」と表現することができます。
- 名目GDP=「1人当たりGDP」×「人口」
名目GDP成長率=実質GDP成長率×インフレ率
名目GDPの変化は「実質GDP成長率(%)」と「インフレ率(%)」で表されます。
- 名目GDP成長率=「実質GDP成長率」×「インフレ率」
よって、名目GDPの変化を分析する際はこの4つに注目すれば良いということになります。
- 1人当たりGDP(生産性)
- 人口
- 実質GDP成長率(経済成長率)
- インフレ率
上記2つの分解の仕方はぜひ覚えておいてください。
様々な分析をする際に役立ちます。
- 1人当たりGDPのランキングはこちら:1人当たりGDPランキングの推移(1990年・2000年・2010年・2020年) / 日本の地位は低下傾向
- 人口のランキングはこちら:世界の人口推計(人口予測)/人口ランキング
名目GDPランキング(2000年・2010年・2020年)
名目GDPランキング上位50ヶ国の推移(2000年・2010年・2020年)を掲載します。
※出所:IMF World Economic Outlook
- 名目GDPの内訳となる「人口」「1人当たりGDP」の変化はこちら:主要国の名目GDP・1人当たりGDP・人口の変化(2000年~2020年)
上記ランキング表の名目GDPは米ドル建てで表示されているため、当該国の通貨が上昇するとGDPの増加要因となり、通貨が下落するとGDPの減少要因となります。
よって日本の場合、米ドル建てのGDPは円高により増加し、円安により減少します。
米国は1位をキープしながら名目GDPが着実に増加しているの分かります。
米国は移民制度などの効果によって人口が着実に増加している中、生産性(1人当たりGDP)も上昇しています。つまり人口・生産性の両輪で経済が拡大しています。
さらには適度なインフレも名目GDPの拡大に貢献しています。
日本は2010年は円高の影響でドル建ての名目GDPは増加していますが、円建てでは2000年527兆円、2010年500兆円、2020年539兆円となります。
2000年→2010年はデフレと2度の景気悪化(ITバブル崩壊、リーマンショック)の影響でマイナス成長となっています。
また、日本の場合はインフレ率が長期的に低く推移していたことも名目GDPの拡大が緩やかな要因となっています。
一昔前は「世界第2位の経済大国」と呼ばれる期間が長く続きましたが、2010年に中国に抜かれ、「世界第3位の経済大国」になっています。ユーロ圏もカウントすると4位となります。
- 日本の1人当たりGDPの推移や名目GDPの推移はこちらを参照:日本の1人当たりGDP推移と世界の1人当たりGDP
ユーロ圈の名目GDPの伸びが大きいのはユーロ加盟国が増加したことも影響しています。
2000年は11ヶ国でしたが、2010年は16ヶ国、2020年時点では19ヶ国となっています。
(ここでのユーロ圏はEUに加盟しているユーロ導入国を意味します。ユーロ圏の概念については「ユーロヘの投資について考える」をご覧ください)
ユーロ圏の中ではドイツの躍進が目立ちます。
2000年の名目GDPは日本の約40%の水準でしたが、2020年には約80%の水準まで肉薄しています。
上位では中国の伸びが著しく、ランキングは2000年の7位から2010年には2位となっています。
2010年に日本を抜き世界第2位となりましたが、その後も名目GDPは拡大し続け、2020年時点で日本の約3倍となっています。
名目GDPの規模は2000年の約1.2兆ドルから2020年には14.7兆ドルと約12倍となっています。
2019年には中国の名目GDPがユーロ圏合計の名目GDPも上回りました。
現在の予想では2030年までに中国が米国を抜き、名目GDPで世界1位となる見通しです。
中国の人口は米国の4倍以上である事から、生産性(1人当たりGDP)の伸びが多少スローダウンしても、名目GDPで米国を超えることは間違いないと思われます。
米国が中国を執拗に牽制するのは世界一の経済大国の地位を奪われることが大きいと思われます。
中国と同様にインドも大きく躍進し、2000年の14位から2020年には7位まで上昇しています。
この間の名目GDPは0.47兆ドルから2.7兆ドルヘと5倍以上拡大しています。
人口増加と1人当たりGDP上昇の両面が名目GDPの増加に貢献しています。
インドは人口が多く、1人当たりGDPの水準が低いことから今後、名目GDPが拡大する余地は大きくなっています。
その他の新興国ではブラジル・ロシアが上位に位置しています。
やはりBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)は新興国の中心といえそうです。
下位ではナイジェリアが2000年の48位・680億ドルから2020年には28位・4,290億ドルヘと大きく上昇しており、南アフリカ(43位)を抜いてアフリカ最大の経済圏となっています。
ナイジェリアは人口が多く、人ロランキングでは世界7位です。
今後も人口は増加する見通しで2050年には米国を抜き、インド・中国に次いで世界第3位の人口となる見通しです。
- 人口推計についてはこちら:世界の人口推計(人口予測)
ナイジェリアも1人当たりGDPの水準は低いため、インド同様に名目GDPの拡大余地が大きい国といえます。
- ナイジェリアについてはこちらも参照:ナイジェリアの高い成長ポテンシャル/ETFか投信を設定してほしい
最後に、世界の名目GDP合計は世界の経済規模の大きさを表現しますので、世界の株式時価総額合計と比べることで、現在の株価水準が割安か割高かを分析するツールとして活用できます。
「世界の株式時価総額合計/世界の名目GDP合計」は非常に使えるデータですので是非、ご活用下さい。
- 世界の名目GDP合計と株式時価総額の比較はこちら:世界の株式時価総額と名目GDPの比較チャート(データ更新用)
【あくまで参考】2030年・2050年の名目GDPランキング予測(PPP2016年基準)
こちらはPWCが2017年に公表したレポート「長期的な経済展望:世界の経済秩序は2050年までにどう変化するのか?(The long view:how will the global economic order change by 2050?)」において掲載されたデータです。
為替レートを2016年基準の購買力平価(PPP:purchasing power parity)で計算していますので、実態と大きく乖離する可能性があります。
購買力平価基準では2016年時点で中国が米国を抜いて1位となっています。
よって、あくまで参考程度にご覧ください。
大まかなランキングの順位などは参考になると思いましたので掲載しています。