こちらのページでは「主要国の失業率の推移」を掲載しています。
主要国の失業率を国際比較しやすいように一覧で掲載しています。
国ごとに特徴がありますので参考にしていただければと思います。
主要国の失業率推移 一覧(年平均失業率)
米国・日本・英国・ユーロ圏各国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャ)・豪州の失業率の長期推移です。
データは年平均失業率を使用しています。
上記一覧表のポイントを箇条書きで掲載します。
- 米国・日本・英国・豪州の失業率が恒常的に低く推移している。
- その中でも日本はバブル崩壊以降、景気低迷が続き、失われた30年(1990年〜2020年前後)と言われているが、その間も失業率は低水準で安定していた。ただし、失業率は低いが所得は上がらず、インフレ率も上昇しない期間が長く続いた。(仕事探しを諦めた人が多いことや、低賃金でも甘んじて働く日本特有の要因により、このような現象が発生していると言われている)
- ユーロ圏各国は全体的に高めの失業率となっている。また、ドイツとギリシャを比較して分かるように、国ごとの格差が大きいことも特徴である、
- 少し驚きであるが世界的に景気が良かった2005年〜2007年頃はギリシャの失業率がドイツを下回っていた。2004年にギリシャで失業者を公的部門で有期雇用契約により再雇用するための法案が可決。この影響が大きいと考えられる。ギリシャショックの影響などにより2011年からは一気に失業率が上昇した。
- ユーロ圏で経済規模が3位のイタリアと4位のスペインは、リーマンショック以降、失業率が大きく乖離している。スペインは2002年〜2007年まで住宅バブルと呼ばれる状況であったが、リーマンショックによって大きなダメージを負った。また、スペインは製造業のウエイトが低く、観光業や建設業に偏った産業構造も失業率が下がらない要因となっている。
- 2010年代のユーロ圏はドイツが独り勝ちの状況である事が失業率から見ても分かる(2000年代はフランス・イタリアと比較して高い失業率となっていたが、2010年代は逆転した)
各国失業率の算出方法
各国の失業率がどの様に算出されているかをまとめましたので、参考にしてください。
米国の失業率
- 6万世帯に対する家計調査の結果に基づき算出される(調査対象は16歳以上)
- 調査は毎月12日を含む週(雇用統計調査週)に行われ、翌月第1金曜日に雇用統計の1項目として公表される
- 失業率=失業者÷労働力人口×100
- 失業者としてカウントされるのは「働くことが可能で、過去4週間に仕事を探す努力をした人」である
- 労働力人口は「16歳以上の働く意志を持つ人」である
- 仕事についておらず働くことが可能でも、過去4週間に求職の活動をしていない人は失業者ではなくなり、さらに労働力人口にもカウントされなくなる
- つまり失業率の計算上、分子からも分母からも控除されることになるが、分子の失業者の減少の方が影響が大きいため失業率の低下に寄与する
- リーマンショック以降、求職活動をやめた人が多いことも失業率の改善に寄与していると言われている
- これは別の言い方では労働参加率の低下が失業率の改善に寄与していると言われる
- 労働参加率は「16歳以上で高齢・疾病・犯罪などの理由で老人ホーム、病院、刑務所等の施設におり働けない人を除いた者」に占める労働力人口の割合である
- つまり労働参加率とは「16歳以上で働こうと思えば働ける人の内、働く意志がある人の割合」である
- 米国の主要経済指標についてはこちら:米国の経済指標チェックリスト
日本の失業率
- 日本では「完全失業率」と呼ばれており、総務省が毎月行う労働力調査に基づき算出される
- 調査は全国の約4万世帯を無作為に抽出し行われる
- 毎月月末公表される
- 完全失業率(%)=完全失業者/労働力人口×100
- 完全失業者の定義は3条件:①仕事についていない、②仕事があればすぐつくことができる、③仕事を探す活動をしていた
- 労働力人口の定義は正確には「15歳以上の人口のうち、就業者(=従業者十休業者)と完全失業者の合計」であるが、分かりやすく言い替えると、「15歳以上で働いていいる人、休業している人、仕事はしていないが仕事をする意思があり探している人の合計」
- 日本の主要経済指標についてはこちら:日本の経済指標チェックリスト
英国の失業率
- データはILO (国際労働機関)基準の失業率
- イギリス国家統計局が算出し失業保険申請件数とともに翌月中旬に公表される
- 失業率は「失業者÷労働力人口×100」で定義
ユーロ圈の失業率(ユーロ圈全体、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャ)
- ユーロ圈内全体の失業率は欧州委員会統計局(Eurostat)が公表しており、各国の失業率はそれぞれ各国の統計機関が公表している
- ユーロ圈は経済環境が異なる国々の寄せ集めであることから、同じユーロ圈でも失業率は大きく異なる
- ユーロ圈の中で工業化が進み経済的に最も安定しているドイツが恒常的に低い失業率となっている
- フランスやイタリアがユーロ圈全体とほぼ同じ水準の失業率となっている
- 経済や財政状況が不安定なスペイン、ギリシャでは2010年代は恒常的に20%台の失業率が続いている
- ユーロ圏の主要経済指標についてはこちら:欧州(ユーロ圏・英国)の経済指標チェックリスト
オーストラリアの失業率
- オーストラリア統計局が公表
- オーストラリアはリーマンショック時も先進国では珍しく実質GDP成長率がマイナスとならなかった
- 失業率も同様にリーマンショック時もそれほど大きく上昇していない