こちらのページでは「テーマ型ファンド」についてポイントや注意点を掲載しています。
テーマ型ファンドが人気化するタイミングはマーケット過熱時と重なることが多いので注意が必要です。
一方、「テーマ型ファンド」は投資を始めるきっかけとなる場合もあります。
さらに運用業界の目線では「テーマ型ファンド」こそETFと差別化ができるとも言えます。
詳細は下記をご覧ください。
テーマ型ファンド(投信)のポイントと注意点
テーマ型ファンドで注意すべき点は「テーマ型ファンドが流行する時というのは株式市場がある程度上昇した後」ということです。
つまり、ある程度株式市場が上昇して、多少割高感が出てきた時にPERやPBRなどのバリュエーション以外の観点でマーケティングがしやすい(販売しやすい)という理由で設定されるケースが多いということです。
さらにその時々で時流にのっているテーマを選択してきますので、バリュエーション的には市場平均よりもさらに割高なものが多くなります。
よって、タイミングを誤ると思わぬ高値づかみということにもなりませんので注意が必要です。
一方、株式というものはバリュエーションも重要ですが、モメンタムが発生しているときに大きく上昇することも事実であり、短期間で大きく利益を獲得できる可能性もあります。
また、人によっては興味のあるテーマに投資するファンドの存在は投資を行うきっかけになることもあります。
なかなか投資に踏み切れなかった人がテーマ型ファンドを提案されたことで関心を持ち、それで利益を上げられるのであれば存在意義はあると思います。
金融機関の立場で考えると、「バイオ関連、AI、ロボット」等、夢のあるテーマはセールストークが豊富で投資家を引付けやすいことは確かですので、あとは使い方に気をつけて提案すべきと考えます。
また、ETFによる運用が一般的になってきた現在ではテーマ型ファンドこそ投信としての存在意義があるとも言えます。
ほぼインデックスと変わりがないアクティブファンドはETFに取って代わられると思いますが、テーマ型ファンドはETFと差別化が可能です。
テーマ型ファンドは基本的には何年も保有する長期投資ではなく、数か月~2年程度のトレンドを取りに行く商品と考えて活用していけばよいでしょう。
通常、PERやPBRなどのバリュエーションは高いと思われますので、テーマに目新しさがなくなり、株価が下落し始めたときは、早めの損切りも念頭において投資するのがベターです。
テーマ型ファンド(投信)の種類
テーマ型ファンドはこれまでも時代の流れに合わせて様々な商品が販売されてきました。
中にはバイオ関連のように一度ブームになった後、数年後に再度ブームがやってくるものもあります。
下記にこれまで販売されてきたテーマ型ファンドについて紹介します。
AI(人工知能)
AI(人工知能)技術を開発する会社やAIを活用したサービスを提供する会社が投資対象となります。
ビッグデータの効率的な活用、IOT(インターネットとモノの融合)の進展によりAI技術は大きく進化しています。
自ら学習し判断するディープラーニング機能が高度化し、社会の様々なところで活躍が期待されています。
AIはロボット、IOT、フィンテック、自動運転・半導体など多くのテーマの鍵となる技術で今後長期間に渡って大きな成長が期待されています。
- 商品例:グローバルAIファンド(三井住友アセット)
ロボット
ロボットを作成する企業やロボット関連技術が投資対象となります。
現在のロボットは実用的になってきており、実際、様々な産業やサービスに活用されています。
危険な場所での作業、重いものを運ぶ、休まずに働くという特徴を生かし実社会に貢献しています。
活用例
- 工場の生産工程の自動化(ファクトリーオートメーション:FA)
- 建築・土木・農業でのドローン活用、建機の無人化
- 医療・介護関連では手術支援ロボットやサイバーダイン等が開発している装着型の補助ロボット
- 自動運転関連
産業の効率化だけでなく、人手不足を補ったり、介護に活用されたりと活躍の場はどんどん広がっています。
- 商品例:グローバル・ロボティクス株式ファンド(日興アセット)
バイオ・医療・ヘルスケア
製薬、バイオテクノロジー、医療製品、医療・健康サービス関連企業等が投資対象となります。
先進国の高齢化、新興国の人口増加により当面、長期的な発展が見込まれています。
また、生命にかかわる分野であり、景気による影響を受けにくく、株価も相対的に安定した動きになります。
バイオ医薬品の登場でこれまで治療が困難であった病気が治ったり、患者の肉体的な負担が軽減されるようになってきています。
今後も多くのバイオ医薬品が開発されることが予想されています。
バイオ・医療・ヘルスケア関連は長期的なテーマであり、数年に1度はブームがやってきますので、安くなったタイミングで投資しておくと予想以上のリターンも期待できます。
- 商品例:グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(愛称:健次)(三菱UFJ国際投信)
- 「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(愛称:健次)」のポイントは「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド (健次)」を参照して下さい。
資源株・水関連
資源の調査、採掘、開発、精製、輸送、販売を行う企業やその関連サービスを行う企業が投資対象となります。
資源とはエネルギー(原油・天然ガス・石炭)、貴金属(金・銀・プラチナ・パラジウム)、産業用金属(銅・ニッケル・鉛・アルミニウム)、その他天然資源(鉄鉱石・水)などを指します。
世界的な人口増加や新興国の経済成長にに伴い、インフラ整備や建設需要が増加することが予想され、中長期的な資源需要の増加が見込まれています。
原油価格をはじめとするコモディティ価格が下落すると必要以上に株価が下落するケースがあります。
特にエネルギーや食糧関連の大手企業は寡占化が進んでおり、収益基盤や財務基盤が良好にもかかわらず、イメージで株価が下落するケースもあります。
このような局面では資源関連の大手企業に投資するか、資源株関連の投資信託に投資すると、高いリターンが期待できます。
- 商品例:資源株ファンド通貨選択シリーズ(日興アセット)
自動運転・EV
現在の自動車は人間が操作してガソリンを燃料として動いています。
将来的には運転が自動化され、燃料はガソリンではなく、電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)になると予想されています。
動力がエンジンからモーターになることで、テスラ・BYDといった自動車メーカー以外の会社が参入するなど業界が大きく変化しようとしています。
また、自動運転ではカメラ・レーダー・センサー、EVでは蓄電池など、今後マーケットシェアを獲得すると極めて大きな利益につながる分野が多くあります。
- 商品例:グローバルEV関連株ファンド(為替ヘッジあり/為替ヘッジなし)」愛称:EV革命(三井住友DSアセット)
その他のテーマ型ファンド(IT関連・ESG・SRIなど)
IT(情報技術)関連の投信は1990年代後半~2000年代前半にかけて多く設定されました。
特に1999年~2000年のITバブルでは1年で5倍近く上昇した投信も多くありましたが、その後のITバブル崩壊で大きく下落しました。
2007年ごろに流行したものとしてエコ・環境・温暖化防止関連のファンドがありましたが、その後リーマンショックが発生した影響もありブームは一時的なもので終わりました。
また、本当の意味でテーマ型投信から外れますが、ESGやSRIといった考え方を切り囗にした投信も定期的に注目されます。
そういう意味では、冒頭でも触れましたが、テーマ型ファンドが極端に注目される時はマーケットが過熱している時期と重なることも多いので注意が必要です。