こちらのページでは円高時に利益を上げられる金融商品についてまとめています。
ETFやFXの登場で以前より円高リスクのヘッジ手段は多様化しています。
円高で儲かる商品は貴重な存在
日本人が投資する一般的な資産クラスは多くの場合、間接的なものも含めて為替リスクを負っているケースが多くなります。
日本株・外国株・国内債・外債・オルタナティブ等に幅広く国際分散投資を行っても、為替に対する感応度はどうしても高くなる傾向にあります。
その為、日本人にとって「円高で儲かる商品」「円高ヘッジに使える商品」は貴重な存在であり、常に頭の中で認識しておく必要があります。
一般的に多く使われるのは「ブルベアファンド」や「FX」ですが、下記では候補となる商品をできる限り掲載します。
円高で儲かる金融商品
下記では円高時に儲かる具体的な商品を紹介しています。
米ドルのベアファンド
円高で儲かる商品の代表例が「米ドルのベアファンド」です。
ドル売り・円買いのポジションにレバレッジがかかっています。
米ドルのベアファンドには2つの注意点があります。
1つ目の注意点は、例えば3.5倍のレバレッジがかかっている場合は「日々の基準価額の値動きが円から見た米国ドルの日々の値動きの概ね3.5倍程度反対」といった表記となっており、2日以上離れた日では完全に3.5倍にはならない点です。
これはレバレッジがかかっているブルベアファンドすべてに共通する注意点となります。
そして、一定のレンジで横にジグザグに動くとパフォーマンスはどんどん低下します。【ブルベアファンドの下方乖離】
- ブルベアファンドの下方乖離についてはこちらを参照:ブルベアファンドの仕組みと問題点
2つ目の注意点は、米国金利が日本の金利より高い場合は「金利差×レバレッジ倍率」分がマイナスに作用する点(ネガティブキャリー)も注意が必要です。
これは日本よりも高い金利水準の通貨や債券に投資するベアファンド全てに共通する注意点です。
よって、ベアファンドは長期保有には向いておらず、短期的な円高トレンドを取りに行く商品となります。
米ドル・ベアファンドの商品例です。
- 野村米ドル円3.5倍ブル・ベアファンド / 米ドル円3.5倍ベア(円高トレンド)【3.5倍の米ドルベアファンド】
- 野村ブル・ベアセレクト6(円高ドル安トレンド6)【2倍の米ドルベアファンド】
- ダイワ・ブルベア・セレクト円高ドル安ポートフォリオ【2倍の米ドルベアファンド】
コストや利便性では「FX」のドル売りが最強
現在はFXが一般的になり本当に便利になりました。
取引コストも極めて安く、レバレッジも投資家自身で決められる点で利便性はNo1といえます。
もちろん、「金利差×レバレッジ倍率」分がマイナスに作用する点(ネガティブキャリー)は同様に影響を受けます。
FXに関するポイントはこちらを参照してください。
FXは高いレバレッジも可能となります。
ただし、FX単体での高レバレッジ取引はリスクが高く、お勧めできる取引ではありません。
FXを活用して円高時に利益を上げようとする場合は、控えの目レバレッジにしておくべきです。
個人的にはレバレッジをかけず1倍のドルショートがおススメです。
しかし、ヘッジ目的での場合は話が別です。
証券会社等で運用している資産が米ドル資産が多く、短期的に円高に振れそうで、そのヘッジをしたい場合などは高めのレバレッジでも問題ないでしょう。
活用例として極端な例を挙げると、証券会社で100万ドル(@110円/ドル、1.1億円)の外債運用をしている場合に、FXで10万ドル(1100万円)を証拠金として10倍のドル売り円買いポジションをとれば、外債の為替リスクをフルヘッジすることができます。
もちろん、追証のリスクがあるので極端に高いレバレッジは避けるべきですが、このように少ない資金で円高リスクをヘッジすることが可能です。
ドル指数(ドルインデックス)のインバースETF
海外ETFでパワーシェアーズ・DB・米ドル指数ベアリッシュ・ファンド(UDN)というETFがあります。
ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデン・クローナ、スイスフランに対する米ドルの指数先物(USDX)と反対の値動きに連動するETFで 、ETF価格の上昇は米ドル安を表します。
イメージとしてはドル指数(ドルインデックス)のベアファンド(ETF)です。
7通貨に対するドル安で利益が上がる形であり、厳密に円高ドル安で儲かるわけではありませんが、概ね円高ドル安ヘッジには使えると考えられます。
ただしこのETFは日本での登録がされておらず、現在は国内で購入できません。
米ドル債ETF(国内ETF)の空売り(ショートポジション)
理論的には東証上場の米ドル債券に投資する国内ETFの空売りでも円高で利益を上げることができます。
ドル債を円建てで投資しているため為替の影響が反映されます。
いくつか候補がありますが、相対的に最も適していると思われるのは、iシェアーズ米国債ETF(米7-10年国債)(1363)です。
ある程度デュレーションが長いので金利による変動リスクはありますが、概ねドル円の動きに連動するものと思われます。
よって、これを空売りすれば円高時に利益を上げることができます。
ただし、流動性がそれほど高くない点と逆日歩によりコスト増となる可能性がある点は注意が必要です。
米ドルと逆相関の金(GOLD)に投資
昔から金は米ドルと逆相関になると言われています。
ドルが強くなると金が安くなり、ドルが弱くなると金が高くなるということです
過去のデータでは逆相関になる時とそうでない時がありますが、かなりの確率で金は米ドルの反対の動きをしています。
下記に2016/1/3~2017/1/18の金とドル円レートのチャートを掲載していますが、きれいに逆相関となっています。
ただし、チャートの金価格はドル建ての価格になっていますので、金を買ってその後円高になると、金価格(ドルベース)自体は上昇しますが、円ベースでは円高の影響を受けてしまいます。
ただし、通常は金価格の変動率と比較してドル円レートの変動率はそれほど大きくならないことが多いので必要以上に気にする必要はないと思います。
それでも気になる方は金(GOLD)の「円ヘッジ型投信」「円ヘッジ型ETF」であれば、為替ヘッジコストはかかりますが、金の上昇をそのまま円ベースで享受することができます。
特に日米金利差が小さく、ドル円の為替ヘッジコストが低い時には「円ヘッジ型投信」「円ヘッジ型ETF」が活用できます。
金(GOLD)への投資については下記を参考にしてください。
日本株の空売り(ショートポジション)
日本株は為替の影響を大きく受ける資産クラスです。
ドル円レートが1%動くと日経平均が1%~2%変動すると言われています。
実際に為替が通期で1%変動すると日経平均ベースの1株利益(EPS)が1%~2%変動するものと考えられます。
もちろん、日本株は為替レート以外の要因でも変動していますが、ある程度は米ドル関連資産として考えても良いと思います。
円高時に利益を上げるには日本株ETFの空売りか日本株インバース(ベア)型ETFの購入が有効となります。
日本株インバース(ベア)型ETFも多くの種類が東証に上場されており、日経平均のインバース(ベア)、TOPIXのインバース(ベア)、JPX日経400のインバース(ベア)
等があります。
また、それぞれダブルインバース(2倍ベア)のETFもあります。
それ以外ではスバルやトヨタをはじめとする為替感応度の高い企業の株式や自動車の業種別ETF(TOPIX-17自動車・輸送機)を空売りするのも1つの手です。
もちろん為替以外の影響で変動するリスクはありますが、特に短期であれば有効なケースもあると思われます。
円高で儲かる商品のまとめ
円高時に儲ける手段として最も有効なものはやはりFXといえます。
コストや利便性から投資家にとっては最も有効と考えられます。
投資家がFXの口座を保有していない場合など、FXを活用できない場合、次に有効なのはベアファンドです。
上記に記載の通り、レバレッジがかかっている為、長期投資にはあまり向きませんが、短中期の円高ヘッジには有効です。
それ以外のものも状況に応じて活用することができます。
関連ページ
米国金利の上昇で儲けるにはこちらを参照してください。
日本の金利の上昇で儲けるにはこちらを参照してください。