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比較チャートのトリックに注意 / 特に長期比較チャート

2019年6月29日

比較チャートはいくらでも操作できるので注意しましょう

株式・為替・投信などの提案資料で比較チャートを掲載しているケースがよくあると思います。

  • 「このファンドは指数(インデックス)に対して長期でアウトパフォームしています」
  • 「A社株式はB社株式より長期での上昇率が大きくなっています」
  • 「新興国通貨は先進国通貨に対して大きく下落しているのでリバウンドが期待できます」

比較チャートを紹介して、株式・投信・為替などを推奨しているケースはよくあります。

しかし、注意しなければいけないのは、比較チャートは期間を操作することでいくらでも良く見せることができるということです。

ここでは、「日経平均高配当株50指数(配当込み)」と「TOPIX(配当込み)」を例に説明します。

高配当株とTOPIXの比較チャート

「日経平均高配当株50指数」は日経平均採用銘柄の中から配当利回りの高い50銘柄で構成される指数です。

流動性(売買代金)を加味して5%上限でウェイトを決定します。

よって、「日経平均高配当株50指数(配当込み)」と「TOPIX(配当込み)」の比較は高配当銘柄と日本株全体のパフォーマンス比較ということになります。

それではまず、「日経平均高配当株50指数」の算出が開始された2001年12月末からのTOPIXとの比較チャートをご覧ください。

高配当株とTOPIXの長期比較チャート

高配当株とTOPIX比較チャート(長期)

上記の17.5年間でTOPIXは約2倍ですが、「日経平均高配当株50指数」は約5倍(ピーク時は6倍以上)となっており、チャートの動きを見ても非常に良いパフォーマンスに見えます。

「日経平均高配当株50指数」を推奨したい金融機関などは、このようなチャートを資料に掲載し、高配当株の優位性をアピールしています。

顧客も実際のパフォーマンスを見せられて、「確かに良いパフォーマンスだから投資しようか」となる人も多いのではないでしょうか。

比較チャートは、ある意味説得力があるので営業ツールとしてはパワーがあります。

しかし、このような長期間のパフォーマンス比較をする場合、本来は同時に直近数年間の比較も行う必要があります。

高配当株とTOPIXの直近比較チャート(こちらも必ずチェックしよう)

こちらは2011年12月末からの比較チャートです。

高配当株とTOPIX比較チャート(短期)

かなりイメージが違います。

この期間では「日経平均高配当株50指数」と「TOPIX」はほぼ同じ動きです。

時期によってはTOPIXの方がパフォーマンスが良い期間もあります。

投資家もこれを見れば「日経平均高配当株50指数」に飛びつかず、もう少し吟味しようということになるはずです。

長期チャートは直近のパフォーマンス悪化を隠してしまいます。

見栄えの良い比較チャートは金融機関の立場では使いやすいツールですが、投資家の立場では注意が必要です。

必ず、直近数年間の比較チャートも確認しましょう。

超長期米国アクティブファンドや高パフォーマンスで残高が増えたファンドは注意

よくあるパターンとして、歴史が長いアクティブファンド(特に米国株に多い)には注意が必要です。

米国にはトラックレコードが50年以上のような超長期のアクティブファンドがかなり多く存在します。

そして、1980年代・1990年代までは情報の非効率性が残っており、現在よりもかなり簡単に超過リターン(α:アルファ)を上げる事ができました。

今ではあり得ませんが企業訪問してインサイダーギリギリの情報を得て投資する事ができた時代です。(ファンドマネジャー側ももちろんそうですが、現在では企業経営者側のインサイダーに関する意識が格段に向上しています)

そして、当時のパフォーマンスを利用して、長期で見栄えの良い比較チャートを掲載しているケースが多くあります。

しかし、上記の例のように直近数年でみると指数と変わらないか下回っている事が非常に多くあります。

要は大昔と違い、現在はマーケットの効率性が大幅に高まっているため、以前のように簡単には超過リターン(α:アルファ)が出ないと言うことです。

これを隠すためにわざわざ長期のチャートを使っているとも言えます。

同様に、パフォーマンスが好調で運用資産残高が急増したファンドも同じような結果になりやすいです。

長期のパフォーマンスが良いからという理由で投資してみると、全く上手くいかないケースはよくありますが、そもそも数年前から上手くいっていないケースも多くあります。

長期チャートでは運用資産残高が急増した後のパフォーマンス悪化が隠れてしまいます。

長期チャートにすると直近のパフォーマンス悪化を目立たなくすることが可能ですので注意が必要です。

長期の比較チャートを見る場合は、同時に直近数年の比較チャートも必ずチェックしましょう。



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