こちらのページでは「ニュージーランドドル」為替レートの1970年代からの長期チャートと変動要因を掲載しています。
ニュージーランドドルの歴史が全て確認できます。
まず最初にニュージーランドドルの特徴から解説します。
ニュージーランドドルの特徴
ニュージーランドは人口約500万人の小国ですが、NZドルは先進国通貨の中では相対的に高金利ということもあり、日本人にも人気の通貨です。
NZドルはキーウィ・
NZドルは豪ドルと高い連動性があります。
地理的にも近く、経済的な結びつきも強いことが要因です。
豪ドルとの比較ではNZドルの方が多くの期間で金利が高く推移しています。
また、通貨のボラティリティもNZドルの方が高くなっています。
- 豪ドルの長期チャートはこちらを参照:豪ドル為替レート(円/豪ドル,ドル/豪ドル)長期推移(チャート・変動要因)
近年では貿易面で中国との結びつきも強くなっています。
2013年からオーストラリアに代わり中国が最大輸出国となっており、中国の経済指標がNZドルに影響を与えることが増えています。
また、NZドルは農作物の価格に影響を受けやすくなっています。
NZドルは資源国通貨と呼ばれることがありますが、実際にはオーストラリアのような石炭や鉄鉱石の埋蔵量は少なく、酪農業が中心で乳製品や食肉、羊毛の輸出が多くなっています。
そのため、NZドルは原油価格や金価格よりも農産物価格の影響を受けやすくなっています。
ニュージーランドは恒常的に経常収支が赤字となっていますが、政治的・地政学的に安定しており、金利も高いことから海外から資金が集まりやすくなっています。
ただし、経常赤字は潜在的なリスク要因として認識しておく必要があります。
- ニュージーランドの経常収支の推移はこちらを参照:豪ドルとニュージーランドドルは連動している? / どちらに投資すべきか
そして、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は1990年に世界に先駆けてインフレ目標を導入するなど、長期に渡り「物価の安定」を政策目標としてきましたが、2018年に「雇用の最大化」も政策目標に加えました。
これにより、今後の金利水準は以前より低くなる可能性があります。
- ニュージーランドのインフレ目標はこちらを参照:主要国のインフレターゲット(インフレ目標)の水準と採用時期の一覧
ちなみに間違えやすいので記載しておきますが、NZドルの対米ドル表記は「1NZドル=〇〇ドル」となります。主要通貨の中でユーロ・英ポンド・豪ドル・NZドル以外は全て「1ドル=〇〇」(例えば1ドル=100円)という表記になりますので覚えておいてください。
それではまず、円/NZドルとドル/NZドルの長期チャートから掲載します。
変動要因は箇条書きで掲載しています。
下段の方では10年ごとに区切ったチャートを掲載し、変動要因を細かく掲載しています。
NZドル(NZD)の超長期チャート(円/NZドル、ドル/NZドル)
- ニュージーランド・ドルの対米ドルレートは1NZドル=0.4ドル~1.5ドルでの推移となっている
- ただし、ニュージーランドドルが完全変動相場制に移行した1985年3月以降では、1NZドル=0.4ドル~0.9ドルのレンジで推移した
- 対米ドルの過去最安値は2000年10月の1NZドル=0.39ドル
- 対円の過去最安値は2000年10月の1NZドル=41.965円
- 変動相場制移行後の最高値は2011年8月の1NZドル=0.8843ドルとなっている
- 対円では1970年代前半の1NZドル=400円から、2020年には1NZドル=70円前後まで大きく円高になっているが、大半はドル円レートが1ドル=360円から110円前後まで円高になったことが要因である。
- ドル/ニュージーランドドルは1970年代前半の1NZドル=1.2ドル前後から、2020年で1NZドル=0.65ドル前後となっている。
- ただし、上記の通り1985年3月の完全変動相場制移行後は対米ドルで1NZドル=0.4ドル~0.9ドルと比較的安定的に推移している
- オーストラリアとの経済的な結びつきが強いこともあり、豪ドルレートとの相関が高いと言われている
- ニュージーランドドルの特徴についてはこちらを参照:主要通貨の特徴一覧【資源国通貨・新興国通貨・中国関連通貨のどれに該当するか】
NZドル(NZD)の歴史を詳細に解説【10年毎チャート】
円/NZドル・ドル/NZドルの為替チャートと変動要因【1990年代】
- かつてイギリスの植民地であったことから、元々はイギリスとの経済的なつながりが強かった
- 1960年代まではイギリスに依存する形で大きな経済成長を達成した
- 1973年イギリスが欧州諸共同体(EC)に加盟すると、それまで大きく依存していたイギリス市場を失うこととなり、輸出が急減、経済は不安定な状況となった
- そこに1973年後半からの第1次オイルショックと1979年の第2次オイルショックが発生したことで世界的に混乱した。
- ニュージーランドは貿易収支の悪化と財政危機が同時に発生し、ニュージーランドドルは大幅に下落した。当時は完全変動相場制ではなく、管理相場制(通貨バスケットペッグ制)であったがコントロールできず、ニュージーランドドルは大きく下落した。
- ピーク時の1973年9月には1NZドル=1.48ドルであったが、1976年12月には1NZドル=0.89ドルまで下落した
円/NZドル・ドル/NZドルの為替チャートと変動要因【1980年代】
- 1980年代前半に大規模な改革が行われ、財政・税制改革、行政改革、貿易の自由化、金融・為替の自由化がすすめられた。その中で1994年に金利や外国為替取引に関する規制も撤廃され、1985年3月に完全変動相場制に移行した
- 1980年代前半、ニュージーランドドルは大きく下落した
- 1979年12月末の1NZドル=1ドルから完全変動相場制に移行した直後の1985年3月には1NZドル=0.42ドルまで大きく下落した
- その間、1980年代前半のニュージーランドのインフレ率は15%前後で高止まりしていたこともニュージーランド政府やニュージーランド中央銀行(RBNZ:Reserve Bank of New Zealand)がコントロールできずにニュージーランドドルが下落した要因である
- 1985年以降は回復基調となった
円/NZドル・ドル/NZドルの為替チャートと変動要因【1990年代】
- 1990年、世界で初めてニュージーランド準備銀行(中央銀行)がインフレ目標を導入した
- 1991年~1992年は財政赤字を解消するための行政改革等の影響で経済不況に見舞われ、1992年12月に1NZドル=0.5ドルまで下落
- その後、構造改革の成果が表れ、経済成長率が大きく上昇したこともあり、ニュージーランドドルは上昇し、1996年12月に1NZドル=0.7ドルまで上昇
- その後、1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア危機の影響で下落トレンドとなり、2000年12月の1NZドル=0.4ドル割れまで下落した
円/NZドル・ドル/NZドルの為替チャートと変動要因【2000年代】
- 2000年12月に1NZドル=0.4ドル割れまで下落してから2001年もおおよそ1NZドル=0.4ドル近辺で推移した
- 2000年~2001年はニュージーランドの巨額の対外債務と経常赤字がクローズアップされた
- これにITバブル崩壊後の世界的な不況やコモディティ価格の下落もニュージーランドドルの下落要因となった
- 2005年から2006年の下落はニュージーランド準備銀行がニュージーランドドルは過大評価されているとの牽制をおこなったことや、対外債務と経常赤字問題による格下げ観測によるもの
- 2008年のリーマンショック時は他の高金利通貨と同様に大幅に下落したが、比較的早期に回復した
円/NZドル・ドル/NZドルの為替チャートと変動要因【2010年代・2020年代】
※2020年以降のデータも当面こちらに追加していきます
- リーマンショック後の回復基調は2014年まで続き、2014年9月には1NZドル=0.88ドル前後まで上昇した。(変動相場制移行後の最高値は2011年8月の1NZドル=0.8843ドル)
- ニュージーランドはリーマンショック後の景気低迷から回復し、2014年3月から7月にかけて4回利上げを行った(ただし、オーストラリアの方が景気回復は早かった)
- また、この間は経常収支が改善し財政赤字問題も緊縮財政路線を明確化したことが評価されていた
- これにより資金流入が拡大しニュージーランドドルは大幅に上昇した
- 2014年7月以降、ニュージーランド準備銀行が通貨高に対する牽制を行ったことで、NZドルは下落トレンドとなり、2015年8月に1NZドル=0.6ドル前後まで下落した。
- ニュージーランドはGDPに占める貿易依存度が高い。従来はオーストラリアが最大輸出先であったが、2013年に中国が逆転した。これにより、NZドルは依然と比較して中国景気の影響を受けやすくなっている。
- 2015年6月〜2016年11月に3.5%→1.75%の大幅な利下げを行なった。
- 2018年、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は「物価の安定」に加えて「雇用の最大化」も政策目標に加えた。(今後、これまでより金利が上がりにくくなる可能性も)
- 2019年にも1.75%→1.00%の利下げを行なった。これによりNZドルは下落した。
- 2020年2月以降、新型コロナウイルスの影響によりマーケットがリスクオフとなる中、ニュージーランドドルも下落基調となった。2020年3月15日に政策金利を0.75%引き下げ、0.25%とした。ニュージーランドは入国禁止・ロックダウンなど素早い対応で世界に先駆けて新型コロナウイルス抑制に成功した。
- 2020年後半は一時的にマイナス金利導入懸念で調整する局面もあったが、世界景気の回復期待もありニュージーランドドルは大きく反発した。
- 2021年~2023年のニュージーランドドルは対円では上昇、対米ドルでは下落となった【通貨の強弱:米ドル > NZドル > 円】
関連ページ
ニュージーランドの政策金利とインフレ率の推移はこちらを参照してください!
豪ドルとニュージーランドドルの比較はこちらを参照してください!