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知識・ノウハウ(リート)

米国リートの個別銘柄を日本で購入できるようにしてほしい【要望】

米国株は超小型株でも日本から購入することができますが、米国リートは時価総額10兆円超の銘柄でも日本からは購入することができません。

これは何か理由があって意図的に行っているのではなく、「FUND」「TRUST」と名の付くものを一律に「外国籍投信」と同じ扱いにしている事が原因です。

いわゆる「金融庁登録」がないと日本の証券会社では取扱いができなくなっています。

「米国リート」だけでなく「MLP」「BDC」なども同様で、日本人の投資機会を制限する形となっています。

こちらのページで問題提起することで改善されること期待しています。

詳細は下記をご覧ください。

米国リートの個別銘柄を買えないのは日本人にとって損失

投資信託では日本でも人気の米国リートですが、2022年現在、日本の証券会社で米国リートの個別銘柄を購入することはできません。

少なくとも2005年頃はSBI証券などで米国リートの個別銘柄を売買することができましたが、いつの間にかできなくなっています。

米国リートは時価総額・銘柄数共に世界最大のリート市場で、時価総額は全世界のリートの60%以上を占めています。

さらに、J-REIT等と比較しても「インフラ(無線通信の基地局など)」や「データセンター」など幅広いセクターが存在し、魅力的な銘柄が多くあります。

時価総額も大きいので流動性の面も優れています。

また、セクターごとのパフォーマンスに違いがあり、米国リート指数が軟調な推移となった2015年~2017年でも、成長が見込まれるインフラやデータセンター関連の銘柄などは大きく上昇しました。

2017年には米国リートの時価総額トップがショッピングモール等を運営するサイモン・プロパティ・グループ(SPG)から携帯電話向けインフレ施設を運営するアメリカンタワー(AMT)に交代しました。

米国株式と同じように、米国リートも経済環境に合わせてマーケットリーダーとなる銘柄が変化していきます。

その為、米国リートの個別銘柄は投資対象として非常に魅力的と言えます。

投資やETFでインデックスベースに投資することも良いと思いますが、今後成長しそうな銘柄を5銘柄程度保有するような投資も面白いと思います。

J-REITも同様ですが、REITは株式と異なり、値動きにおける個別銘柄要因はそれ程大きくありません。

よって、必ずしも数十銘柄に分散する必要はありません。5銘柄程度でも十分、分散効果が働きます。その方が余計なコストもかからず、投資家にとってプラスになります。

さらに、米国は世界経済の中心であり、今後も経済規模や人口が増加すると予想されています。

そのような環境にある米国リートの個別銘柄を買えないのは、日本人にとって非常に不幸なことだと思います。

それでは「なぜ米国リートの個別銘柄が日本で売買できないか?」

その理由を下記で説明します。

米国リートの個別銘柄が日本で買えない理由(金融庁が外国籍投信として取り扱っている為)

現在、日本で米国リートが買えない理由は、米国リートが投信法上「外国投資信託」に分類されていることにあるようです。

外国投資信託を日本国内で販売するには金融庁への届け出が必要です。

これは米国リートに限らず、「ETF」「MLP」「BDC」なども同じ扱いです。

例えばETFの場合、「海外ETFの内、日本の証券会社で取扱いができるのは金融庁に届け出されたものだけ」ということをご存知の方は多いのではないでしょうか。

iシェアーズの海外ETFであれば運用会社であるブラックロックが金融庁に届け出したETFのみ日本の証券会社で取扱いできます。

届出した後も継続的に情報をアップデートする必要があり、事務コストが発生するためiシェアーズでも全ての海外ETFを金融庁に届け出している訳ではありません。

よって、日本に拠点がない中小の運用会社が組成するETFは日本で購入することができません。

ブラックロック、ステートストリートのような大手であれば日本にも拠点があり、コストをかけて金融庁の届け出を行い、日本で取扱いを増やす事で利益にもつながりますが、そうでない運用会社はわざわざ日本に来て金融庁の届け出を行うインセンティブがありません。

米国リートの場合も同様で、米国リートの運営会社で日本に拠点があるケースはほとんどないと考えられるので、日本で届け出を行うにはかなりハードルが高いと言えます。

普通に考えて、米国リートの運営会社が日本からの取引を増やすためにわざわざ日本に来て、金融庁の届け出を行うとは思えません。

よって、この制度が変わらない限り、日本で米国リートの個別銘柄を購入することはできないと思われます。

これはMLPやBDCも同じです。

外国投資信託の範囲

ここでの問題点は米国リートを「外国投資信託」として一般的なファンドやETFと同列に扱っている点です。

米国リートはファンドというより、不動産株として扱うべきだと思います。

米国リートはJ-REITと異なり開発も一部認められており、不動産株に近い性格を持っています。

実際、不動産銘柄が税制の適格を受けREIT成りするケースもあります。

少なくとも米国で上場されている米国リートはファンドではなく株式と同じ扱いとすべきと考えます。

是非、金融庁には早急に対応していただき、日本人の投資環境が少しでも良くなることを望みます。



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