こちらのページでは「iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF(LQD)」を例に「米ドル建て投資適格社債」について幅広い情報を掲載しています。
米ドル建て投資適格社債の見通しを分析する上で活用いただけます。
米ドル建て投資適格社債のポイントをまとめると下記の通りです。
- 高い信用力・高い流動性
- ベストな投資タイミングはベース金利がある程度上昇した後になるので、景気サイクルで言うと景気のピーク前後
- リスクはスプレッド拡大リスクよりも、ベース金利の金利上昇リスクに注意
詳細は下記をご覧ください。データや内容は随時、更新しています。
- 日本から買える代表的ETFの一覧はこちら:日本から買える代表的ETF / ETFで国際分散投資
まず最初にiシェアーズ iBoxx米ドル建て投資適格社債ETF(LQD)の商品概要から紹介します。
iシェアーズ iBoxx米ドル建て投資適格社債ETF(LQD)の商品概要
運用会社
- ブラックロック
投資対象
- 米国の米ドル建て投資適格社債(BBB格以上の債券)
- ベンチマーク:Markit iBoxx米ドル建てリキッド投資適格指数
商品上の特徴
- ETF(米国上場、ティッカーLQD)
- 円ヘッジ付きの東証上場のETFもあり。東証上場の「iシェアーズ米ドル建て投資適格社債ETF(為替ヘッジあり)」(1496)はLQDを100%保有して為替ヘッジを行うETF。
- 為替ヘッジにはヘッジコストがかかるので注意が必要。
- ヘッジコストの仕組みについてはこちらを参照:ヘッジコストは金利差とベーシス(ドル需要)で決まる
- ドル円のヘッジコストについてはこちらを参照:為替ヘッジコスト長期推移(円/ドル・円/ユーロ)【データ更新用】
信託報酬
- 0.14%
米ドル建て投資適格社債の良い点・見通し
投資適格社債の高い信用力
- 投資対象は投資適格級のBBB格以上の社債のみであり、デフォルト率は低く安全性が高い
- 日本の格付会社ではなく、S&P・ムーディーズでBBB格の企業はかなりの信用力があると考えられる
- 投資適格社債のデフォルト率は長期平均で0.1%~0.3%程度である
- また、米国の社債についてはデフォルト時の回収率も相応に高く、50%前後は見込めるので投資家の損失割合は更に小さくなる
米ドル建て投資適格社債はETF(ファンド)による分散投資がベスト
- 投資適格社債は高い信用力を誇るがデフォルト率はゼロではなく、個別の投資適格社債を購入して偶然デフォルトした場合、大きな損失を被ることになる。その点、ETFや投信で保有すれば銘柄や業者の分散が図れる。
- 例えば「iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF(LQD)」であれば数千銘柄に分散投資している。
米国の社債市場は高い流動性を誇る
- 社債市場は全世界で約10兆ドル(約1100兆円)の市場規模
- そのうち50%~60%を米国の社債が占めており、市場規模は極めて大きく流動性が高い市場である
投資適格社債は国債よりも高い利回り
- 米国債に対しスプレッドが上乗せされる分、利回りが相対的に高くなっている
- インデックスベース(Bloomberg Barclays us Agg Baa Statistics Index)のスプレッドは平均すると2%前後で推移している。
- 投資適格社債の最終利回りと国債対比のスプレッドの推移はこちらを参照:米国ハイイールド債・新興国国債・投資適格社債の利回り・スプレッド長期推移
- 過去の推移からスプレッドが3%を超えると投資妙味があると言える(ただし、長期金利の推移にも注意が必要)
- 一般的なアクティブ型の投資信託では信託報酬が1.5%前後となっており、これを控除すると利回りの魅力が大きく低下するが、ETF(LQD)の場合は信託報酬は0.14%と割安なため投資対象の候補とすることが可能
- よって、米ドル建て投資適格社債はアクティブファンドではなくETFやインデックスファンドで有効なアセットクラスと言える
投資適格社債のベストな投資タイミングはいつ?
- 投資適格社債の最も理想的な投資タイミングは金利サイクルでいうと、金利上昇の最終局面か金利が低下した始めたタイミングとなる
- 景気サイクルで言うと景気のピーク前後ということになる。
- 米国の金利が低下した場合、債券価格の上昇による値上がり益が期待できる(極端なマーケットのショックでない限り、スプレッドの上昇より金利の低下が上回る)
- このような局面で格付けの低いハイイールド債に投資した場合、クレジット環境の悪化によるスプレッドの拡大(ワイドニング)で債券価格が下落することになるので、景気がピークに近い局面では投資適格社債への投資がベターとなる(ハイイールド債についての詳しい内容はこちら:フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド/米国ハイイールド債の投資環境)
- 逆にベース金利が低く、クレジットスプレッドが拡大している景気の底ではハイイールド債への投資がベターとなる
- もちろん、投資適格社債もハイイールド債もベストのタイミングはベース金利が高くてスプレッドも拡大している時になる。ただし、通常のマーケット環境ではなかなか発生せず、何らかのショック時に発生することがある。
米ドル建て投資適格社債の悪い点・リスク
金利上昇リスク
- デュレーションは8年程度となっている為、米国の長期金利が上昇した場合、債券価格の下落要因となる(金利上昇局面では同時にスプレッドの縮小が発生することも多いが、投資適格社債の場合はハイイールド債などと比較してスプレッドの変動が小さい)
- よって、通常考えられる投資タイミングとしては米国金利がある程度上昇した後となる
- 投資適格社債においては下記に掲載している「スプレッドの拡大」より「金利上昇リスク」の方が大きいと考えられる
- デュレーションについてはこちらを参照: 債券のデュレーションについて分かりやすく解説
極端なクレジットイベントによるスプレッドの拡大
- リーマンショックレベルのマーケットイベントが発生した場合は市場での投げ売りにより債券価格が下落する可能性がある
- リーマンショックの際、米ドル建て投資適格社債は最大15%程度下落した
- ただし、リーマンショックの際でも投資適格社債のデフォルト率は0.5%程度であり、債券価格も数力月で回復した
- よって、クレジットイベントでスプレッドの拡大により債券価格が大きく下落した場合は余程のことがない限り購入のチャンスと言える
- リーマンショック時の各アセットクラスの下落率はこちら:各資産の最大下落率(リーマンショック)
投資対象が同じ投信(類似ファンド)
ルーミス米国投資適格債券ファンド(毎月決算型)
- 米国の米ドル建て公社債(主として社債)を主要投資対象とする
- ファンド全体の平均格付けをA-以上にする
- ルーミス社のリサーチで銘柄を選定
世界投資適格債オープン(通貨選択型)
- 日本を除く世界の投資適格社債とソブリン債に投資
- 組み入れ債券は米ドル建てが中心で全体の50%以上を占める
- 円、米ドル、豪ドル、ブラジルレアル、中国元、インドネシアルピアの6コースあり