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知識・ノウハウ(債券)

IRR(内部収益率)を分かりやすく解説

2018年4月14日

こちらのページでは一般的に理解が難しいと言われる「IRR(内部収益率)」について、計算例などを交えながら、できるだけ分かりやすく説明しています。

ちなみに、IRR(内部収益率)は「Internal Rate of Return」の頭文字をとったものです。

IRR(内部収益率)の分かりやすい定義

プライベートエクイティ(PE)ファンドや一部の不動産関連投資では、投資リターンを表す指標としてIRR(内部収益率)がよく使われます。

特に大口の資金を継続的に運用する年金基金などの機関投資家が好んで使用します。

IRR(内部収益率)の意味を調べると一般的には下記のような解説がされていると思います。

  • 投資に対する将来のキャッシュフローの現在価値の累計額と投資額の現在価値の累計額が等しくなる場合の割引率
  • 投資プロジェクトの正味現在価値(NPV)がゼロとなる割引率

分かっている人が見れば理解できるのでしょうが、普通は分かったようで分からない人が多いのではないでしょうか?

難しいことを分かり易く説明することは非常に難しいことです。

多少正確性を犠牲にすれば分かりやすくすることは簡単ですが、金融の世界で正確性を犠牲にすることはできません。

正確性を保ったうえで、IRR(内部収益率)を分かりやすく説明すると下記のような感じだと思います。

期中に受け取った資金を同じ利回りで再投資できるという前提での複利運用利回り

まだ分かりにくいでしょうか?

分かりやすく理解する為に下記でキャッシュフローの例を見ながら解説します。

キャッシュフローとIRR(内部収益率)の計算例

下記に3つのパターンのキャッシュフローを掲載します。

IRRの計算比較

は債券のキャッシュフローのイメージで毎年利息を受取り満期期に利息と元本を受取ります。

はプライベートエクイティファンド(PEファンド)や不動産開発投資のイメージで期中の利息はなく、リターンは満期時のキャピタルゲインのみです。

は実際このようなキャッシュフローの商品はないと思いますが、説明を分かりやすくするために掲載しています。

①②③ともにIRR(内部収益率)は全て10%です。

期間も全て5年です。

しかしトータルリターンは①が+50%、②が+61%、③が+42%と全て異なります

ここでのポイントはIRR(内部収益率)が全て10%にもかかわらず、トータルリターンが異なるということです。

IRR(内部収益率)の考え方として「投資した資金を早期に回収した場合、再投資ができるので価値が高い」と評価します。

よって③はトータルリターンは低いですが早い時期に大きく回収できているのでIRR(内部収益率)はイメージより高くなります。

逆に②は回収が遅くなる分、トータルリターンは高いですがIRR(内部収益率)はイメージより低くなります。(逆に言うと、IRRのイメージよりトータルリターンは高くなります)

②と③の比較で言うと、③の1年目の利息42の部分をその後4年間10%で複利運用(1.1×1.1×1.1×1.1)すると61となり、②と同じトータルリターンとなります。

同じように①の利息部分をそれぞれ残りの期間において10%複利で運用すると61となります。

よって(受け取ったものを10%で再投資できるという前提ですが)①②③が共に同じIRR(内部収益率)ということが理解できると思います。

また、10%を5年複利で運用すると+61%となります。

期間5年・IRR10%といった投資案件の場合、10%の5年複利が+61%ですので、期中に受取る資金も同じ10%で運用できるのであれば5年後に+61%となる投資案件となります。

冒頭に掲載したIRR(内部収益率)を正確に分かりやすく説明すると「期中に受け取った資金を同じ利回りで再投資できるという前提での複利運用利回り」というのはご理解いただけるのではないでしょうか。

補足(分かりにくい定義の検証)

ここは読み飛ばしていただいても結構です。(難しいと思われる方は下段の【IRR(内部収益率)をEXCELで計算】に進んでください)

IRR(内部収益率)を深く理解したい方はご覧ください。

一番最初の方に記載した、IRR(内部収益率)の一般的な説明が正しいか事例で検証してみます。

分かりにくいIRR(内部収益率)の定義

  • 投資に対する将来のキャッシュフローの現在価値の累計額と投資額の現在価値の累計額が等しくなる場合の割引率
  • 投資プロジェクトの正味現在価値(NPV)がゼロとなる割引率

下記の表は①②③の各キャッシュフローを残存期間に応じた複利係数で割り引いています

将来受け取れるキャッシュフローの現在価値を計算しています。

IRRと現在価値の計算

表を見ると分かるように①②③各キャッシュフローの現在価値の合計が当初投資した金額(100)と同じになっています
(③は端数処理の問題で少しずれますが考え方はあっています)

上の分かりにくい定義もこのデータを見ると少し分かり易くなるのではないでしょうか。

IRR(内部収益率)をEXCELで計算

こちらではEXCELを使ってIRR(内部収益率)を算出する方法を掲載します。

IRR(内部収益率)はEXCELの関数を使うと非常に簡単に計算できます。

上記の表もEXCELの関数を使って作成していますので、これを例に掲載します。

IRRをEXCEL関数で計算

その名の通りですが、「IRR関数」を使います。

上記のようにB8セルに「=IRR(B2:B7)」と入力すればB2~B7(投資開始~5年目まで)のIRR(内部収益率)が自動的に計算されます。

IRR(内部収益率)のまとめ

IRR(内部収益率)を正確に分かり易く言うと「期中に受け取った資金を同じ利回りで再投資できるという前提での複利運用利回り」です。

よくIRR(内部収益率)が使われる事例としてはプライベートエクイティファンド(PEファンド)や不動産開発ファンドなどです。

投資をするうえで、最もシンプルなケースは上記表の②のパターンなります。

表の②をみると分かりやすいですが、このパターンでは期中配当がないため、複利運用利回り(上記では5年・10%複利で計算式は1.1の5乗)と同じとなります。(単純な複利計算です)

しかし、プライベートエクイティファンド(PEファンド)や不動産開発投資の場合は、キャピタルコール方式の場合も多く、その場合、1度に全ての資金を投資するわけではなく、順次案件が出てくる毎に投資を行います。

また、償還資金もバラバラに返ってきます。

このようにキャッシュフローが不規則なことからIRR(内部収益率)で表示されることが多くなります。

IRR(内部収益率)10%を目指すファンドであれば、預けている資金の部分が10%複利で運用されるよう目指すと考えれば良いと思います。

いずれにしても、IRRは利益の大小だけでなく、投資期間も考慮して、その投資の効率性を判断することができる点が特徴となります。



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