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「ダウの犬」投資法の概要とパフォーマンス比較

こちらのページでは「ダウの犬」投資法について概要やパフォーマンス比較など幅広く掲載しています。

「ダウの犬」投資法は「高配当」の「エクセレント・カンパニー」に投資する戦略ですが、必ずしも高いパフォーマンスとなっているわけではなく、マーケット環境によって使い分ける必要があります。

詳細は下記をご覧ください。

「ダウの犬」投資法とは

「ダウの犬」投資法とは、NYダウ構成銘柄(30銘柄)の中で配当利回りが高い10銘柄に投資する手法です。

「ダウ10種」戦略とも呼ばれます。

1990年代初頭に、米国のトップ1%にランクされるマネージャーと呼ばれた「マイケル・B・オヒギンズ(Michael B. O'Higgins)」氏が提唱しました。

具体的な投資手法は下記の条件となります。

  1. NYダウ構成銘柄の中から年末時点の高配当利回りトップ10銘柄をピックアップ
  2. 年初に10銘柄に均等投資し、1年間保有する
  3. 期中配当は配当を出した銘柄に再投資する
  4. 1年後の年末に再度、高配当利回りトップ10銘柄をピックアップし、銘柄を入れ替える

「ダウの犬(Dogs of the Dow)」の名称の由来は、「犬(Dog)」には「負け犬」という意味もあり、配当利回りの高い銘柄というのは株価が低迷していることが多く、人気がない銘柄であるというところから来ています。

ただし、ここでポイントになるのが、「ダウの犬」の場合は人気がない銘柄といっても、そもそもの投資対象がエクセレント・カンパニーの集まりである「NYダウ構成銘柄」である点です。

NYダウは米国を代表する優良銘柄をセクターごとに30社集めた指数です。

そのため、結果的に「ダウの犬」は優良企業かつ高配当株ということになります。

バリュートラップに陥って株価が一向に上昇しないという可能性は低く、一時的に株価が低迷しても、その後の回復が期待できるというのが「ダウの犬」の根底にある戦略です。

言い方を替えると、優良銘柄が安くなった時に投資をする戦略ともいえます。

「ダウの犬」投資法のポイント

  • 優良銘柄に投資(NYダウ構成銘柄)
  • 安くなった時に投資(高配当)

NYダウの構成銘柄についての詳細はこちらをご覧ください。

次に「ダウの犬」が理論通りの高いパフォーマンスを上げているのかを検証します。

「ダウの犬」と「NYダウ」のパフォーマンス比較(2001年~2020年)

「ダウの犬」投資法と「NYダウ」のパフォーマンスを検証します。

2001年~2020年の「ダウの犬」投資法と「NYダウ」のパフォーマンス比較です。

ダウの犬とNYダウのパフォーマンス比較

「ダウの犬」が「NYダウ」を上回った年は背景を色付けしています。

2001年~2020年の20年間で「ダウの犬」の方が高いパフォーマンスとなったのは12回です。(12勝8敗)

一応、勝ち越してはいますが、これくらいであればシンプルに「NYダウ」に投資した方が良いとも感じます。

これを見る限り、「ダウの犬」投資法は必ずしも優れた投資手法とは言えないようです。

特に2019年・2020年のようなグロース株優位のマーケット環境では、「ダウの犬」投資法はパフォーマンスが大きく劣後しています。

ただし、2019年・2020年のように大きくアンダーパフォームした後は、その反動も期待できると思われます。

このように「ダウの犬」投資法は常に高いパフォーマンスを実現できるというものではなく、マーケット環境によって使い分ける必要があります。

また、投資を行う際はシンプルに「ダウの犬」10銘柄を保有するだけでなく、10銘柄の買いにNYダウのショートポジション(空売り)を組み合わせたロング・ショート戦略なども行うことができます。

  • グロース株が割高・バリュー株が割安な局面 ⇒ NYダウETFショート(空売り)+「ダウの犬」10銘柄ロング(買い持ち)
  • バリュー株が割高・グロース株が割安な局面 ⇒ 「ダウの犬」10銘柄ショート(空売り)+NYダウETFロング(買い持ち)

このような形でマーケット全体の上げ下げの影響を抑えながら、リターンを狙うこともできます。

「ダウの犬」以外にも高配当ETFを活用して高配当株投資が可能

高配当銘柄への投資手法として、「ダウの犬」投資法以外にも、下記のようなETFが存在します。

  • VYM:バンガード・米国高配当株式ETF
  • SPYD:SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF
  • DVY :iシェアーズ好配当株式ETF
  • HDV:iシェアーズ・コア米国高配当株 ETF

「ダウの犬」投資法は日本株に応用できるか

普通に考えると「ダウの犬」投資法は日本株にも応用できるはずです。

しかし、「ダウの犬」投資法を行うには「NYダウ」のようなエクセレントカンパニーを集めたインデックス(指数)が必要です。

日本株にNYダウとおなじようなインデックス(指数)があるかと言われるとかなり微妙です。

優良株の指数という点では「日経平均」や「JPX日経インデックス400」が対象になりますが、いずれも銘柄数が多すぎます。

NYダウと同じ30銘柄という点では「TOPIX Core30」が対象となりますが、こちらは成長性の観点からやや見劣りします。配当利回りが高く割安に見えても、バリュートラップにはまって株価が一向に上昇しないことも考えられます。

これらから「ダウの犬」投資法を日本株に応用することはあまりお勧めできません。

シンプルに「日経平均」「JPX日経インデックス400」「TOPIX Core30」に投資した方が良いと思われます。

「ダウの犬」投資法のまとめ

  • 「ダウの犬」投資法は理論的には「優良銘柄」を「安くなった時」に投資する手法
  • 過去のパフォーマンスを確認すると「ダウの犬」は常にNYダウを上回るわけではなく、マーケット環境によって異なる
  • 「ダウの犬」がNYダウを大きく下回った場合は、その後のリバウンドを狙える可能性がある
  • ロング・ショート戦略を活用することで、マーケット環境に影響を受けることなく市場の歪みを狙うことも可能
  • 高配当銘柄投資は「ダウの犬」投資法以外にも高配当ETFなどで投資をすることが可能
  • 日本株に「ダウの犬」投資法を応用することは難しい

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