投資で儲からないのには理由がある
投資をして儲かる確率と損をする確率は、単純に考えると50%:50%です。
しかし、経験上、実際に投資をしている人の儲かる確率は50%を大きく下回ると感じています。
なぜそうなるのでしょうか?
当たり前ですが、理由は高く買って安く売るからなのですが、では何故そのような投資行動になるのでしょうか。
そこには様々な理由がありますが多くの場合、次の3つに問題があると思われます。
- 短期的な利益を求めてしまう
- 「今が買いのチャンス」と言われているものに投資したくなる
- 大きな流れの中で割高なのか割安なのかの判断ができていない
これらはそれぞれが独立しているわけでなく、それぞれが互いに影響し合っている場合が多くなります。
例えば短期的に利益を求めがちになるのは、投資しているものが割安なのか割高なのかが分からず、下がってしまわないか不安なため、上がってもすぐに売ってしまう場合も多くあります。
投資で勝つ確率を少なくとも50%以上にするにはこの3つを全て改善する必要があります。
時間を味方につける(長期投資)と儲かる可能性が高まる
「投資において長期投資は大切です」とはよく言われることですが、なんでもかんでも長期投資すれば良いというものではないと思います。
ただし、国際分散投資で長期投資を行えば世界経済(名目GDP)が長期的にマイナス成長にでもならない限り、どこかのタイミングで利益がでるはずです。
また、外債への投資は長期投資に向いていると思います。
基本的な話になりますが、日本円より金利が高い通貨の外債に投資した場合、為替リスクが発生しますが、外貨ベースで増えた分は円高になっても吸収できます。
これは期間が長くなればなるほど外貨ベースの金額は増加しますので円高抵抗力が高まります。
ブラジルレアルの例が最も分かり易いのでこちらのページで確認してください。
ちなみにブラジルレアル建て債券に投資する投資信託を2008年9月(1レアル=70円の時)に投資して、2017年10月(1レアル=35円の時)に解約した場合、為替部分のキャピタルロスは-50%ですが、トータルリターンは+30%以上です。
9年という時間が50%のマイナスを30%以上のプラスに変えてくれます。
そして、債券関連や不動産関連で流動性は低いが、リスクに対するリターンが大きい商品というものが存在します。これはまさに、流動性リスクに対するプレミアムがリターンとして上乗せされている商品です。このような商品は資金的に余裕がある一部の超富裕層のみに紹介されているケースが多くなりますが、まさにお金持ちの方が運用で成功しやすいという典型例です。
いずれにしても、時間を味方につけられる投資家は運用で成功する確率が高まります。
上がりそうなものより安そうなものに投資する
金融機関が提案する商品はマーケティング(売り易さ)の都合から、提案する材料が豊富で普通に考えると良さそうに感じるものが中心です。
テーマ型の投信などが典型例です。
しかし、そのやり方をずっと進めていくとどこかで大きく損をしてしまいます。
それよりもそこまで良さそうには見えないが、すごく安く見えるものに投資した場合の方が、結果的には大きなリターンがでます。
また、割安なものの方が大きな金額を投資しやすいこともポイントになります。
そして、仕組債(オプションの売り)のような利益には上限があり、損失は無限大の商品にも注意が必要です。これも繰り返し投資を行っていると、どこかで大きな損失を被る可能性があります。
逆に転換社債(オプションの買い)のような利益は無限大で損失は限定的な商品は投資先として理にかなっていると言えます。
- 転換社債の仕組みはこちらを参照:転換社債(CB)の仕組み・特徴・ポイントを分かりやすく説明
見た目の利回りに惑わされず、本質的に良いと思われる商品に投資しましょう。
大きな流れを把握する(株式であれば時価総額/GDP比率・為替であれば購買力平価と実質金利・債券であれば金利とクレジットの水準)
株式でも為替でもクレジットでも割高な時に投資すると下落した場合に大きな含み損が発生するばかりか、その後挽回するまでに時間がかかり、結果として利益を上げにくくなります。
そこで、少なくとも極端に割高な局面で投資をしないために株式・為替・クレジットについて長期的な観点で尺度を持っておく必要があると思います。
下記に株式・為替・クレジットの尺度として参考となるものを紹介しておきますのでご活用ください。
- グローバル株(特に米国株)の水準を確認:全世界の株式時価総額と名目GDPの比較チャート(データ更新用)
- ドル円為替レートの見通し:短中期は日米実質金利差、長期は購買力平価
- クレジット市場:米国ハイイールド債・新興国国債・投資適格社債の利回り・スプレッド長期推移