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毎月分配型投信の分配金についての考察

投稿日:2016年12月20日 更新日:

【参考記事】2016/12/1日経朝刊

毎月型投信の分配金「過半は元本から」 8割低金利響き運用難

投資家に毎月分配金を払う投資信託のうち8割が、原資の過半を元本を取り崩して充てていることが分かった。低金利で運用難の投信が多く、運用益だけでは分配金をまかなえない。毎月分配型の投信は中高年層の投資家に人気が高く、運用会社は実態に合った水準に引き下げられずにいる。

毎月分配型の投信1484本を対象にQUICK資産運用研究所が調べた。昨年10月に買って1年間保有し続けたとすると、8割の投信が分配金の過半を元本を削って支払う状態になっている。全額を元本から出している投信も2割(286本)ある。運用益だけで分配金をまかなえるのは2%(37本)にすぎない。

毎月分配型投信は「年金生活の足しになる」と中高年投資家を中心に人気がある。「新光US―REITオープン」など残高が多い投信には年率20~30%という高い分配金利回りを目当てに資金流入が続いてきた。

ただ運用環境は今年に入って悪化。マイナス金利政策や今年前半に進んだ円高・株安の影響で運用益が上がらず、元本を取り崩す比率が高まっている。投資家の中には「毎月の分配金の原資が自分の投資した資産(元本)とは知らなかった」(埼玉県の80歳代の個人投資家)という声もある。

実態と離れた分配金の支払いを続ければ投信自体の価値が下がり、投資家は中長期で利回りを得にくくなる。人気の離散を懸念していた運用会社も分配金を下げ始めた。

フィデリティ投信は11月下旬にかけて米不動産投信(REIT)で運用する「USリート」や米ドル建ての高利回り債に投資する「USハイ・イールド」の分配金を下げた。野村アセットマネジメントも主に新興国の債券に投資する「野村テンプルトン・トータル・リターンD」の分配金を8月と11月に引き下げた。

元本を取り崩して分配金の支払いに充てる投信が純資産残高の上位に並ぶのは、日本特有の現象だ。基準価格の変動と分配金を合わせた実際の成績を勘案し「バランスを精査することが重要だ」とドイチェ・アセット・マネジメントの藤原延介資産運用研究所長は指摘している。

分配金はタコ配か利益によるものか

記事の資料では残高上位の毎月分配型投信は分配金のほぼすべてを元本から切り崩していることになっています。(92.1%~100%)

元本から払い出されている比率が100%ということは、分配金は全て投資した元本からの払い出しということになります。

ただし注意すべきは、このデータは2015年10月に購入して2016年10月まで保有した場合となっており、単にこの期間は上記の投信が儲からなかっただけともいえます。

表に掲載されている残高上位の投信は全て、海外のREIT、債券、株式に投資する商品でドル円レートの影響を受けるものばかりです。

2015年10月は1ドル=120円前後、2016年10月は1ドル=100円~105円ですので為替だけで15%程度マイナスになります。

逆に同期間の米国REIT、米国株式、ハイイールド債券は上昇していますので、記事内の投信が儲からなかったのは、円高によるパフォーマンス悪化が要因と言えます。

ちなみに仮に同じデータを2016年8月~2016年12月で作成すると、上記記事にある投信の「分配金が元本から払い出されている比率」はほぼ全てが0%になります。

この期間はドル円レートが1ドル=100円前後から1ドル=115円前後まで円安が進み、上記の投信は全て大きく利益が出ています。

要するに分配金が運用益から払い出されているか、元本から切り崩されているかはその期間のパフォーマンスによるということになります。

本来あるべき分配金の姿

高い分配金を出す毎月分配型投信が売れていることについては様々なところで議論されていますので、ここでは多くを語りませんが、本来あるべき分配金の払い出し方は2パターンになります。

10,000円を超える部分についてのみ、毎月分配金を出していく

これが最もシンプルで分かりやすい形だと思います。

ただし、一度大きく下落してしまうと、10,000円に戻るまで長期間に渡り分配金が出ない可能性があります。

また、株式の投信などで購入当初に大きく上昇し投資金額の数十%といった分配金を受け取った後、大きく下落した場合などは、トータルではプラスであっても、次回分配金を受け取れるまで含み損を抱えたまま待つことになります

(例)

  • 10,000円で日本株の投信を購入
  • 30%上昇し翌月3,000円の分配金を受け取る(基準価格は13,000円→分配落ち10,000円)
  • 日本株は20%下落し基準価格が8,000円となる
  • トータルではプラスだが、単価は20%の含み損を抱えた形となり10,000円を超えるまで分配金を受け取れなくなる。

投資対象資産から得られるインカム収入(金利・配当)から信託報酬を控除した分を毎月の分配金とする

どちらかと言えばこちらが良いと考えられます。

ただし、上記記事の投信が支払っている20%~30%といった分配金利回りにはなりません。

各資産の利回り(2016年12月現在)

  • 米国リート(配当利回り):約4%
  • 米国ハイイールド債(最終利回り):6.5%

ここから信託報酬を仮に1.5%として控除すると下記の通りとなります。

  • 米国リート(配当利回り):約2.5%
  • 米国ハイイールド債(最終利回り):5.0%

よって米国リートの毎月分配型ですと年率2.5%を1/12しますので、毎月の分配金は10,000円に対し20円程度(0.2%)となります。

また米国ハイイールド債毎月の分配金は10,000円に対し40円程度(0.4%)となります。

分配金利回りのインパクトという面ではあまりありませんが、これであれば本質的なインカム収入を受け取っていることになります。

保有している投信がタコ配であるか否かは、この考え方を目安にすると良いと思います。

最も大切なことは分配金の大小ではなくトータルリターン

上記②の考え方を例えば新光US-REITオープン(ゼウス)で見てみると、2016/12/5現在の基準価格3,236円に対し分配金は毎月75円ですので、分配金利回りは27.8%となります。

これに対し信託報酬控除後の配当利回りは2.0%程度です。

27.8%―2.0%=25.8%がタコ配ということになります。

これを悪いと思うか否かは個人の好みの問題だと思います。

もちろん「分配金利回りが27.8%だから良い買いですよ」ということは間違いですが、年金感覚で安定的にそれなりの金額を受け取りたいというニーズもあると思います。

そして最も重要なのはトータルリターンです。

要は保有している投信がトータルで儲かっている否かが重要です。

その点で見ると新光US-REITオープン(ゼウス)は2004年9月の設定来ではリーマンショックを除くと基本的に右肩上がりで、約12年のトータルリターンでも+99.2%とまずまずの成績ですので、決して悪い投資とは言えないと思います。(インデックス対比では大きくマイナスとなっているのでその点では良い運用とは言えませんが、今回は絶対的なリターンのみに着目します)

フィデリティーUSハイ・イールド・ファンドも同様に1998年4月の設定来、約18年で+136%となっておりトータルリターンでは良い結果となっています。

このように毎月分配型で残高上位の投信は、トータルリターンでは良い成績のものが多くなっています。

よく「タコ配でも高い分配金利回りだから売れている」と言われていますが、顧客はそこまでバカではありません。

高い分配金に惹かれながらも、投資対象の見通しやこれまでのパフォーマンスもしっかり吟味した結果だと思われます。

はやり利益を上げていただかなくては、お客様はついてこないということです。

関連ページ

ゼウスのセールストークはこちらを参照してください

フィデリティーUSハイ・イールド・ファンドのセールストークはこちらを参照してください

その他関連ページはこちらを参照してください

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