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資産クラスのポイント

債券・為替バランスファンドのポイント【野村テンプルトン・トータル・リターンを例に解説】

こちらのページは「世界の債券投資」に「為替ロングショート取引」を組み合わせた「野村テンプルトン・トータル・リターン」のポイントを紹介しています。

野村テンプルトン・トータル・リターンに関する様々な情報を幅広く箇条書きで掲載していますので、適宜、必要部分を参照してください。

データや内容は随時、更新しています。

野村テンプルトン・トータル・リターンの商品概要

実質的な運用会社

  • フランクリン・テンプルトン(委託会社:野村アセット)

投資対象

  • 「世界の債券(新興国を含む)に投資」+「為替ロングショート取引」
  • 基本戦略は3パターン
    1. A国の債券と通貨が共に良好見通し→A国債券をA国通貨のまま保有
    2. A国の債券は良好見通しだが、通貨はA国よりB国の方が良好見通し→A国債券を保有、通貨は「A国通貨売り+B国通貨買い」
    3. C国通貨は上昇見通し、D国通貨は下落見通し→「C国通貨買い+D国通貨売り」の通貨取引のみ

商品組成上の特徴

  • 4コース
    • Aコース:年2回分配+為替ヘッジあ(限定ヘッジ)
    • Bコース:年2回分配+為替ヘッジなし
    • Cコース:毎月分配+為替ヘッジあり(限定ヘッジ)
    • Dコース:毎月分配+為替ヘッジなし
  • AとB、CとDはスイッチング可能

主な販売会社(販売手数料)

  • 野村証券:1億口未満3.3%、5億口未満1.65%、5億口以上0.55%
  • 千葉銀行:5億円未満3.3%、5億円以上2.2%
  • 足利銀行:1000万円未満3.3%、5000万円未満2.75%、5000万円以上2.2%

信託報酬

  • 1.806%

野村テンプルトン・トータル・リターンのポイント

債券のみのバランスファンド

  • 新興国を含む世界債券から得られるインカムゲインをベースに、一部為替取引も行い安定的な資産成長を目指すファンド
  • 株式は投資対象に含まない為、中長期で安定的に運用したいお客様に向いている
  • マーケット環境に合わせ信用リスクを適切に管理しながら、セクター・銘柄を機動的にシフト
  • 金利環境に合わせデュレーションをダイナミックに変更(平均デュレーションは2008年の6年から2019年の-1.2年まで変化)
  • 投資債券は、先進国から新興国にわたる投資対象60ヵ国・地域以上の中から、概ね30~50ヵ国・地域に投資

安定的な推移

  • 2003年10月〜2020年10月のリスクリターンはリターンが年率6.5%、リスクが約9.0%と安定的かつ効率的な運用となっている。同じ期間のハイイールド債や世界株式のリターンを上回る。
  • リーマンショック時の最大下落率でも約13%と低水準。この時も半年程度で高値を更新している。(米ドルベースの同一戦略ファンドの実績)

プラスアルファの運用

  • 為替ロングショート取引でプラスαのリターンが期待できる。
  • 投資通貨は、先進国通貨から新興国通貨にわたる投資対象40通貨以上の中から、概ね20~30通貨程度に投資
  • 買い建てと売り建てを組み合わせ、機動的に通貨配分を行っている

運用資産残高は増加

  • 好調なパフォーマンスからテンプルトンにおける同戦略ファンドの残高は約150億ドルに達している。(2020年10月現在)

優秀な下値抵抗力

  • リーマンショック時の最大下落率が約13%となっているが、当時は流動性危機と呼ばれ内容の良し悪しや理論価格など関係なく、値がついて売れるものは売ろうという環境であった。
  • 他の債券も大幅に下落しており13%という数字はかなり優秀な数字と言える。
  • ちなみに他の債券の最大下落率は、下記のように過去にない大幅な下落となった。(米ドルベース)
  • よって、中長期で下値を抑えながら安定的に運用できるファンドと言える。
    (ちなみに金融機関ハイブリッド証券の下落率が大きいが、本来ハイブリッド証券はハイイールド債より格付けが高い債券である。当時ハイブリッド証券がBBB程度、ハイイールド債はB~BB程度である。それにも関わらずハイブリッド証券が大きく下落しているのは、ハイイールド債券に比べて流動性が低いことと、機関投資家中心で投資家層に偏りがあったからと考えられる。)

安定運用のコア商品

  • ポイントは株式は組み入れられず債券がメインで一部為替のロングショートを行う運用であること。
  • 株式が入っていないため、大きく下落する可能性が低く、金利収入を中心とした安定的なパフォーマンスが期待できる。
  • 富裕層のコア商品としては非常に有効な商品と言える。

運用会社フランクリン・テンプルトンについて

  • 米国発祥で70年以上の歴史を持ち、世界35ヵ国に拠点を有する独立系の運用会社
  • 株式・債券・為替・オルタナティブ等幅広く運用
  • 持株会社であるフランクリン・リソーシズ・インクはニューヨーク証券取引所に上場
  • 1998年に資産運用会社として初めてS&P500種株価指数に採用

野村テンプルトン・トータル・リターンのリスク・デメリット

運用会社の投資判断に依存

  • 債券及び為替取引共にテンプルトンのマーケット見通しを基に投資を行う為、見通しが外れた場合はパフォーマンスの低下も考えられる。

新興国リスク

  • 時期によってはポートフォリオに占める新興国債券の比率が大きいこともある為、新興国の経済情勢や財政状況によってパフォーマンスが悪化する可能性がある。
  • AコースとCコースは為替限定ヘッジであり、ドル/円部分のみヘッジを行う。米ドル/新興国通貨部分はヘッジされていないため、新興国通貨が対米ドルで下落する局面ではパフォーマンスが悪化する。

世界的な金利低下

  • 世界的に金利が低下するとポートフォリオ利回りも低下する。
  • 2020年4月末時点では信託報酬控除後のポートフォリオ利回りはマイナスとなっていた。(ポートフォリオ利回り1.4%、信託報酬控除後-0.48%)
  • ただし、このような局面でも通貨のロング・ショート取引などで収益獲得の機会はある

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