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ヘッジファンドが昔ほど儲からない理由

投稿日:2016年8月18日 更新日:

低迷するヘッジファンドの収益率(年間収益率の推移)

パフォーマンスの悪化に苦しんでいるヘッジファンドが多いようです。

グローバルマクロ運用の著名ヘッジファンド「チューダー・インベストメント」は主力ファンド「BVIグローバル」の2016年1月~2016年7月のパフォーマンスが-2.5%と低迷し、4月~6月の3か月間で約7億ドル(約710億円)の資金引き上げがあったようです。

ちなみにBVIグローバルのこれまでのパフォーマンスは次の通りです。

  • 1987年~2007年:約26%(年率)
  • 2008年~2015年:約5.3%(年率)
  • 2016年1月~7月:-2.5%

ここ数年は全盛期のようなパフォーマンスを計上できていません。

これはチューダーに限らず、ヘッジファンド業界全体にも同様のことが起きているようです。

ヘッジファンド業界全体のパフォーマンスを表す「HFR グローバルヘッジファンド・インデックス」でみても、2004年以降で10%を超えるパフォーマンスを上げたのはリーマンショックの翌年の2009年(+13.4%)のみです

この年も前年に-23.25%の下落をした後ですので、下がりすぎたものがリバウンドしただけで、運用が上手くいったとは言えません。

ヘッジファンド業界パフォーマンス

しかもヘッジファンドの場合は生存バイアスがあり実際にインデックスを上回る運用を継続することは難しいといわれていますので、実際の投資成果は上記のパフォーマンスを下回るケースが多いと思われます。

生存バイアスの意味など「ヘッジファンドについて」はこちらを参照してください。

ヘッジファンドが低迷する要因は運用資産残高の増加(ヘッジファンド業界の運用資産残高推移)

ヘッジファンドのパフォーマンスが低迷している要因はもちろん1つではなく、様々な要因が重なった結果であると思われますが、その中でも最も影響が大きいのは業界全体の運用資産の増加だと考えられます。

ヘッジファンドは同じ戦略であれば、概ね着目するポイントは重なってしまいます。特に株式ロングショート、イベントドリブン、債券アービトラージなどはその傾向が強くなります。

ヘッジファンド業界の運用資産残高は2000年に4,910億ドル(約50兆円)でしたが、10年後の2010年には約4倍の1兆9,170億ドル(約200兆円)となり、更にその5年後の2015年には2.9兆2,000億ドル(約300兆円)まで大幅に拡大してきました。

ヘッジファンド運用残高推移

1990年代は一部の超富裕層の為の商品でしたが、2000年頃から年金をはじめとする機関投資家の資金が大幅に流入し、2005年頃には一般投資家向けの公募投信も多く販売されるようになり、投資家層が劇的に拡大したことが要因です。

世界の金融市場も拡大していますが、さすがに増加ペースも早すぎますし、300兆円という資産規模自体も大きすぎると言えます。これだけ急に競争が激化すると以前のような高いパフォーマンスは期待しにくいと思われます。

ヘッジファンドへの資金の流れに変化も

米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員年金基金(カルパース)は2014年9月にヘッジファンド投資からの撤退を発表しました。

同様にニューヨーク州やニュージャージー州の年金基金もヘッジファンドの投資残高を減らしています。

このようにここ数年ヘッジファンド業界の資産拡大に大きく貢献してきた機関投資家にヘッジファンドからの撤退の動きが多くみられるようになっています。

急激な資産拡大によりパフォーマンスが悪化しており自然な動きであると思います。

残高が減少する(残高の拡大が緩やかになる)ことで、以前のような高いパフォーマンスを回復できれば業界の中長期的な発展にも貢献します。

ヘッジファンドが中長期的に発展するには運用資産の増加ペースが緩やかになり、「Hedge Fund Research HFRX Global Hedge Fund Index」ベースで平均10%以上のリターンは確保したいところです。

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