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ホテル需要はインバウンドよりも日本人の65歳~70歳人ロが重要

2018年10月8日

2010年代のホテル需要の増加がインバウンド(訪日外国人旅行者)によるものと勘違いしている人が多いようです。

こちらのページではその勘違いについて、警笛の意味も込めて下記で解説しています。

訪日外国人旅行者数は大幅増加

観光立国を目指す日本は2020年の訪日外国人旅行者数(インバウンド旅行者数)の目標を4,000万人をとしています。

こちらは訪日外国人旅行者数(インバウンド旅行者数)の2007年~2018年の推移です。

インバウンド旅行者数推移

確かに順調に伸びています。

このペースでいけば2020年の4,000万人も達成可能な状況です。

ただし、各種報道ではインバウンド旅行者の増加でホテル業界が活況に沸く一方、ホテルの建設ラッシュが始まり、将来的な需給には注意しなければいけないとされています。

確かに間違いではありませんが、さらにデータを詳しく分析してみると、ホテル需要についてはインバウンド以外に、もっと重要なポイントがあることが分かりました。

それではまず、国内のホテル等の宿泊データから見ていきます。

インバウンドより日本人の旅行者が増えている

下記は国内のホテル・旅館・簡易宿所の延べ宿泊者数(泊数)の推移です。内訳として日本人と外国人の宿泊数も掲載しています。

国内ホテル宿泊者数(日本人・外国人内訳)

合計では2007年から2018年で約2.3億泊増加しています。(3.09億人→5.38億人)

内訳をみると日本人が1.58億泊の増加、外国人が0.72億泊の増加となっています。

宿泊者数(泊数)の増加割合で見れば約4倍になっている外国人の方が大きいですが、増加した数でみると約70%が日本人による宿泊者増となっていることが分かります。

これは非常に重要なポイントです。ホテル需要の増加はインバウンドによるものと言われることが多いですが、本当のところは日本人の影響の方が大きいのです。

しかし、日本人についてはビジネス(出張)需要が大きく拡大しているという話はあまり聞きません。

それではこれだけ大きく増加した理由は何でしょうか?

最も大きな要因は2010年頃から団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が定年退職していることだと考えられます。

そして、時間とお金に余裕できたシニア層の人たちが国内旅行を楽しんでいるということです。

団塊の世代は現役時代の所得も退職後の年金も、比較的恵まれた世代とも言えます。

人口も多い団塊の世代が小旅行を楽しむことで、国内のホテル需要が高まっていたのです。

逆に今後、団塊の世代が高齢になり、旅行に行かなくなるような状況が来た場合は、インバウンド旅行者が増加していても全体で見ると減少する可能性もあります。

これはホテル業界にとっては非常に大きな問題といえます。

また、この観点で考えると、時間に余裕があり、なおかつ健康面でも余裕のある65歳~70歳位の日本人の人口がホテル需要の大きなポイントになりそうです。

下記は2018年12月時点の日本の年齢別人口の抜粋です。

日本人の年齢別人口構成

団塊の世代はそれより少し上の世代と比較して人口が急増していることが分かります。

しかし、2018年時点の69歳〜71歳(団塊の世代)をピークにその後は減少傾向となっています。

団塊の世代は1学年の人口が200万人前後いますが、団塊の世代より5歳下の世代からは1学年の人口が150万人前後となっています。

よって、ホテル需要が堅調であった2010年~2018年と比較すると、2020年~2030年は退職者が少なく65歳〜70歳の人口は減少します。

そのため、日本人のホテル宿泊者数が低迷する可能性があります。

一方、2019年時点でホテルは全国的に建設ラッシュです。当面、ホテルの数が増加することは間違いありません。

将来的なホテル需給の動向を考えた場合、日本人旅行者の増加ペースがスローダウンする部分をインバウンド旅行者の増加でどこまでカバーできるかがポイントになりそうです。

カバーできないとホテル業界は厳しい環境となる可能性があります。

特に団塊の世代が70代後半になる2025年頃は日本人のホテル需要が大きく減少することが予想されるので注意が必要です。

ホテル関連REITは日本人の人口動態に影響を受ける

ホテル関連のJ-REITではホテルの需要動向は非常に重要なポイントになります。

J-REITの中でもホテル関連REITの場合は歩合賃料などがあり、ホテルの業績によってREITの利益・分配金も短期間で大きく変化します。

また、上場している企業でもホテル運営を行っているところが増えてきています。

上記の通り、将来のホテル需要を予想する際にはインバウンド需要に加えて、日本国内の人口動態(特に65歳~70歳人口)も確認する必要があります。

個人的には「日本の定年退職者の減少」と「ホテルの供給増」を考えると少し心配です。



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