こちらのページは証券会社の営業担当者向けに掲載しています。
マーケット環境が悪化し、営業が上手くいかないときにご覧ください。
マーケット環境が悪い時は発想を変えた営業活動が大切です。
株式・債券・投信の「移管」を活用して預かり資産を増やしましょう。
株式・債券・投信の移管は移管元証券会社で手続きを行う
他社で購入し保有している株式・債券・投信を自社に預け替えしていただくアプローチを考えます。
2015年5月までは外国株と外国債券の移管手続は移管先の証券会社で行っていましたが、2015年6月1日以降は移管元の証券会社で行うようになりました。
よって、以前は預かっていた外国株や外国債券が突如、他社に移管されてしまうといったケースがありましたが、現在はなくなりました。
また、投信の移管は以前はできませんでしたが、2007年1月から可能となっています。
まとめると、現在は株式・債券・投信のいずれも移管が可能で、手続きは移管元の証券会社で行う形になっています。(債券や投信は移管先の証券会社で取扱いがある商品でないと移管できません)
つまり、移管をするには顧客がわざわざ現在預けている証券会社に行って手続きをする必要が発生します。
さらに顧客は少なからず悪いと思う気持ちもあるでしょうし、手続きに行った際は引き留めにもあうと思われます。
また、証券会社によっては移管手数料を取るところも多くなっています。
よって、証券会社の営業担当者が顧客に自社への移管をお願いする場合は、メリットを感じてもらえるようにアピールして、信頼を得る必要があります。
ただお願いしただけでは、簡単に移管してくれることは期待できません。
移管してもらいやすいタイミングはマーケット低迷時
上記に記載した通り、移管にはそれなりに高いハードルが存在します。
ではどのような時に移管をしてもらいやすいでしょうか?
それは「お客様が不満を持っている時」です。
顧客が不満に思うタイミングで最も一般的なのは、「損失が膨らんでいる時」です。
個別の理由で担当者とトラブルになっている時も不満に思っている時に該当しますが、これは中々予測できません。
よって、移管のアプローチをするタイミングとしてはマーケットが低迷している時ということになります。
そして、ここで重要になるのが、日頃から顧客の他社状況を把握しておくことです。
他の証券会社でどのような資産クラスの商品を持っているのかによって損失が出るタイミングや損失の大きさが変わってきます。
よって、移管セールスの第一歩は他社で保有しているポートフォリオの把握ということになります。
そして、マーケットの低迷時は自身の顧客も損失を抱え、動きにくいタイミングだと思います。
そのようなときに新たな提案をしても成約する確率は通常よりも低くなると考えられますので、目線を変えて移管アプローチに専念するには良いタイミングと言えます。
移管の提案手法(貸株・カバードコール・為替スーパーボールなどを活用)
移管をお願いする際、ただ「うちに移してください」とお願いするだけでは不十分です。
顧客の状況を理解した上で、問題の解決策を提示しながら移管をお願いする必要があります。
特に「株式」の移管では下記で紹介する2つのプランが有効です。
株式の移管のアプローチをする際に活用する手法としては「株券貸借取引(貸株)」と「特約付株券貸借取引(カバードコール)」があります。
当面売却する予定のない株式の場合は「貸株」で貸株料を受け取ることができます。
含み損を抱えていてある程度までリバウンドしたら売却したい株式の場合は「カバードコール」を行うことで、指値をしながら金利を受取れます。
- 株券賃借取引(貸株)や特約付株券貸借取引(カバードコール)についてはこちらを参照:保有する日本株を有効活用した提案手法【VWAP、特約付株券貸借取引(カバードコール)】
これらは各証券会社でキャンペーンなどをして高い金利を提供していることもあるのでその際は積極的に活用すべきです。
また、同様に移管元証券会社に支払う移管手数料を負担するキャンペーンを行っていることもあるのでこちらも活用すべきです。
また、「外債」「投信」で為替の含み損があるケースでは「為替スーパーボール(為替ジャンプアップ債)」の提案が有効です。
為替スーパーボール(為替ジャンプアップ債)を活用することで含み損を解消できる為替レートでの円転を狙うことができます。
- 為替スーパーボール(為替ジャンプアップ債)のしくみについてはこちら:為替スーパーボール債(為替ジャンプアップ債)
この場合、必ずしも移管する必要はなく、売却したうえで入金してもらっても可能ですが、そうするとタイムラグができる可能性があります。
タイムラグを極力なくす為には、移管した上で投信や外債の売りを行い、為替スーパーボール(為替ジャンプアップ債)の買いを約定するのが理想的です。
それを理由に移管をおススメします。
そして、株式・債券・投信の中で移管をしてもらうインセンティブが最も高いのは「投信」です。
投信の信託報酬の一部は販売会社にも支払われています。
よって、投信を移管してもらい、預かり資産となるだけで収益が発生します。(株式や債券は売買して初めて収益が発生します)
一時期、大手証券で残高の多い投信の販売会社に加わるといった動きが活発化しました。
例えばグローバルソブリンオープンなどです。これは自社の顧客に提案していくというよりは、移管による資金導入を狙って販売会社に入ったものと考えられます。
投信の移管を狙うには、顧客が保有している投資信託を定期的にヒアリングして把握しておくことが重要です。
その上で売却した方が良いと思うものは売りの提案をし、保有し続けた方が良いと思うものは移管の提案をします。(もちろん、売却候補の投信も移管してもらった上で、タイミングを見て売却をすることも有効です)