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ユーロヘの投資について考える

投稿日:2017年3月4日 更新日:

ユーロの長期チャート(ユーロ発足から2017年まで)

ドル/ユーロ長期チャート

1999年1月のユーロ発足後からの推移は、1ユーロ=1.1~1.2ドル程度を中心値としてある程度レンジでの推移となっています。

下記に掲載しているようにFRBとECBのインフレ目標がともに2%で購買力平価が大きく変化しないことが一定レンジでの推移となる要因と思われます。

ユーロ圈の概要

通貨ユーロは1999年に仮想決済通貨としてスタートし、2002年から現金も発行されるようになりました。

2017年現在、25ヶ国で使用されており、米ドルに次ぐ第2の基軸通貨とも言われます。

ユーロ圈25ヶ国の人口は3.4億人と米国の3.2億人を上回ります。(日本は1.2憶人)

名目GDPはユーロ圈25ヶ国が約12兆ドル、米国が約18兆ドルです。(日本は4.1兆ドル)

ユーロ圏の構成国を個別で見た場合、人口と名目GDPで最大なのはドイツですが、人口は0.8憶人、名目GDPは3.3兆ドルです。

ユーロ圏参加国は、個別の国で見た場合、人口・経済規模ともに日本より小さな国ですが、統一通貨で為替リスクがない経済圏を作ることで、大きな経済圏を作り上げました

日本はバブル崩壊後、少子高齢化の問題もあり、経済が長期に渡り低迷しています。

ドイツやフランスなども経済が成熟し、人口構成なども日本とそれ程変わらないにもかかわらず、経済成長を実現しているのはユーロ発足の影響も大きいと考えられます。

経済が成熟していない国を同一経済圏内にすることは、米国の移民制度と似ていて、理想的な人口動態を作ることになり、経済成長を後押しすることになります。

各国の人口推移については「世界の人口推計」を参照して下さい。

ユーロの問題点

同一通貨=同一金利

通貨が統一されるということは、金利も統一されることになります

為替リスクがないのに金利が異なると金利の高い方に資金シフトが発生し、矛盾が生じます。

ユーロ圈の政策金利はECB(欧州中央銀行)が決定します。

ただし、例えばドイツとスペインを比較すると産業構造やインフレ率などが異なり、同じ金利を適用するとどちらかに矛盾が発生します。

本来、インフレ率などから考えるとドイツよりスペインの方が金利が高くすべきです。

しかし、通貨が同一のため、政策金利も同一となります。

ユ一口導入後の政策を見ているとややドイツに合わせた金利政策となっているように感じます。

そのためスペイン等にとっては金利がやや低すぎたことが住宅バブルを発生させ、欧州危機の遠因となっているます。

このようにユー囗には経済のステージが異なる国々に同一の金利を適用する問題点があります。

財政政策は各国が独自で運用

ユーロ圈の場合、財政政策は制限があるものの、各国が独自で運営する仕組みとなっています

よって財政が健全なドイツなどと比較してイタリア、スペイン、ギリシヤの国債利回りは高くなります。

2010年以降、度々発生する欧州債務危機においてイタリア、スペイン、ギリシャ等、財政に問題がある国の国債が大きく売られました。

長期金利の指標となるのは10年国債利回りですが、ユーロ圈の場合は国ごとに利回りが異なります

ユーロ圏における長期金利の指標は格付けが最上位(AAA)で流動性も高い10年ドイツ国債となります。

それ以外の国債は格付け(信用力)に応じて利回りが上乗せされた形となっています。

通貨と政策金利は同じであるが、財政政策が別で長期金利が異なることは、本質的に矛盾しておりどこかで問題が表面化する可能性があります

ユーロヘ投資すべきか

上記の通り、第2の基軸通貨となりうるポテンシャルがあるのは事実ですが、同様に問題点も多くある通貨です。

国際分散投資をするうえで通貨分散は重要ですが、現在の世界の仕組みを考えた場合あくまでベースとなるのは米ドルです。

それ以外に日本人が投資する通貨としてよくあげられるのはユー囗、ポンド、豪ドル、ブラジルレアルなどです。

もちろん通貨を分散すればボラティリティ(リスク)は低下します。

ただしこれらはあくまでボラティリティを低下させる(リスクを落とす)ためのツールであって、積極的に投資しなければいけないものでもありません。

よってユーロも豪ドルやブラジルレアルと同様にコア・アンド・サテライトのサテライト部分として考えておいてよいと思われます。

安くなった場合に限り、ポートフォリオの一部として購入することをお勧めします

補足としてECB(欧州中央銀行)とFRBは以前からインフレ目標を2%としており、ユーロ圈と米国のインフレ率はそれほど大きくかい離しない傾向があります。

そのため米ドル/ユーロ為替レートの購買力平価は一定のレンジの推移となり、実際の米ドル/ユーロ為替レートも大きなトレンドをもってどちらかに動くということはありませんでした。

今後もこのような動きであれば少なくとも米ドルより金利が低い時に、ユー囗に大きく投資するインセンティブは低いと言えます。

ただし、ドイツやフランスを中心にデフレが進んだ場合、過去の日本のように、予想外の通貨高(ユーロ高)ということも想定されます

よってユーロ圈のデフレリスクが心配であれば、保有している米ドルのリスクヘッジとしてユーロを保有するのも良いと思われます。

デフレによる通貨高に関しては「日銀はなぜ2%のインフレを目標とするのか?理由は円高トレンド是正と財政再建」と「為替レートの予想・分析は実質金利差・購買力平価を活用」を参考にしてください。

【参考記事】2017/2/28日経朝刊

政治リスク耐えるユーロ、独景気堅調が支え

通貨ユーロが選挙ラッシュという政治リスクの接近を受けても大きく下落せずに持ちこたえている。ユーロ圏の屋台骨を支えるドイツの経済が堅調。物価上昇率の高まりがドイツの長期金利を支えている。結果として米独金利差が広がりにくくなり、対ドルでのユーロ安進行を和らげている。ただ、ドイツ景気は過熱感もじわじわと高まっており、先行きの不安材料になりつつある。

ユーロは2月に入って対ドルで下落基調にあった。4月23日に第1回投票を迎えるフランス大統領選の有力候補にスキャンダルが相次いで浮上し、極右政党「国民戦線(FN)」のルペン候補が健闘するとの観測が強まったためだ。

2月中旬以降は1ユーロ=1.05ドル台を中心とした膠着状態で推移。トランプ氏の米大統領選勝利以降、一時2.3%台に拡大していた米国とドイツの長期金利差は現在、2.1%台にとどまっている。一般的には金利差が拡大するほど、ドル買い・ユーロ売りが膨らむ。

米長期金利は、トランプ氏が掲げる「驚くべき税制改革」の詳細がなかなか見えず、上昇が止まっている。一方、独長期金利は多少の政治リスク程度では下がりにくくなってきた。背景にあるのは同国景気の堅調さだ。

輸出依存度が高いドイツにおいて、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和による中長期的なユーロ安が経済の押し上げ要因になっている。「ドイツ経済はユーロ相場が1ユーロ=1.3ドル台でも成り立つとみており、足元で好調なのは当然だ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏)との指摘がある。ドイツ連邦統計庁によると、2016年通年の国内総生産(GDP)成長率は1.9%だった。

好景気は消費者物価も押し上げている。1月のドイツ消費者物価の前年同月比上昇率は1.9%だった。16年後半からの上昇加速が顕著だ。ユーロ圏の消費者物価もそれと歩調を合わせるように上がってきている。

ECBはドイツのためだけに金融政策を運営できない。消費者物価は目標近くまで上昇しているが、政治リスクやギリシャの債務問題の再燃などが目先にある中で、緩和的な金融政策を急いで修正する可能性は低い。経済成長がドイツの長期金利を支える状況は当面続く可能性が高い。

ただ、ここにきてドイツ経済が過熱することへの懸念も強まり始めている。ショイブレ独財務相は4日、ECBの金融政策について「ドイツにとっては緩すぎる」とけん制した。市場にも「ドイツだけ高成長が続き、ユーロ圏内における経済不均衡が拡大すれば、いずれはバブル崩壊のような修正を迫られる」(みずほ銀行の唐鎌大輔氏)との声がある。

3月15日のオランダ総選挙から始まる欧州の選挙ラッシュへの警戒も残る。フランス大統領選の決選投票でもルペン候補が優勢になるといった不測の事態が起きれば、マネーがドイツ国債に流れ込み、米独金利差の急拡大につながる。

逆に言えば、ユーロがドルとの等価(1ユーロ=1ドル)を目指して下がっていくという展開は、ドイツ経済の急減速や選挙での大番狂わせといったリスクシナリオが発生しないと見込みにくくなっている。

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