こちらのページでは「iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF(EMB)」を例に「米ドル建て新興国債券」について幅広い情報を掲載しています。
「米ドル建て新興国債券」は「投資適格社債」「ハイイールド債」「CoCo債」などと並んで主要な米ドル建てクレジット債券の1つです。
米ドル建て新興国債券のポイントをまとめると下記の通りです。
- 新興国経済の成長により米ドル建て新興国債券にもプラスの影響
- 新興国の信用力アップにより、スプレッドは米国ハイイールド債より低い水準となった(以前は米国ハイイールド債より高いスプレッドであった)
- 日本でも人気がある米国ハイイールド債と組み合わせて投資を行うことで分散効果を発揮できる(特に原油価格下落局面など)
- 金利上昇リスクと新興国のクレジットリスクに注意
詳細は下記をご覧ください。データや内容は随時、更新しています。
- 日本から買える代表的ETFの一覧はこちら:日本から買える代表的ETF / ETFで国際分散投資
まず最初に「iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF(EMB)」の商品概要から紹介します。
iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF(EMB)の商品概要
実質的な運用会社
- ブラックロック
投資対象
- 新興国が発行する米ドル建て国債等に投資
- ベンチマーク:JPモルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・グローバル・コア・インデックス
商品の形態
- ETF
信託報酬
- 0.39%
米ドル建て新興国国債の良い点・見通し
新興国の経済成長により米ドル建て新興国債券にもプラスの影響
- 新興国の高い経済成長率
- 人口の増加
- 中間所得層の増加で経済が安定成長へ
- 外貨準備高の大幅な増加
- 先進国と比較して健全な政府債務
- 格付けは上昇傾向
- 上記に関するより詳細な説明は下記も参照
新興国の信用カアップにより新興国国債の評価もアップ
- 長期的に新興国の信用力が上昇することでスプレッド(上乗せ金利)が縮小し、債券価格の上昇要因となっている
- 下記は米国ハイイールド債と新興国国債の利回り推移である。
- 1990年代は新興国国債の方が利回りが高かったが、2000年代以降はハイイールド債の方が利回りが高い状態となっている。これは新興国国債の信用カアップによるスプレッド(上乗せ金利)縮小が要因である。
- 新興国国債の利回り・スプレッドの最新チャートはこちらを参照:米国ハイイールド債・新興国国債・投資適格社債の利回り・スプレッド長期推移
- 新興国国債の最新データはこちらを参照:iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF(EMB)サイト
米ドル建て新興国債券はハイイールド債との組合せでクレジットの分散効果が高まる
- 米ドル建て新興国国債の平均格付けはBB格~BBB格程度で、米国ハイイールド債券(B格~BB格程度)よりやや信用力が高いイメージ
- そのため、利回りは米国ハイイールド債券よりやや低くなるが先進国の投資適格債券と比較すると高い利回りを享受できる
- 新興国債券はハイイールド債券と格付けや利回りでかなり似ている債券であるが、クレジットリスクの性質が大きく異なることから、ハイイールド債券と新興国債券の分散投資を行うことで高い利回りを享受しながら、リスクの分散を行うことができる
- 特に原油価格が下落する局面ではハイイールド債は大きく下落する傾向にあるが、米ドル建て新興国債券はそれほど影響を受けない。例えば2015年6月頃から2016年2月にかけて原油価格が大きく下落した際、ハイイールド債券はエネルギーセクターのデフォルト率上昇が懸念され15%近く下落したが、この時の新興国債券は5%程度の下落にとどまった。
- よって、同じような格付け・利回りの債券でも、クレジットの種類を分散することは重要と言える
- 日本でもなじみの深いハイイールド債券の保有者がリスク分散を目的として米ドル建て新興国債券を購入することは有効と言える
- ハイイールド債についての詳しい内容はこちらを参照:フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド/米国ハイイールド債の投資環境
米ドル建て新興国債券は幅広い投資対象国が存在
- 米ドル建ての国債を発行している新興国は多く、発行額も増加している
- 投資対象国の例:メキシコ、インドネシア、中国、ロシア、トルコ、ブラジル、アルゼンチン、フィリピン、ベネズエラ、コロンビア、南アフリカ、チリ、マレーシア、レバノン
- 様々なクレジット(信用力)の投資対象が存在する
米ドル建て新興国国債市場の発行残高は増加傾向
- 1993年:約1,000億ドル
- 2000年:約2,000億ドル
- 2005年:約3,000億ドル
- 2010年:約4,000億ドル
- 2013年:約6,000億ドル
- 2017年:約8,000億ドル
- 取引量の増加は流動性向上をもたらし、取引コストの低下に寄与する
米ドル建て新興国国債の悪い点・リスク
金利上昇リスク
- インデックスベースのデュレーションは7年前後となっており、一般的なハイイールド債券のインデックスと比較しても少し長めである。
- そのため米ドルの長期金利が上昇すると債券価格が下落するリスクがある(ちなみに米ドル建て新興国債券であるため、新興国の金利ではなく米ドルの金利に影響される点に注意)
クレジットリスク
- 新興国の景気や財政が大幅に悪化すると、スプレッド(上乗せ金利)が拡大することで債券価格が下落する可能性がある
- デュレーションとスプレッドについてはこちら:社債のスプレッドとデュレーションについて
新興国債券を投資対象とする投信(類似ファンド)
バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF(VWOB)
- ベンチマーク:ブルームバーグ・バークレイズ米ドル建て新興市場政府債RIC基準インデックス
- 過去のトラックレコードは「iシェアーズJPモルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券ETF(EMB)」やそのベンチマークである「JPモルガン・エマージング・マーケッツ・ボンド・インデックス・グローバル・コア・インデックス」とほとんど同じ推移となっている
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