こちらのページは「ダイワ日本国債ファンド」を例に「日本国債」のポイントやリスクを掲載しています。
大部分は日本国債全般に共通する内容ですので、日本国債の見通しを分析する上で活用いただけます。
日本国債のポイントをまとめると下記の通りです
- 日銀のマイナス金利政策・イールドカーブコントロールにより極端な金利上昇は起こりにくい状況
- 日本の財政は負債も多いが資産も豊富
- 日本国債の保有は国内投資家がメインで、自国通貨建てであるためデフォルトリスクは相対的に低い
- 投信経由で投資する場合、信託報酬控除後利回りがマイナスとなるケースもあり、債券価格の上昇(金利低下)がないと利益が出ないケースもあるので注意
- 予期せぬ金利上昇には注意が必要(悪いインフレなど)
詳細は下記をご覧ください。データや内容は随時、更新しています。
まず最初にダイワ日本国債ファンドの商品概要から紹介します。
ダイワ日本国債ファンドの商品概要
実質的な運用会社
- 大和投信(委託会社:大和投信)
投資対象
- 日本国債
- 最新のポートフォリオ利回りは月次レポートを参照:大和投信/ダイワ日本国債ファンド
商品組成上の特徴
- 毎月分配型と年1回決算型あり
信託報酬
- 0.77%以内(10年国債の利回り水準によって変動:10年国債が1%未満の場合0.198%、10年国債が1%以上2%未満の場合0.33%)
日本国債に投資する上でのポイント・メリット
金融緩和
- 日銀の量的金融緩和により当面、金利は低位安定する事が予想され安定的な値動きが予想される。
- また国内のインフレ率は日銀が目指す2%に遠く及ばす、更なる追加の金融緩和の可能性も考えられる。そうなれば長期金利の更なる低下(債券の価格は上昇)により基準価格の上昇が期待できる。
日銀のイールドカーブコントロールにより急激な金利上昇の可能性は低い
- 2016/1/29に日銀がマイナス金利を導入した。これにより債券利回りの下限もゼロではなくマイナスもありうることとなり、言いかえると債券価格の上昇余地が拡大したことになる。
- 金利の絶対水準は低いが市場に流通する国債の大半を日銀が購入してしまう為、大幅に金利が上昇するリスクは当面少ないと思われる。
- 2016/9/21日銀はイールドカーブコントロールを導入し、短期金利と長期金利を操作することを決定。これにより急激な長期金利の上昇(債券価格の下落)リスクはより少なくなったと考えられる
- イールドカーブやイールドカーブコントロールについては「イールドカーブについての分かりやすくて詳しい説明」を参照
日本の財政は負債も多いが資産も豊富
- 日本は負債が多いことがよくクローズアップされるが、一方で対外純資産も豊富である。
- 対外純資産は約350兆円と長年世界一となっている
日本国債は「国内投資家が大部分を保有+自国通貨建ての発行」
- 日本国債(特に長期国債)は大半を国内投資家が保有し、かつ、自国通貨である円建てであるためコントロールが効かなくなるリスクは低い
- 新興国や財政が脆弱な国で国債が信用不安で売られるケースは、国債の保有者が海外投資家で、かつ、ドル建ての国債を多く発行している。この場合、信用不安で通貨が売られると米ドル建ての債務負担が増加するため、急激な信用不安になりデフォルトリスクが高まる。日本はこの逆である。
日本国債の格付け
- S&P:A+
- ムーディーズ:A1
- フィッチ:A
- R&I:AA+
- JCR:AAA
日本の国債格付けの推移はこちらを参照してください:世界の国債格付け(ソブリン格付け)一覧
ローリング効果(債券のロールダウン効果)
- イールドカーブが右肩上がりの順イールドの場合は、残存期間が長くなるほど利回りは高くなる
- 償還が近づくと利回りが低下するため債券価格は上昇することになる【ロールダウン効果(ローリング効果)】
- よって、イールドカーブが順イールドで形状も一定であれば最終利回りを上回るパフォーマンスが期待できる
- 例えば、順イールドの環境下で残存10年の国債を3年間保有した場合、「クーポン+債券価格のキャピタルゲイン」が期待できる
- イールドカーブやロールダウン効果(ローリング効果)についてはこちらを参照:イールドカーブについて
ダイワ日本国債ファンドはラダー運用で金利変動リスクを分散
- ダイワ日本国債ファンドは、最長15年程度までの国債を、残存期間ごとに同じ金額ずつ投資を行ってく。このような等金額投資をラダー運用という。はしご(ラダー)の形の満期構成になることからこのような名前になっている
- 毎年、ポートの一部が償還し、償還資金で長期債に再投資していく。長期的に見れば金利変動リスクを平準化することになる
日本国債のリスク・デメリット
債券の上昇余地は限定的
- 2016年以降、日本の10年国債利回りは0.0%前後まで低下しており、ここからの金利低下余地は限定的である。
金利上昇リスク
- ダイワ日本国債ファンドの平均デュレーションは約7年とやや長めであり金利上昇リスクは相応にある。
- デュレーションとは金利の感応度で、同程度の期間の市場金利が1%上昇した場合債券価格が何%変動するかを表す。ダイワ日本国債ファンドの場合、デュレーションが約7年であるため残存期間7年前後の国債が1%上昇すると基準価格が約7%下落する。ただし緩やかな金利上昇の場合は影響が弱くなる。
- デュレーションについての詳しい説明は社債のスプレッドとデュレーションについてを参照
日銀の国債購入に限界も
- 日銀が金融緩和の手段として年間80兆円の国債買い入れを行っているが、既に国債発行残高約1,000兆円の50%前後を保有。
- このペースでは近い将来、購入が不可能となる見通し。その場合予想外の金利上昇の可能性もある。
参考ページ:日銀が金融緩和で国債、株式、J-REITを買占め
日本の信用リスク
- 国の借金は2022年時点で約1,000兆円を上回り、経済規模に対して過大な水準
- ただし対外純資産は約350兆円と資産も多く保有している
最終利回りがマイナスの場合、債券価格の上昇(金利の低下)がないと儲からない
- 長期金利が低水準で、信託報酬控除後の最終利回りがマイナスになる場合、債券価格の上昇(金利の低下)がないとマイナスリターンとなってしまう。
投資対象が同じ投信(類似ファンド)
- 三菱UFJ 日本国債ファンド(毎月決算型)
関連ページ
日本の長期金利の推移はこちらを参照!