こちらのページでは主要通貨が「資源国通貨」と「新興国通貨」のどちらかの性質を持っているかを一覧で分かるようにまとめています。
更に近年は中国の景気動向に影響を受ける通貨も増えてきているため、「中国関連通貨」であるかも併せて掲載しています。
「資源国通貨」と「新興国通貨」は相対的に金利が高いこともあり、日本でも投資対象として人気があります。
通貨によっては「資源国通貨」であると同時に「新興国通貨」でもあるケースや「資源国通貨」のように見えるがそうでないケースもあります。
詳細は下記をご覧ください。
まず最初に主要通貨の特徴を一覧で掲載します。
主要通貨の特徴を一覧で掲載【資源国・新興国・中国関連】
主要通貨が「資源国通貨」「新興国通貨」「中国関連通貨」のどの特徴を持っているかを一覧で掲載しています。
「資源国通貨」は資源価格(特に原油価格)が下落すると通貨も下落する傾向にあります。
「新興国通貨」は米ドルの金利上昇時や金融マーケットのリスクオフ時に下落する傾向があります。
- 新興国通貨の下落要因はこちらを参照:新興国通貨の5つのチェックポイント
- 新興国のマクロデータの推移はこちらを参照:新興国マクロデータ推移
「中国関連通貨」は中国の景気が悪化すると下落する傾向があります。
ブラジルレアルのように3つ全てが該当する通貨や、メキシコペソのように3のうち2つが該当する通貨があります。
また、インドルピーのように「新興国通貨」でありながら「資源国通貨」でないケースでは、金融マーケットがリスクオフで資源価格も下落しているようなマーケット環境では「新興国通貨」であることはマイナス要因となりますが、「非資源国通貨」であることは資源価格下落がインフレ率の低下をもたらし通貨高となるためプラスの要因となります。
よって、インドルピーのような「新興国通貨+非資源国通貨」の場合はマイナス要因を一部打ち消すような形となり、「新興国通貨+資源国通貨」であるロシアルーブルなどと比較すると変動率(ボラティリティ)は小さくなる傾向があります。
主要通貨のポイントと長期チャート
各通貨についてポイントとなる点を簡潔に掲載します。
豪ドルの特徴
- 「資源国通貨」「中国関連通貨」に該当
- 代表的な資源国通貨であるが、近年は中国の景気動向に反応しやすくなっており、代表的な中国関連通貨でもある
- 強い経済と健全な財政がセールスポイント
- 豪ドルの長期チャートはこちらを参照:豪ドル為替レート(円/豪ドル,ドル/豪ドル)長期推移(チャート・変動要因)
NZドルの特徴
- 「資源国通貨」「中国関連通貨」に該当
- 豪ドルと似た値動きになりやすい
- オーストラリアと比較して経済規模は小さく通貨の流動性は劣るが、豪ドルよりNZドルに投資した方が良いとの分析もあり(参考ページ:豪ドルとニュージーランドドルは連動している? / どちらに投資すべきか)
- 資源国通貨と呼ばれることも多いが、実際には鉱物資源はそれほどなく農作物が豊富な国である
- NZドルの長期チャートはこちらを参照:ニュージーランドドル為替レート(円/NZドル,ドル/NZドル)長期推移(チャート・変動要因)
カナダドルの特徴
- 「資源国通貨」に該当
- 代表的な資源国通貨でウラン・金・石油などの産出量が豊富で農業も盛ん
- 地理的な理由でアメリカ経済への依存度が高いため、アメリカの景気動向の影響も受けやすい
- カナダドルの長期チャートはこちらを参照:カナダドル為替レート(円/カナダドル、カナダドル/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
ブラジルレアルの特徴
- 「資源国通貨」「新興国通貨」「中国関連通貨」3つ全てに該当
- 新興国通貨であり、資源国通貨であり、近年は中国景気の影響も受けやすくなっている
- 1990年代~2000年頃のハイパーインフレの経験からインフレ警戒型の金利政策になりやすい
- 大統領の汚職等・政局不安が常につきまとう
- ブラジルレアルの長期チャートはこちらを参照:ブラジルレアル為替レート(円/レアル,レアル/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
ロシアルーブルの特徴
- 「資源国通貨」「新興国通貨」に該当
- 原油価格の影響が極めて大きい通貨であり、原油への代替投資先としても有効。原油価格の上昇を見込む場合、原油ETFよりもロシアルーブルの方が良いという分析もあり(参考ページ:原油安でマイナスになる資産とプラスになる資産のまとめ)
- ロシアルーブルの長期チャートはこちらを参照:ロシアルーブル為替レート(円/ルーブル,ルーブル/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
インドルピーの特徴
- 「新興国通貨」に該当
- 新興国通貨でありながら非資源国通貨。世界的に景気が悪化した場合、マーケットのリスクオフと資源価格安(原油安)が同時に発生することがあるが、この場合、資源価格安(原油価格安)はインフレ抑制効果によりインドルピーにとってはプラスに作用する。
- そのため、資源国通貨でもある新興国通貨よりも安定的な推移となりやすい。逆に原油価格が上昇すると高インフレになりやすく、インドルピーは売られやすくなる。
- インドルピーの長期チャートはこちらを参照:インドルピー為替レート(円/インドルピー、インドルピー/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
- インドルピーの特徴はこちらも参照:インドルピーの特徴(新興国通貨+非資源国通貨)
インドネシアルピアの特徴
- 「新興国通貨」に該当
- 1990年代後半のアジア通貨危機で大きく下落したイメージがあるが、以前よりファンダメンタルは改善し、通貨も安定化の傾向
- 純粋な新興国通貨であるため、米国の金利上昇などで新興国通貨全体が売られるときは同様に下落する
- インドネシアルピアの長期チャートはこちらを参照:インドネシアルピア為替レート(円/ルピア・ルピア/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
南アフリカランドの特徴
- 「資源国通貨」「新興国通貨」に該当
- 金・ダイヤモンド・プラチナなどの産出量が豊富。
- 資源国通貨と新興国通貨の両方の性質を併せ持つ
- 南アフリカランドの長期チャートはこちらを参照:南アフリカランド為替レート(円/ランド、ランド/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
- 南アフリカランドの特徴はこちらも参照:南アフリカランドの特徴(新興国通貨+資源国通貨)
トルコリラの特徴
- 「新興国通貨」に該当
- 高インフレかつ経常赤字・財政赤字になりやすく、通貨は非常に不安定
- 政局不安・地政学リスクも発生しやすい
- 高金利であることから投資家の人気も根強い
- 非資源国通貨であるが、資源国通貨であると勘違いをされるケースも多い
- トルコリラの長期チャートはこちらを参照:トルコリラ為替レート(円/トルコリラ、トルコリラ/ドル)長期推移(チャート・変動要因)
メキシコベソの特徴
- 「資源国通貨」「新興国通貨」に該当
- 原油・銀などの産出量が豊富
- 1982年・1994年と2度の通貨危機を経験したが、米国向けの製造拠点として経済成長
- 米国に隣接し、経済的に密接な関係だが、それが通貨の波乱要因になるケースもあり(トランプ大統領就任時など)
- メキシコペソの長期チャートはこちらを参照:メキシコペソ為替レート(円/メキシコペソ、メキシコペソ/ドル)長期推移(チャート・変動要因)