こちらのページでは「MMF」と「預金」の違いを比較しています。
米ドルを例に記載しておりますが、現在ではトルコリラや南アフリカランドなど新興国通貨のMMFや預金も存在します。
一般的に「利回り」「コスト(為替手数料)」の面ではMMFの方が有利になることが多くなります。(ただし、金融機関によって異なるケースもあります)
一方、2015年までは税制面で(外貨建て)MMFが圧倒的に有利でしたが、現在は以前ほどのアドバンテージはなくなっています。
詳細は下記をご覧ください。
米ドルMMFと米ドル預金の比較
2015/12/31までは外貨MMFの為替差益が非課税であったためMMFの方が圧倒的に有利でしたが、現在は以前ほど大きな違いはなくなっています。
米ドルMMFと米ドル預金の利回り(MMFが有利なケースが多い)
- 米ドルMMFはいつでも解約可能である為、直接的な比較対象は米ドル普通預金となります。米ドル普通預金と比較すると利回りはMMFの方が高いのが一般的です。
- 米ドル定期預金は同じ期間の米国債などが直接的な比較対象となります。米ドル定期預金と米国債を比較すると利回りは米国債の方が高いのが一般的です。
米ドルMMFと米ドル預金の為替手数料(一般的にMMFが有利だが金融機関によって異なる)
- 一般的には証券会社では米ドルの為替手数料は片道最大50銭、銀行では片道最大1円でMMFの方が有利なケースが多いですが、これは金融機関ごとに異なりますので個々に確認する必要があります。
- インターネット取引の場合のみ大幅に割り引く銀行や新生銀行のように店頭取引の最も高い料率(スタンダード)でも1ドル当たり片道15銭としている銀行など、各金融機関の戦略により大きく異なります。
- また、一定以上の大口取引の場合はほぼ全ての金融機関で低い手数料となります。
- 例えば100万ドル以上などの場合には為替手数料をゼロとしている金融機関もあります。
米ドルMMFと米ドル預金の税金(2015年までMMFの為替差益は非課税だった)
- MMFに対する課税(金利・為替差益)は全て一般的な投信と同様に金融所得課税となります(20%の分離課税)
- 2015年12月31日まではMMFの為替差益は非課税で、非常に有利な状況でした
- 外貨預金の金利についての課税は20%の分離課税となります
- 外貨預金の為替差益についての課税は雑所得となります
- 雑所得の場合、他の所得と合算して総合課税されるため、所得の高い人ほど税率は高くなります
- 課税所得が4000万円以上の人は所得税・住民税合計で55%となります
外貨預金の為替差益の雑所得について【税金について上記の補足】
- 外貨預金の為替差益は雑所得ですが為替差損が発生した場合は他の雑所得と相殺できます。
- 雑所得がある方は一般的にはそれほどいないと思いますが、多いのは高齢者が必ず貰っている公的年金(国民年金や厚生年金等)です。
- 公的年金も雑所得ですので為替差損が出た場合、確定申告すると税金が戻ってくる可能性があります。
- また、ビットコイン等仮想通貨の損益も雑所得の対象ですので、外貨預金の為替損益と通算できます。
- 年収2,000万円以下の給与所得者の場合「給与所得以外の所得と合算して年間20万円以下は申告不要」となっているので、一般のサラリーマンで年収が2000万円以下、為替差益が20万円以下であれば申告は不要です。
- サラリーマン以外の方や所得・為替差益が多い方は申告する必要があります。(ただし、理由は分かりませんが、為替差益の雑所得に関する支払調書は作成されませんので余程の大口取引でない限り一般的には税務署の知るところではありません)
米ドルMMFと米ドル預金のリスク(外貨預金は預金保険対象外)
- MMFは短期債等で運用されるため債券がデフォルトした場合等に元本割れリスクがありますが、実際の運用はこの信用リスクを相当意識して投資するため元本割れリスクはかなり低いと考えて問題ありません。
- また、米ドルMMFは元本割れ回避策が制度化されています。それでも過去2回だけ元本割れが発生したことがあります。米ドルMMFの元本割れ事例についてはこちらをご覧ください:MMFの元本割れ事例を紹介(外貨建て・円建て共に元本割れ実績あり)
- 外貨預金は元本保証商品ですが、預金保険の対象外ですので実質的には預け先の銀行の信用リスクとなります。
金利が低すぎるとMMFは償還されるので注意
- 2010年代後半の米国、ユーロ圏などのようにゼロ金利やマイナス金利を導入するとMMFの運用ができなくなってしまいます。
- その場合、MMFは償還され、金利が上昇してくると再設定されます。
- その点、外貨預金の場合は仮にマイナス金利の世界でも、銀行がレートを提示さえすれば存在することが可能です。もちろん、その場合の利回りは限りなくゼロに近くなりますが、受け皿がなくなるということは避けられます。
- 例えば2019年頃、ユーロがマイナス金利となり、MMFを取り扱っている金融機関はありませんでしたが、ユーロ建て預金を受け入れている銀行は多くありました。もちろん、金利は0.001%前後と低い水準でした。
米ドルMMF・米ドル預金を活用してドル建ての運用を行うべき
- 個人的には資産の一定割合は米ドルで保有した方が良いと考えています。
- 米ドル建ての債券・REIT・株式への投資は「ETF」の登場で以前とは比較にならないほどやりやすくなっています。
- その中で米ドルMMFや米ドル預金は一時的な待機資金や債券の一部として活用されます。
- 債券の一部として活用するタイミングは米国の利上げ局面です。一般的なマーケット環境では、債券は期間が長い方が利回りは高くなります。そのため、3年債や5年債などを購入しますが、米国の金利が上昇している最中や明らかに金利が上昇しそうな局面では、金利がある程度上がりきったところで購入する方が特になります。そのような局面では、一時的に米ドルMMFや米ドル預金にプールして、金利上昇を待ちます。
米ドルMMFと米ドル預金の比較まとめ
上記の内容でポイントになる点をまとめました。
- 利回りは一般的にMMFの方が高い
- コスト(為替手数料)は一般的にMMFが有利だが、金融機関によって異なるケースもある
- 税制面は2015年まではMMFが有利であったが、現在は以前ほどのアドバンテージはない
- MMF:金利・為替差益ともに金融所得課税として20%源泉課税
- 外貨預金:金利は20%源泉課税、為替差益は雑所得
- 外貨預金は預金保険の対象外なので銀行のクレジットリスクがある
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