こちらのページでは「世界の時価総額ランキングTOP50」と「日本の時価総額ランキングTOP20」を1992年と2023年で比較しています。
時価総額ランキングはその時代を反映する為、確認することで様々な気づきがあります。
- 直近の「世界の時価総額ランキング」はこちら:マーケットピーク時の株式時価総額ランキング推移(2000年・2007年・2020年・直近)
- 日本の株式時価総額ランキングの変化についてはこちら:日本の株式時価総額ランキングの変化(1989年・2000年・2009年・直近)
世界の時価総額ランキングTOP50(1992年と2023年)
世界の時価総額トップ企業を1992年と2023年で比較すると銘柄も規模感も大きく変化しています。
全体として各企業の時価総額が著しく増加しています。
ちなみに、3位のサウジアラムコはサウジ証券取引所(タダウル)で発行済み株式数のほんの一部を公開しているだけなので、参考程度に見ていただければ結構です。
下記に1992年と2023年の変化についてポイントを掲載します。
大手IT企業が上位を独占
トップ10にはGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)やマイクロソフト・エヌビディア・テスラの米国IT関連企業が多くランクインしています。
アルファベット(グーグル)・アマゾン・エヌビディア・メタ(フェイスブック)・テスラは1992年の時点ではまだ設立もされていませんでした。
このような新しい企業が短期間で世界のトップ企業となるところに米国株式市場の魅力を感じます。
- 米国株式の長期推移はこちらを参照:米国株(S&P500)長期推移(チャート・変動要因) / 30%以上の暴落は過去8回
半導体関連企業が大きく躍進
1992年のランキングでは半導体関連企業は1社もランクインしていませんが、2023年は5社(エヌビディア・ブロードコム・TSMC・ASML・AMD)がランクインしています。
- 半導体銘柄についてはこちらを参照:SOX指数の長期チャートと構成銘柄の変遷
- 半導体の製造工程についてはこちらを参照:半導体の製造工程を分かり易く図解(半導体製造装置の世界シェアも掲載)
日本企業は大きく減少しトヨタのみに
1992年の時価総額世界トップ50には日本の企業が10社ランクインしていましたが、2023年では29位のトヨタ1社のみとなっています。
特に1992年に7行がランクインしていた日本の大手銀行は、その後の合併により規模が拡大されているはずですが、全てランキング外となっています。
例えば、1992年の11位日本興業銀行・15位富士銀行・16位第一勧業銀行の3行が合併してできたのが「みずほ銀行」です。
1992年の3行の時価総額合計は1,300億ドル(ちなみに1989年は2,500億ドル以上)でしたが、2023年12月末のみずほFGの時価総額は440億ドルです。
しかも、現在のみずほFGは上記3行に加え、みずほ信託銀行(旧安田信託)やみずほ証券(旧和光証券・新日本証券・勧角証券)なども含まれています。さらに、2003年・2005年・2009年・2010年の大型増資で発行済み株式数は2.5倍になっています。
よって、実質的な株価は1992年対比で-85%、1989年対比では1/10以下になっています。(1989年のピークから時価総額が1/5以下、株数が2.5倍)
逆に米銀は1992年は1社もランクインしていませんでしたが、2023年はJPモルガンチェース、バング・オブ・アメリカの2社がランクインしています。
そして、NTTは時価総額を拡大させましたが(713億ドル→1,108億ドル)、相対的に伸びが小さく、ランキング外となりました。
時価総額の水準が大きく上昇した
1992年トップのエクソンモービルの時価総額は759億ドル(9.5兆円)でした。
2023年はアップル2.9兆ドル(411兆円)、マイクロソフト2.7兆ドル(383兆円)となっています。
1992年と2023年では桁数が2ケタ違います。
ITバブル時の2000年やリーマンショック前の2007年は約5,000億ドルが上限でしたが、2010年代後半に入り、大手IT企業の時価総額が大きく拡大し、時価総額1兆ドル企業が誕生しました。
日本企業はトヨタを除くと10兆円が1つの壁になっていますが、グローバルでみると桁が1つ違うことが分かります。
ちなみに1992年トップである時価総額759億ドルは2023年のランキングでは200位前後となります。
M&Aにより時価総額が嵩上げされている点は注意が必要
上記の通り、各企業の時価総額は大きく拡大していますが、時価総額の増加は必ずしも株価の上昇によるものではないことに注意すべきです。
近年、M&Aの増加により個別企業の時価総額が大きくなりやすい状況にあります。
例えば、それぞれ「発行済み株式数1億株、株価1000円、時価総額1000億円」のA社とB社が対等合併すると、単純計算で「発行済み株式数2億株、株価1,000円、時価総額2,000億円」の企業が誕生します。
時価総額は増加しますが、投資家は1株1,000円の株式を持っていることに替わりはありませんので、儲かっている訳ではありません。
このようなケースが特に欧米の企業で多くなっています。
上記で触れた日本のメガバンクだけでなく米国の大手金融機関(バンカメとメリルリンチなど)も数多く合併しています。
また、金融機関だけでなく、オラクルがサンマイクロシステムズを買収するなどIT大手の合併も増えています。
このような理由で時価総額自体が大きくなっている可能性がある点は注意が必要です。
アマゾンやグーグル、フェイスブックなども多くのベンチャー企業を買収しています。
例えばユーチューブやインスタグラムは共に上場前にグーグルとメタ(フェイスブック)に買収されました。
両社は時価総額の観点ではアルファベット(グーグル)とメタ(フェイスブック)の中に含まれています。
これらのM&Aでは現金に加えて新株を渡して買収していますので、アルファベット(グーグル)とフェイスブックの既存株主は時価総額の拡大分がそのまま利益になっている訳ではありません。
日本の時価総額ランキングTOP20(1992年と2023年)
日本の時価総額ランキングは、過去2016年・2019年に比較した時は1992年とほとんど変化がないと紹介しましたが、2023年は新しい銘柄が増えている印象です。
それでも物足りない変化ではありますが。
※1992年末:1ドル=125円、2023年末:1ドル=141円
<1992年も2023年もランクインした銘柄>
- トヨタ自動車、NTT、ソニー、三菱UFJFG、任天堂、三井住友FG
上記でも触れましたが、日本の大手銀行の時価総額減少は著しいです。
上記で紹介したみずほFGは日本のトップ20から外れています。
世界ランキング上位のGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)のように革新的なビジネスモデルでグローバルに展開する企業が少ないことが時価総額が大きく伸びない要因です。
日本人の生活スタイルを見ても、「iPhone」を使って、買い物は「Amazon」、分からないことがあれば「Google」で検索し、フェイスブックやインスタグラム・YouTubeを見る時間が増えています。
全て米国企業のサービスです。
米国の企業は革新的な技術により生活スタイルを変えるようなイノベーションを起こすことで大きな成長を遂げていますが、今のところ日本ではそのような企業は見当たりません。
今後、日本初のグローバル企業が出てくることを期待したいと思います。
- 日経平均の長期チャートはこちらを参照:日経平均株価の歴史をドル円レートとの比較チャートで確認
- S&P500の長期チャートはこちらを参照:米国株(S&P500)長期推移(チャート・変動要因) / 30%以上の暴落は過去8回
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