こちらのページでは欧州(ユーロ圏及び英国)のさまざまな経済指標の中で重要と思われるものをピックアップしています。
欧州の経済指標は米国ほど注目されませんが、投資を行う上で最低限確認すべきと思われる指標をピックアップしています。
欧州の中でユーロ圈は米国・中国・日本などとは異なり複数の国々から成り立っています。(通貨・政策金利は同一ですが財政政策・長期金利などは別々です)
そのため、ユーロ圏として公表される経済指標は様々な国のデータをまとめたものとなります。
例えば失業率などが顕著ですが、同じユーロ圏といってもドイツとギリシャでは全く異なるデータとなります。
ユーロ圈の失業率が10%となっていても、中身を見ると、ドイツが4.5%でギリシャが20%ということもあります。
よって、ユーロ圏全体で経済指標が改善しているように見えても、実はギリシャやスペインなど一部の国ではとんでもない問題になっていることも多々ありますので注意が必要です。
それではまず最初に、今回選択した経済指標の一覧を掲載します。
欧州(ユーロ圏・英国)の経済指標一覧【注目度・公表時期】
それぞれの経済指標の注目度と公表時期も掲載していますので併せてご覧ください。
下記では各経済指標のポイント解説を掲載しています。
欧州(ユーロ圏・英国)の主要経済指標を解説
上記一覧に掲載した主要経済指標を解説します。
ポイントは箇条書きで記載しています。
ユーロ圈製造業PMI、英製造業PMI
- 毎月月初に前月のデータを公表
- ユーロ圈製造業PMIはIHSマークイットが算出、英製造業PMIはマークイット/CIPSが算出
- 50を上回れば景況拡大、50を下回れば景気悪化を示す
- ユーロ圏・英ともにサービス業PMIも公表されているが、マーケットでの注目度は製造業PMIの方が高い
- ユーロ圏・英ともに製造業PMIは景気の先行指標として注目される
- ユーロ圏の一部の国(ドイツ・フランス・イタリア・スペインなど)では国別のPMIも公表されており、ドイツの製造業PMIなどは注目されることがある
独・IFO景況指数、ZEW景況感指数
- 独・IFO景況指数は毎月25前後に公表
- 公的機関であるIFO研究所がドイツ国内約7,000社を対象にアンケート形式でデータを集計し算出
- 独・IFO景況指数は2000年を100として景気の現況と先行きを指数化したもの
- よってPMIのように50を上回れば良いというものではなく、指数が上昇すると景気に楽観的、指数が低下すると景気に悲観的であることを意味する
- 似たような指標で「ZEW景況感指数」があるが、こちらの調査対象は企業の担当者ではなくアナリスト、機関投資家、市場参加者である為、金融マーケットの影響を受けやすく、サンプルも350人程度であるため、実際の経済活動を見るには「独・IFO景況指数」の方が信頼性は高い
- ただし「ZEW景況感指数」は「独・IFO景況指数」の1週間前に公表されるため速報性には優れる
- ZEW景況感指数は0を上回れば楽観的、0を下回れば悲観的な見方であることを意味する
- ZEW景況感指数はドイツの民間調査会社である欧州経済研究センター(ZEW:Zentrum fur Europaische Wirtschaftsforschung:Centre for European Economic Research )が算出
- 独・IFO景況指数とZEW景況感指数は共にユーロ圏で最大の経済規模を誇るドイツの景況感を表す指標であるため注目される
ユーロ圏消費者信頼感指数
- 毎月下旬に公表
- ユーロスタット(欧州委員会の欧州連合統計局)が算出
- 個人消費の先行指標と言われている
- ユーロ圏全体の個人消費者の消費・雇用・所得に対する信頼レベルをアンケート形式で調査
- 消費者の景況感を表した指数で、個人消費等に影響を与える指標としてマーケットでも注目される(独・IFO景況指数は企業の景況感を表した指数)
ユーロ圈消費者物価指数
- 毎月月初に速報値が公表され、20日前後に改定値が公表される
- ユーロスタット(欧州委員会の欧州連合統計局)が算出
- 正式名称はEU基準消費者物価指数(HICP)であり、ユーロ圈の複数国をまとめた指数である。国ごとにインフレ率はバラツキがある。
- ECB(欧州中央銀行)の金融政策にも影響を与えるため注目される
- ECBのインフレ目標は2%とされている
ユーロ圈失業率
- 月次のデータを翌々月の上旬に公表
- ユーロスタット(欧州委員会の欧州連合統計局)が算出
- ユーロ圈の複数国をまとめたデータである
- ドイツ・フランス等とスペイン・ギリシャ等の格差は非常に大きくなっている
- ユーロ圏各国の失業率推移はこちら:主要国の失業率推移(国際比較)
ユーロ圈鉱工業生産
- 毎月10日前後に公表
- ユーロスタット(欧州委員会の欧州連合統計局)が算出
- ユーロ圏全体の製造業・鉱業の生産動向を指数化したもので、企業の生産動向を知るうえで重要な指標とされる
英・ネーションワイド住宅価格
- 毎月月末に公表
- 英国大手住宅金融組合のネーションワイド住宅組合が算出
- イギリスの全国平均住宅価格として注目される
- 住宅価格の動向は中央銀行の金融政策にも影響を与えるため注目される
欧州(ユーロ圏・英国)に関するコンテンツ
通貨ユーロの歴史についてはこちらを参照してください!
英ポンド歴史についてはこちらを参照してください!
欧州主要国のCDSの推移はこちらを参照してください!
欧州以外の経済指標チェックリスト
- 米国の経済指標はこちらを参照:米国の経済指標チェックリスト
- 中国の経済指標はこちらを参照:中国の経済指標チェックリスト
- 日本の経済指標はこちらを参照:日本の経済指標チェックリスト