こちらのページでは中東産油国の雄である「サウジアラビア」と「アラブ首長国連邦(UAE)」に関する様々なデータを紹介していますので参考にしてください。
サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は中東産油国の雄
世界の原油生産量・原油輸出額ランキング
世界の原油生産量のランキングです。
原油の生産量ではサウジアラビアが3位、アラブ首長国連邦(UAE)が7位となっています。
次に世界の原油輸出額のランキングです。
原油の輸出額ではサウジアラビアが1位、アラブ首長国連邦(UAE)が3位となっています。
中東の名目GDPランキング・1人当たりGDPランキング
中東の名目GDPランキングです。
中東の経済規模(名目GDP)ランキングではサウジアラビアが1位、アラブ首長国連邦(UAE)が3位となっています。
最後に中東の1人当たりGDPランキングです。
1人当たりGDPはサウジアラビアが約23,000ドル、アラブ首長国連邦(UAE)が約40,000ドルと先進国並みの高い水準となっています。
このように「中東産油国」といった場合、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が代表国といえます。
下記ではサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の金融関連・マクロ関連の各種データを紹介します。
サウジアラビアの各種データを分析
サウジアラビアの通貨「サウジアラビア・リヤル(SAR)」はドルペッグ制
サウジアラビア・リヤルはドルペッグ制を採用しており1ドル= 3.75サウジアラビア・リアルに固定されています。
原油価格低迷による経常収支悪化や国内からの資金流出などでサウジアラビア・リアルに下落圧力が加わる場合は外貨準備を利用して通貨の買い支えを行う必要が発生します。
サウジアラビアの外貨準備高推移
2000年代に入りサウジアラビアは外貨準備高を大きく増加させています。
しかし、2014年後半から始まった原油価格下落の影響により経常収支が悪化ししました。
サウジアラビア・リアルのドルペッグ制を維持するための介入を行った結果、外貨準備高は大きく減少しています。
2018年の外貨準備高ランキングでサウジアラビアは中国・日本・スイスに次いで世界第4位でしたが、2020年時点では9位までランクダウンしています。
- 原油価格の長期チャートはこちら:WTI原油スポット価格 長期推移(チャート、変動要因)
- 外貨準備高の推移と各国のランキングはこちら:世界各国の外貨準備高ランキングの変化(1990年・2005年・2020年)
サウジアラビアの財政収支対GDP比推移
サウジアラビアは歳入の大部分を石油関連が占めています。
そのため原油価格が下落すると歳入が減り、財政赤字となってしまいます。
2014年~2021年は財政赤字となっています。
特に2015年と2016年は円ベースで10兆円近い財政赤字となりました。(2015年:3620億リアル= 965億ドル)
大幅な財政赤字が続いていることから国家財政の破綻を心配する声もあるようですが、サウジアラビアは2003年~2013年頃まではリーマンショック時を除き大幅な財政黒字が継続していたことで財政状態はかなり健全です。
下記の政府債務対GDP比をご覧ください。
サウジアラビアの政府債務対GDP比推移
財政黒字の期間が長く続いたことと経済規模が拡大したことで2000年代に入り政府債務対GDP比は大きく改善し、2014年には1.6%まで低下しました。
2015年以降は上昇傾向ですが、水準自体はそれほど高くありません。
よって、原油価格の低迷が多少長引いても今すぐ大きな財政問題に発展することはなさそうです。
サウジアラビアの実質GDP成長率推移
サウジアラビアの実質GDP成長率は2017年はマイナス成長となり、2018年は回復しましたが、新型コロナウイルスの影響により2020年に入り、再度マイナス成長となりました。
景気拡大の為に利下げなどの金融緩和を行いところでしたが、サウジアラビア・リアルのドルペッグを維持するには逆効果となるため難しい舵取りとなりました。
サウジアラビアの株価推移(サウジアラビアタダウル全株指数)
2014年以降、原油価格低迷の影響もあり下落しましたが、2016年以降、原油価格が落ち着きを取り戻すにつれて回復傾向となっています。
イメージ通りで、原油価格に影響を受ける株式市場といえます。
2019年12月11日、国営石油会社であるサウジアラムコがサウジ証券取引所(タダウル)に新規上場し、株式時価総額は1.88兆ドルと、当時では世界最大の上場企業となりました。(ただし、株式公開されたのは発行済み株式数の3%と非常に低い割合となりました)
- 世界の時価総額ランキングはこちらを参照:マーケットピーク時の株式時価総額ランキング推移(2000年・2007年・2020年・直近)
アラブ首長国連邦(UAE)の各種データを分析
UAEは7つの首長国で構成(原油生産はアブダビ、経済はドバイが中心)
アラブ首長国連邦(UAE)は下記の7首長国で構成されています。
- アブダビ首長国
- ドバイ首長国
- シャールジャ首長国
- アジュマーン首長国
- ウンム・アル=カイワイン首長国
- フジャイラ首長国
- ラアス・アル=ハイマ首長国
原油の生産はアブダビがメインで連邦の首都もアブダビとなっています。
一方、経済の中心はドバイで金融・観光などが急速に発展しています。
アラブ首長国連邦(UAE)の通貨「UAEディルハム(AED)」はドルペッグ制
UAEディルハム(AED)はドルペッグ制を採用しており1ドル=3.6725UAEディルハムで固定されています。
アラブ首長国連邦(UAE)の外貨準備高推移
サウジアラビアと異なり、原油価格が低迷している2014年~2016年も経常収支の黒字を維持していることから、ドルペッグ維持のための介入が必要なく、外貨準備高も増加を維持しています。
- 外貨準備高の推移と各国のランキングはこちら:世界各国の外貨準備高ランキングの変化(1990年・2005年・2020年)
アラブ首長国連邦(UAE)の財政収支対GDP比推移
サウジアラビアと同様に歳入の大部分は石油関連となっている為、原油価格が低迷した2015年~2017年などは財政赤字に転落しました。
- 原油価格の長期チャートはこちらをご覧ください:WTI原油スポット価格 長期推移(チャート、変動要因)
アラブ首長国連邦(UAE)の政府債務対GDP比推移
サウジアラビアよりも高めですがUAEも政府債務対GDP比は低い水準であるため、財政赤字が数年続いても大きな問題になる可能性は低いと考えられます。
アラブ首長国連邦(UAE)の実質GDP成長率推移
特にドバイでは外資を呼び込み金融業や観光業に力をいれていることもあり、サウジアラビアと比較して経済成長率と原油価格との相関が低くなっています。
アラブ首長国連邦(UAE)の株価推移(ドバイ金融市場総合指数、ADXジェネラル指数)
株式市場は2004年~2005年にドバイの急成長を織り込んで大きく上昇しましたが、ドバイショックと言われたドバイの債務問題の影響もあり、その後大きく下落しました。
ADXジェネラル指数はアブダビ証券取引所に上場する銘柄の株価指数ですが、原油関連銘柄が多いことが特徴です。(UAEの原油生産の大半はアブダビ)