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米中古住宅販売件数は500万戸~600万戸が適正(700万戸超は住宅バブル警戒)

こちらのページでは米国の住宅関連指標の中で最も注目される「中古住宅販売件数」について掲載しています。

「中古住宅販売件数」は全米不動産協会(NAR:The National Association of REALTORS)が毎月公表するデータです。

日本と異なり米国では住宅販売の約90%が「中古住宅」です。

マンションと一戸建ての比率では「一戸建て」が約90%を占めます。

よって、約80%が「一戸建ての中古住宅」になります。(一戸建てが90%、中古住宅が90%、90%×90%で約80%)

公表される指標のなかでは「中古住宅販売件数」が最も注目されますが、年率換算で500万戸~600万戸が適正です。

700万戸を超えてくると注意が必要となります。

詳細は下記をご覧ください。

米国では「新築住宅販売件数」より「中古住宅販売件数」が注目される

米国の住宅販売に関する経済指標でメジャーなのは「中古住宅販売件数」と「新築住宅販売件数」です。

その中でも米国の場合は「新築住宅販売件数」より「中古住宅販売件数」の方が注目されます。

ちなみに「中古住宅販売件数」は一戸建てと集合住宅(マンション)の全ての販売件数ですが、「新築住宅販売件数」は一戸建ての販売件数のみが公表されています。

よって、一般的に報道されている「中古住宅販売件数」と「新築住宅販売件数」を合計しても、新築のコンドミニアム(マンション)や集合住宅の数値は含まれていないことになります。

ただし、米国の住宅販売は中古と新築では中古が大半、一戸建てとコンドミニアム(マンション)・集合住宅では一戸建てが大半であることから、新築のコンドミニアム(マンション)・集合住宅の比率は非常に低いものとなります。

下記でも説明していますが、米国の住宅市場の約90%は「中古住宅」で、同時に90%が「一戸建て」です。(よって、米国の住宅市場の約80%が中古の一戸建てということになります)

このような背景から「新築住宅販売件数」より「中古住宅販売件数」の方が注目されることになります。

また、一般的なニュース等で報道される数字は原数値ではなく季節調整済みの年率換算データとなります。

米国の「中古住宅販売件数」と「新築住宅販売件数」の推移【米国の住宅販売は中古が約90%】

こちらは米国の住宅販売における新築住宅と中古住宅の販売データです。

米国の「中古住宅販売件数」「新築住宅販売件数」「中古住宅比率」の推移

共に季節調整済みの年率換算データです。

上記でも触れましたが新築のコンドミニアム(マンション)・集合住宅のデータは含まれていませんが、その割合は極めて小さくなります。

チャートにあるように米国の不動産販売市場において約90%(80%~95%)が中古住宅の販売となっています。

そのため、米国においては経済指標の注目度も新築より中古住宅販売件数が注目されます。

また、住宅を購入すると家具・家電製品など耐久消費財の購入が増加することから、中古住宅販売件数は景気(個人消費)の先行指標として注目する専門家も多くいます。

「一戸建て」と「コンドミニアム(マンション)・集合住宅」の推移【米国の住宅販売は一戸建てが約90%】

次に中古住宅販売の内訳としての「一戸建て」と「コンドミニアム(マンション)・集合住宅」の比率です。

「一戸建て」「コンドミニアム(マンション)・集合住宅」「一戸建て比率」の推移

こちらも共に季節調整済みの年率換算データです。

米国の住宅販売の約90%を占める中古住宅販売ですが、その内、約90%が一戸建てとなっています。

よって、全体の住宅販売の内、約80%が「中古」の「一戸建て」ということになります。

米国は国土が広いことから、マンハッタンなど一部を除き一戸建てが主流となります。

米国の中古住宅販売件数と実質GDP成長率の推移【500万戸~600万戸が適正】

それでは中古住宅販売件数がこれまでどのように変化してきて、どれくらいが適正な水準であるかを確認します。

下記は米国の中古住宅販売件数と実質GDP成長率の比較チャートです。

「中古住宅販売件数」のデータは「一戸建て」と「コンドミニアム(マンション)・集合住宅」を合計したデータです。

米国の中古住宅販売件数と実質GDP成長率の比較チャート

2000年代前半は「中古住宅販売件数」が右肩上がりで上昇し、ピーク時の2005年9月は725万戸(年率換算)まで上昇しました。

これはサブプライムローンをはじめとする住宅ローンの融資姿勢が甘くなり、不動産バブルを引き起こしていた時期です。

本来であれば住宅を購入できない人々も買うことができた時期です。

この頃の実質GDP成長率は3%〜4%と高い水準で好景気であったことが分かります。

中古住宅販売は家具や家電製品などの耐久消費財に対する需要にもつながることから、景気に対する影響が大きくなります。

本来であれば買えない人まで家を買ったことが景気を押し上げたと言えます。

その後、サブプライムローン問題が表面化し、サブプライムショック(リーマンショック)が発生し、中古住宅販売件数は400万戸を下回る水準まで低下しました。過去最低は2010年7月の345万戸です。

これら過去のデータから考えると中古住宅販売件数は年率換算で500万戸~600万戸が適正と考えられます。

600万戸を超えたら直ちに問題になるものではありませんが、2005年頃のように大きく上昇する場合は警戒が必要となります。

600万戸を超えたら注意、700万戸を超えたら景気過熱で要注意といった感じでしょうか。

中古住宅販売件数が大きく伸びすぎているということは、何らかのバブルが発生していて、その後に大きな反動が来る可能性があります。

最後に注意点として、中古住宅販売件数は所有権が移転した段階でカウントされるため、契約時点から1〜2ヶ月程度のタイムラグがあります。

よって、何らかの大きなショックがあった場合でも、その直後に発表されるデータは悪化しないことになります。その逆で実際に良くなっていてもデータで確認できるのは少し後になります。

この点は覚えておいてください。



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