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ヘッジファンドについてわかりやすく解説

投稿日:2016年7月2日 更新日:

ヘッジファンドとは

ヘッジファンドには様々な戦略があり、商品性・リスクリターン・流動性はそれぞれ異なります。

ただし一般的なヘッジファンドの特徴を上げると下記の通りです。

  • 各資産の買い持ちだけでなく売りも活用する
  • レバレッジを積極的に活用する
  • 一般の投資家ではアクセスが難しい投資商品の売買を行う
  • 解約までの期間が長い(流動性が低い)
    • 例を挙げると「解約日は毎月末日、45日前までに通知、資金の支払いは解約日から30日」
    • この場合解約を申し込んでから、資金が返還されるまで最低75日かかることになる
  • 費用は俗に言われる「2の20」が基本で、信託報酬2%、成功報酬20% (最近は安く提供しているファンドも増加傾向)

ヘッジファンドには様々な戦略、数多くのファンドがあり、パフォーマンスはファンドマネージャーの手腕に影響されるため一概には言えません。

長年高いパフォーマンスを維持しているファンドもあれば、高いパフォーマンスは一時的で資金が集まるとパフォーマンスが低下するファンドも多くあります。

設立当初から運用がうまくいかず、早々に閉鎖になるファンドもかなり多くあります。

長期間にわたって高いパフォーマンスを維持しているファンドではファンド規模が大きくなり過ぎると運用効率が下がるので、新規資金を受け付けていない場合もかなりあります。

またリーマンショック以降では、ヘッジファンドの情報開示規制が厳しくなり、ジョージソロスのクオンタムファンドのように他人の資金は返還しファミリーの資金のみで運用を行っているファンドもあります。

ヘッジファンドの運用戦略

グローバルマクロ

  • 平たく言うと「何でもアリ」運用です。世界中のあらゆるマクロ経済指標に着目して売買を行います。
  • 1992年のポンド売りで有名なジョージソロスやブリッジウォーター・アソシエイツ、AQRキャピタル・マネジメントなど運用資産規模が1兆円以上の超大型ファンドが多く存在します

株式ロングショート

  • 割安株の買いと割高株の売りを組み合わせた運用です。一般的にはロングバイアスと言って買いがやや上回るポジションを取るケースが多くなります
  • 例えば買い60、売り40でネット20の買い持ち

マーケットニュートラル

  • 割安株の買いと割高株の売りを同じ金額保有する戦略です
  • 例えば買い50、売り50でネット0(ニュートラル)

イベントドリブン

  • 合併・買収など企業のイベント発生時に割安・割高になった銘柄を発掘し投資する手法です
  • ポールソンが有名

債券アービトラージ

  • 債券のアービトラージ(裁定取引)は債券市場のミスプライシングに着目し、割高な債券の売りと割安な債券の買いを組み合わせてサヤを取る手法です。

ディストレスト

  • 破たん企業や破たん懸念の企業の債券などで、回収率等を考慮した場合の理論価格から大幅に下落したものを保有する戦略です。

CTA

  • 株式・債券・為替・コモディティの先物を利用し、動きにトレンドが出たものに追随していく手法です。
  • トレンドフォローともいわれます
  • 各資産クラスが上でも下でもトレンドが出て大きく変動するとパフォーマンスが良くなります
  • 日本の公募投信でも多く販売されています
  • マン、ウィントン、アスペクトなどが有名
  • 投資対象は先物である為、ヘッジファンド特有の流動性リスクは比較的小さくなります。

ヘッジファンド業界の資産残高推移

1995年:1,860億ドル

2000年:4,910億ドル

2007年:1兆8,680億ドル

2008年:1兆4,070億ドル

2015年:約3兆ドル

詳細なデータは「ヘッジファンドが昔ほど儲からない理由」を参照してください

ヘッジファンドの歴史

1949年

  • アルフレット・ジョーンズがヘッジファンドの起源と言われるファンドを設立。空売りの活用、レバレッジの活用、パフォーマンスフィーの導入といった現在のヘッジファンドの最も基礎となる仕組みを取り入れた。

1969年

  • ジョージソロスジムロジャーズがクオンタムファンドを設立。
    10年で30倍以上という驚異のパフォーマンスを実現した。
    両者は1980年に決別し個々に運用を行う。
    ジョージソロスは1992年にイギリス政府の為替介入に対抗してポンドを大量に空売りし、約15億ドルの利益を得て「イングランド銀行(BOE)に勝った男」として有名になる。

1980年

  • ジュリアン・ロバートソンがタイガーファンドを設立。
  • 2000年にファンドを閉鎖するまで、割安株に投資するバリュー投資で実績を上げた。
  • 1999年~2000年のITバブル時はインターネット関連等の高いバリュエーションの株式が上昇する市場で、バリュースタイルの運用には逆風であり、運用パフォーマンス低下によってファンドを閉鎖した。

1994年

  • Long-Term Capital Management(LTCM)がファンドを設立。
  • マイロン・ショールズとロバート・マートンの2人のノーベル経済学賞受賞者をメンバーに加え、ドリームチームと呼ばれ当初から注目された。
  • 運用スタイルは高度な金融工学に基づいた、高レバレッジの債券裁定取引(債券アービトラージ)であり、当初は高いリターンを実現していたが、1997年のアジア通貨危機と1998年のロシア危機の際、運用が低迷しファンドは破たんした。
  • この時、最終的にロシア国債はデフォルトしたが、LTCMの運用モデルではロシアがデフォルトしない前提で運用されていた為、値段が下がれば下がるほどに「割安になった」と判断され買い進んだことが致命傷と言われている。

1990年代

  • ヘッジファンドは一部の富裕層のための、もので一般的な金融商品ではなかったが、1990年代後半から機関投資家も投資を始めたことと、ファンド・オブ・ファンズという商品が現れたことで一気に投資家層が広がり、運用残高が急拡大した。

2000年代前半

  • 1990年代後半から機関投資家に広まったヘッジファンドは、2000年代に入ると個人投資家向けの商品も登場した。
  • 日本国内でも公募投信・私募投信で多くのヘッジファンドが販売された。

2008年のリーマンショック時

  • 多くのヘッジファンドが破たんに追い込まれ、業界全体の残高も減少した。この時、米国の住宅バブル崩壊を予想し、サブプライムローンの下落に賭けていたジョンポールソンが高いパフォーマンスを実現し、一躍有名になった。

2008年〜2012年

  • CTAと呼ばれる先物を活用した、定量運用(モデルによる運用)のヘッジファンドが人気化し、日本でも多くの公募投信が販売された。
  • CTAの例:マンAHL、ウィントン、アスペクト
  • マンAHLのAHLは当初の運用モデルを開発したメンバー3名の頭文字。Adam、Harding、Lueck
  • 現在は、Hardingがウィントン、Lueckがアスペクトを設立してCTAを運用している

ヘッジファンドインデックス/生存バイアスに注意

HFRやクレディ・スイス/トレモント・ヘッジファンド・インデックスといった指数があります。

これらはヘッジファンドのパフォーマンスをヘッジファンドから提供を受けてそれを指数化しています。

リーマンショック時、特に顕著でしたが、運用がうまくいかず、保有している資産もすぐに売却できないような場合、ヘッジファンドは基準価格の計算を止めてしまい、そしてそのままファンドが清算されるケースがあります。

この時、基準価格の計算を止めだ時点でインデックスから除外されることになります。

実際に保有資産を売却した場合はもっと低い評価になるにもかかわらず、その部分はインデックスから除外されますので、一般的にヘッジファンドインデックスは実際のヘッジファンド市場より、パフォーマンスが良く見えているケースが多いです。

これが「生存バイアス」と呼ばれるものです。

生存バイアスがあるため、長期的にヘッジファンドインデックスに勝つ運用を行うのはかなり難しいと言えます。

ヘッジファンドの長期パフォーマンス推移と資金流出入

<日経新聞2017/4/6記事より抜粋>

上記の通り、ヘッジファンド業界の運用資産残高が増加するにつれて、ヘッジファンドのパフォーマンスは長期的に右肩下がりとなっています。

リスクリターンが低い戦略や元々ローリスク・ローリターンのファンドが増えていることも要因の1つと考えられますが、全体的に利益を上げにくくなっていることは間違いないようです。

低くなった期待リターンと高止まりしている運用コストのバランスに変化が起きそうな状況です。

ヘッジファンドのリスク

流動性リスク

ヘッジファンドの投資対象は一般的な株式や債券だけではなく流動性が低いアセットクラスも含まれます。

また、一般的な株式や債券を保有する際もレバレッジを活用して積極的な運用を行うことから、多くのヘッジファンドでは運用の安定性を担保する目的で投資家からの解約に一定の制限を設けています。

解約規定の例

①「解約日は毎月月末、45日前までに申込み、資金の支払いは解約日から30日目」

②「解約日は3・6・9・12月末、30日前までに申込み、資金の支払いは解約日から30日目」

上記以外でリーマンショックのような大きな混乱が発生した際には、解約停止(基準価格の算出停止)といった措置が取られることもあります。

ミューチュアルファンドでも解約停止の可能性はゼロではありませんが、頻度ではヘッジファンドが圧倒的に多くなっています。

透明性が低い、情報が少ない

以前と比べて大きく改善されていますが情報の開示にはそれほど積極的ではありません。

ガイドラインを逸脱するような運用を行うことはありませんが、ヘッジファンドの場合は幅広い運用が可能なガイドラインになっていることも多く予想外のポジションを構築しているケースも多々あります。

ファンドマネージャーの技量に依存するリスク

ヘッジファンドの運用はファンドマネージャーにおまかせとなることから、ファンドマネージャーのマーケット見通しがファンドのパフォーマンスに大きな影響を与えます。

マーケット見通しを大きく外した場合は、パフォーマンスが悪化することになります。

リターンが正規分布にならない(突然パフォーマンスが悪化するリスク)

ヘッジファンドはリーマンショック等の混乱期を除くとリターンのバラつきが小さく安定的なパフォーマンスとなる傾向があります。

例えば10年分の月次ベースのパフォーマンスを120個並べた場合、117個は3%~5%の騰落率となるがショックがあった3ヶ月間は-15%、-20%、-18%となります。

このように普段は安定していますが、何かあった場合には一気にパフォーマンスが悪化するという特性があります。

よくリスクリターン表に株式や債券と並んでヘッジファンドのパフォーマンスを掲載しているを見ますが、本来これはミスリードといえます。

リスクリターン表で比べられるアセットクラスはリターンの分布が正規分布になるという前提が必要です。

関連ページ

ヘッジファンドインデックスのパフォーマンスについてはこちらを参照してください!

ヘッジファンドが昔ほど儲からない理由

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