こちらのページは2016年9月時点のドル円レートの見通しについて掲載したものです。(当時のドル円レートは1ドル=100円前後でした)
「原油価格上昇」と「米国の利上げ」により「円安ドル高」になるのではないかという内容です。
結果的にドル円レートは1ドル=100円前後から1ドル=110円を超える水準まで円安になりました。
- ドル円レートの長期推移はこちらを参照:ドル円レート長期推移1971~(チャート・変動要因)
- 原油価格の長期推移はこちらを参照:WTI原油スポット価格 長期推移(チャート、変動要因)
一般的に「原油価格」と「米ドル」は逆相関と言われていますので、「原油価格上昇」は「円高ドル安」要因となりますが、「原油価格上昇」が日本の経常収支に大きな影響を与える局面では「円安ドル高」になることもあるようです。
詳細は下記をご覧ください。
考え方は将来的にも役立つと思われることから忘備録として残しておきます。
まず最初に、日経新聞の参考記事からです。
日経新聞の参考記事(2016/9/27)
円相場は1ドル=100円近辺と高値圏で推移している。米大統領選などの先行き不透明感から市場では年内、100円を超えて円が急騰するとの警戒感が根強い。
だが市場の一角では「2017年は円安に転じる」との長期予想がささやかれている。
市場参加者が注目した日米の金融政策決定会合が終わった。目下、最大限の関心を寄せるのが11月の米大統領選だ。昨夏の立候補表明時は「泡沫(ほうまつ)」と見なされていた共和党のドナルド・トランプ氏の躍進で年内は不透明材料がつきまとい、95円まで円高が進むとの予想も市場で耳にする。円高への身構え一色だ。
だがこれは「年内」を巡る話。シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストはこう言い切る。「足元の円高は来年前半には終わる」
高島氏が注目するのは原油安による円高圧力の軽減という構造的な要因だ。円相場は15年夏、125円に下落した後、足元の水準である100円近辺まで上昇している。上昇幅25円を分解すると、まず米国がドルの「独歩高」に耐えられなくなったことによるドル安圧力と、円の過小評価の修正で合計15円分の上昇圧力があった。
残りの10円分は日本の経常収支の黒字の拡大による構造的要因という。経常黒字は14年に月平均3千億円超だったのが、15年には約1兆4千億円に、16年は7月までで1兆8千億円近くに拡大。これが円高に効いた。
経常黒字が拡大したのは原油安で輸入額が減ったからだ。14年半ばから下落が始まった原油相場は年初、一時1バレル20ドル台まで下がった。だが足元は40~50ドルまで回復している。原油高が経常黒字の縮小につながり、1年程度のタイムラグを伴って来年前半には円安を促すというのだ。「現在の円相場を見る上で、原油価格は最重要だ」と高島氏は語る。
メリルリンチ日本証券の山田修輔FX・株式ストラテジストも「17年円安派」の一人で、やはり原油に注目する。原油価格が今後上がり、市場でのデフレへの懸念が後退すると予想。投資家にとってリスクをとりやすい環境になり、低金利の円は売られやすくなる。
さらに米国の利上げを17年末までに3回と見込み、米金利の上昇が円安圧力になるという。これらの条件が重なり、「17年末に115~120円まで円安が進む」と大胆に予想する。
そこまでではないにせよ、「米大統領選の結果次第で108円までスルスルと円安が進むこともある」(野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジスト)、「今後1年間で107円まで円安は進む」(UBS証券)などの声も出てきている。
いささか早すぎるかもしれない来年の円安予想。だが近々大幅に円高が進んだ場合、「ここが円の売り時だ」と考えられるかどうか、投資家は判断を試される。「鬼が笑う」と一笑にふしてはいられない。(秋山文人)
日本の投資家にとって為替レートは非常に重要です。
外債・外国株はもちろん、日本株も為替レートに大きく影響を受けます。
為替レートは政策的に動かされるケースもあり予想が難しいですが、上記の記事は円安ネタの1つとして活用できます。
下記にポイントとその解説を掲載します。
日経新聞記事のポイント
円高は短期的
2016年9月時点、マーケットの雰囲気では米国大統領選挙が控えていることもあり、ドル高(円安)にはなりにくく、どちらかというと円高方向に振れるリスクが警戒されています。
しかし、11月の大統領選が終われば雰囲気が変わり、円高ドル安のリスクは和らぐこと可能性があります。
原油の再上昇→経常黒字縮小→円安
2011年の震災以降、原発が停止していることでエネルギー資源の輸入が増加しました。
その結果、貿易収支は赤字となり、経常収支の黒字も大きく減少しました。
経常黒字の減少は円安要因となります。
2013年~2015年の円安は日銀の金融緩和の影響が最も大きいと思われますが、経常黒字の減少も要因の1つと言えます。
そして、2012年~2014年に100ドル前後で推移していた原油価格は、2015年からの原油安で2016年2月には25ドルまで下落しました。
原油価格下落の結果、金額ベースでエネルギー資源の輸入が減り、経常黒字が増加したことが1ドル=125円から1ドル=100円まで円高になった要因の1つとなっています。
2016年9月時点の原油価格は安値から反発し45ドル近辺まで上昇しています。
記事ではこの原油価格の上昇が、少し遅れて「経常黒字縮小→円安要因」となると説明しています。
一般的には米ドルと原油価格は逆相関で原油価格が上昇すると円高・ドル安になると言われていますが、「原油価格上昇」が日本の経常収支に大きな影響を与えるような局面ではこのような現象も起こりうるということです。
米国の利上げ→ドル高・円安
記事では米国は2017年12月までに3回の利上げを見込んでいます。
仮に毎回0.25%ずつの利上げでもFFレートが現在の0.5%→1.25%になることになります。
短期金利が1%を超えてくると現在とは景色がかなり変わってきそうです。
米国の利上げは米国の実質金利の上昇にもつながり、ドル高・円安要因となります。
関連ページ
原油価格の見通しはこちらを参照してください!
米ドルへの投資はこちらも参照してください!