こちらのページではメキシコペソの長期チャートと変動要因を掲載しています。
メキシコペソは日本人にも人気がある高金利通貨の一つです。
メキシコは世界有数の産油国であり「資源国通貨」という側面があります。
また、米国向けの生産拠点として米国との貿易面での結びつきが非常に強いという特徴もあります。
下記ではまず、円/メキシコペソとメキシコペソ/ドルの長期チャートから掲載します。
変動要因は箇条書きで掲載しています。
下段の方では10年ごとに区切ったチャートを掲載し、変動要因を細かく掲載しています。
メキシコペソ(MXN)の超長期チャート
- メキシコは米国と経済的なつながりが強く、輸出の80%、輸入の50%が対米国であり、メキシコ経済は米国景気の影響を受けやすいのが特徴となっている
- また、メキシコ湾に面する産油国であり、メキシコペソは原油価格にも影響されやすい【原油価格の推移はこちら:WTI原油スポット価格 長期推移(チャート、変動要因)】
- 政局の混乱や社会情勢が不安定な点などカントリーリスクには注意が必要
- メキシコのソブリン格付けはこちら:世界の国債格付け(ソブリン格付け)一覧
- メキシコペソの特徴についてはこちらを参照:主要通貨の特徴一覧【資源国通貨・新興国通貨・中国関連通貨のどれに該当するか】
メキシコペソ(MXN)の歴史を詳細に解説【10年毎チャート】
円/メキシコペソ・メキシコペソ/ドルの為替チャートと変動要因【1990年代】
- 1993年に北米自由貿易協定(NAFTA)が成立したことでメキシコへの資金流入が加速していた
- そんな中、1994年12月にメキシコペソは大きく下落し、通貨危機となった(テキーラショック)
- 当時、管理相場制を採していたが、経常収支の赤字が問題視される中、1994年1月にチアパス州での武装蜂起、1994年3月に大統領候補コロシオ氏の暗殺などの政治不安が深刻化。1994年11月米国の利上げをきっかけにメキシコからの資金流出が拡大し外貨準備が急減。メキシコ政府は1994年12月20日に15%の通貨切り下げを実施したが、それでも下落圧力は止まらず、1994年12月22日に変動相場制に移行した。
- 1994年11月末に1ドル=3.4メキシコペソであったが、1994年12月末に1ドル=5.0メキシコペソまで急落し、1995年12月末には1ドル= 7.8メキシコペソまで下落した。
- 影響はメキシコだけにとどまらず、多くの新興国通貨の下落につながった。メキシコから端を発したため、テキーラショックと呼ばれている。
- 1997年アジア通貨危機、1998年ロシア危機の際は、新興国通貨からの資金流出が拡大し、メキシコペソも下落を続け1999年1月に1ドル=10メキシコペソを超える水準まで下落した
円/メキシコペソ・メキシコペソ/ドルの為替チャートと変動要因【2000年代】
- アルゼンチンが2001年末にデフォルトを宣言、その後アルゼンチンペソが大幅に下落、2002年2月に変動相場制に移行し更なる下落が続いたことでメキシコペソも若干の影響を受けた
- 2002年3月の1ドル=9.0メキシコペソから2003年3月の1ドル=11メキシコペソまで下落した(ただし、1990年代のような大幅な下落とはならなかった)
- その後は世界的な好景気の影響もあり、2003年〜2007年頃はメキシコペソは堅調な推移となっていた。
- 2008年のリーマンショックにより世界的なリスクオフムードの中、他の新興国通貨と共に売られ1ドル=15メキシコペソまで大幅に下落した
円/メキシコペソ・メキシコペソ/ドルの為替チャートと変動要因【2010年代・2020年代】
※2020年以降のデータも当面こちらに追加していきます
- 2013年以降、米国の利上げ観測の影響でここでも他の新興国通貨と同様に売られた。(特にメキシコは1994年のテキーラショックのイメージもあり、米国の利上げには弱い通貨というイメージが定着している)
- 更に原油をはじめとする資源価格の下落もあり下落が継続した(原油価格は2014年6月の1バレル=105ドルから、2016年2月には1バレル=26ドルまで下落した)
- ブラジルレアルや南アフリカランド、ロシアルーブルなどは原油価格の下落がピークを打った2016年前半に反発を始めたのに対し、メキシコペソは2017年1月まで下落基調が続いた
- これはトランプ大統領誕生により、メキシコに不利な政策(米国の対メキシコ貿易赤字を削減するもの)がとられるとの見通しからメキシコペソのみが継続して売られた
- 米国の対メキシコ貿易収支の推移はこちら:米国の貿易赤字 長期推移(対中国・対日本・対メキシコ)
- よって、2016年夏頃から2017年1月までのメキシコペソの下落は米国のトランプ大統領就任が直接的な要因と考えられる。結果的にトランプ政権がスタートした2017年1月頃が底となり、その後、リバウンドした。
- 2018年は多くの新興国通貨が下落する中、相対的にしっかりした動きとなった
- 2019年は米国との不法移民問題や制裁関税問題に一喜一憂する場面もあったが、結果的には2018年と同じくしっかりした動きとなり、概ね横ばいで推移した
- 2020年2月、新型コロナウイルスの影響によりマーケットがリスクオフとなる中、メキシコペソも下落。さらに2020年3月、OPECプラスの協調減産協議が決裂し、サウジアラビアとロシアが原油の増産に転じたことで、原油価格が急落。これによりメキシコペソも大幅に下落した。
- 2020年後半は原油価格が回復。また、米国大統領選挙でバイデン氏が優勢となる中、トランプ政権の厳しい対メキシコ政策が見直されるとの期待もありメキシコペソは回復傾向となった。
- 2021年~2024年は原油価格が堅調に推移する中、メキシコペソも安定的に推移した。
関連ページ
メキシコペソへの投資のポイントはこちらを参照してください!
メキシコの政策金利とインフレ率の推移はこちらを参照してください!
メキシコの外貨準備高はこちらをご覧ください!